勝負方法は町中を練り歩いて困った人を助けると言うシンプルな方法。そんな優しさ勝負だが、結論から言うとクウの圧勝だった。
なにせリズは吐き気を催したままの参加だ。見かけたとしても、時々立ち止まっては壁や柱に吐きまくり後手に回ってしまう。そんなリズにクウも最初は遠慮したが、捕まえた犬を抱えるなり吐き上げた胃酸を頭にぶっかけたり、青白い顔のまま暴漢に飛び蹴りしたり。とにかく散々な目にしか合わない。
そんな姿を何度も目の当たりにして、とうとうクウは甘さを放棄した。とにかく心が命じるままに、リズより先にクウが率先して動いて人助けをしていった。
「どう考えても今回の勝負は赤コーナー! クウに上がりましたー!!!」
再び駅前広場に戻り、カヤは無表情のまま結果を報告する。その片隅では、リズは未だに壁に手を付けて吐き上げていた。
「うぇぇぇ…よくもまぁ、あそこまで優しく出来る物だ( ゜д゜)」
「まだ吐くのかよ!!オパールさん何か薬あります?」
「あー。エリクサーで作った胃薬あるけど、効くかなー?」
ポーチを漁ると、グラッセに胃薬の入った小瓶を渡すオパール。
「そりゃあ、町中で困ってる人を助けるくらいはできるだろ。てか、リズ何やってたんだよ!! 暴漢を飛び蹴りするのはいいとして、助けた奴までドン引きさせるとか何をどうすりゃそうなるんだ!? 俺がフォローしなかったら騒ぎになってたぞ!!」
「おろろろろ( ゜д゜)」
「力で示す以外の方法分からないんですって、何せ故郷では色々とありましたんで…あ、エリクサーありがとうございます」
通訳と同時に遠目を作ってお礼を言うと、早速グラッセはリズにオパール特製の胃薬をテルスと協力して飲み込ませる。
勝負に勝ったのにもはや何も言えなくなり、黙ってしまうクウ。けれど、彼にはちゃんと勝利を祝ってくれる恋人達がいる。
「まあ、そこがクウのいい所だからね」
「ついでにリズさん、メンタルがた落ちですし」
「そんなに嫌だったんだ、師匠のキメ顔…」
上機嫌なスピカ、苦笑するレイア、心配するツバサと、見事に反応が上・中・下と分かれている。
「ぶろぼぼぼ( ゜д゜)」
「恋する乙女には申し訳ないがああいう男苦手だわとの事です」
吐いてるようにしか聞こえないのに、グラッセは一言一句間違えずに答える。熟練とも言える二人のやり取りに、ウィドも呆れしか浮かばなくなる。
「もはやどこぞの史上初ゲロを吐くチャイナヒロインになり下がってますね…」
「ゲロインもここまで長く吐かねぇけどな、そもそもコイツヒロインってガラじゃねぇし」
「ああ、言われればそうでした。ヒロインは別にいたんでしたっけ。これは失敬、すみませんグラッセ」
「俺は主人公ですけど!!!?」
さりげなく酷い事を言われ、グラッセが大声でツッコミを決める。そうこうしている内に、ようやくリズが復活を遂げた。
「ぶぶご………ふぅ、オパールありがとう、胃薬効いたよー!!」
「はーい、口直しにお茶飲みなさい」
テルスが麦茶を差し出したので、早速リズは受け取って一気に飲み干した。
「あ、やっと効いた? 後でエリクサーの代金請求するんで、よろしくねー」
「うん、ゼムナス宛によろしくー!!」
「ぶぅらあああああああああああああ!!!!!?」
薬代の原価を請求すると、流れる様にゼムナスに全額負担させるリズ。これには通りすがりでやってきていたゼムナスが悲鳴を上げる。
ゼムナスの悲痛の心の叫びに対し、オパールの目は既に¥マークと化していた。
「りょうかーい。モーグリに通して請求書送っとくわー♪」
こうして5万マニーの請求書(半分以上ぼったくり)をゼムナスに叩きつけた後、1vs1と引き分けに持ち越して二人の主人公は最終戦へと進むのだった。
最後に訪れたのは、存在しなかった世界。
城の最上階にある虚空の祭壇で、最終決戦が行われようとしていた。
「それじゃあ第3回戦! 最終勝負は自分の特技を披露して仲間を喜ばせる事だー!!!」
「え」
「は?」
相変わらず無表情のままカヤが言い放った最後の対決方法。それを聞いたリズとクウは同時に間抜けな声を漏らした。
「主人公たるもの個性が必要、そのためにも自分の特技を披露して仲間から喜ばれるのも必要だそうだ…歴代の主人公たちからのアドバイスだ(`・ω・´)」
「何つう事を言ってくれてんじゃ、歴代主人公どもぉおおおおお!!?」
「『ブレイクダンス』でもしろってか!? ミニゲームしろってか!? ソラもリクもヴェンも後で拳骨喰らわせてやる、マジで泣かせてやらぁぁぁ!!!」
無茶振りなお題に二人が真っ暗な空に向かって叫んでいると、レイアが手を上げる。
「あのー。
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