全ては、この一言から始まった…。
「なぁ。リズとクウって主人公だけど、どっちも主人公らしくないよな」
「また突拍子のない事を…まぁ、否定出来ないけど」
「弟のお前は否定してやれよ」
初っ端から突拍子もない会話を行うのは、親友コンビのカヤとレイシャだ。尚、場所はどこぞの世界にある喫茶店だ。
さて、どうしてこんな話をしたのかと言うと…二人のキャラを知っている方は察しがつくだろう。
リズは主人公と言うには傍若無人な振る舞いを行い、女性であるにも関わらず恥じらいもなければ女と言う自覚もない。
次にクウ。主人公ポジであるにも関わらず、普段の性格は軽率で女誑し。協調性はあるにしろ、仲間内ですら舐められてるしトラブルを作りまくっている。
性格や思考、性別年齢は全く違うが、カヤの言う通り世に出ている主人公とは遠くかけ離れた存在に成り下がっている。
「あの2人でどっちが主人公らしいか競わせれば面白そうなんじゃね?」
「いや、2人とも面倒がってやりたがらないと思うけど」
「そこは…まぁ、クウ辺りは煽れば簡単に頷きそうだろ、リズに関してはグラッセに一任すれば問題ない」
何気なく呟いた疑問だったのに、話をしているうちに内容がでかくなってしまう。
「取りあえずクウに関してはウィド辺りにアポ取って脅は…ゴホン、協力して貰おうじゃないか」
「今『脅迫して貰おう』って言おうとしただろ!!?」
物騒な言葉に、すかさずレイシャがツッコミを入れる。
そんなこんなでカヤが立てた計画の噂が仲間たちに広がり、何時の間にかクウvsリズで主人公らしさを競うと言う話が持ち上がった。
そしてある日――
「リズ、今度お前とクウのどちらかが主人公らしいか競うイベントが開催されるんだろ」
「………は? ナニソレドユコト?」
ディスティニーアイランドの実家(リクの家)に帰って台所でおやつを作っていたリズに向かって、ムーンが衝撃的な言葉を放つ。
覚えのない対決の話をされて困惑を浮かべていると、ムーンも同様に疑問を浮かべる。
「え、カヤとレイシャ主催でやるって聞いたぞ」
「今初めて聞いたけど!!? 何でそんな面倒な話が出てんの!? そもそも主人公らしさなんて必要ないわよ、私は私らしく生きてるだけだし、と言うか一々そんなの考える事自体面倒。よって私は棄権しまーす」
「それがだな、何故か皆ノリノリで楽しみにしてるんだよ」
「何でよーーーーーーーーーー!!?」
作れる筈の逃げ道を防がれ、絶叫するリズ。
こうなったら殴り込んででも止めようと決意を固めた瞬間、後ろから肩を掴まれる。振り返ると、グラッセが黒い笑みを浮かべていた。
「リズ、往生際悪いぞ? 決着はちゃんと付けなきゃ駄目だろ」
「私引き受けるなんて一言も言ってないけど!? あーもー、分かった! やればいいんでしょやれば!!」
グラッセまで乗り気なのを見て、諦めついでにリズは叫ぶしか出来なかった。
そして、同じ頃――レイディアントガーデンのオパールの家にて。
「クウ、カヤとレイシャから招待状です」
クウが備え付けのソファで寛いでいると、突然ウィドが一通の手紙を差し出してきた。
「招待状? なになに…はぁ!? 主人公対決ぅ!?」
「まあ、私としては面し…実に下らなく意味のないイベントだとは思いますが」
「今『面白そう』とか言おうとしなかったか?」
思わずツッコミを入れるが、ウィドは無視して事のあらましをクウに説明する。
「カヤ主催の主人公対決する手伝いに任命されて、あなたを連れてこいと言われまして。そう言う訳で、同行してくれますよね?」
「はぁ? 俺そんなの興味ねーよ。世に出ている主人公らしくない性格なのは自分が一番分かってるしな。じゃソーユーコトデ」
「ええそう言うと思ってましたよ…だが逃がさん! 姉さん!」
「ごめんなさいね、クウ。ブリザラ!」
どこに潜んでいたのか、スピカが現れてクウの足元に氷の魔法を放つ。避ける暇なく、両足が床に貼り付けるように凍らせられた。
「んなぁ!? スピカ!!」
「折角の機会だもの。私としては参加して欲しいの。だから大人しく、来てくれない?(チャキリ)」
「これぞ姉弟の連携です(キンッ)」
「だー、この腹黒姉弟がぁぁぁ!!! 行く、行くから剣構えるんじゃねーーー!!!」
こうして、クウもまた二人に脅される形でイベントに参加する事となった。
そして、当日。
主人公対決として行われる場所は、レイディアントガーデンの商店街広場。
自分の仲間に連れられて(脅されてとも言う)やってきたリズとクウ。その周りには彼らの仲間達。更に観客席らしき所では顔を引く付かせているレイシャと、ノリノリ
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