その後、リズの作ったお菓子や飲み物によって虚空の祭壇でお茶会が開かれた。
時折風が吹き抜けて寒さはあるが、温かい飲み物や作り立てのお菓子でそこまで厳しくはない。
誰もが飲み物を片手にわいわいとお喋りする光景に、クウも砂糖を一切入れてないレモネードティーを持ちながらリズと話をしていた。
「こりゃ、リズの勝ちだな。俺にはとても真似できな…へっくし!」
「ふん。やせ我慢するからです」
「うっせ…」
ウィドに文句を言いつつ、ズズ…と鼻を鳴らす。
寒さを堪えるクウに、同じくココナッツミルクスープのコップを持ったリズは否定するように首を横に振った。
「いーや、仲間の不調に気付いて上着貸したアンタの勝ちだよ…私はそこまで気が回らなかったし」
「いや、俺には全員を笑顔になんて出来やしないよ。結局喜ばせたのも四人だけだし」
互いに謙遜しあい、対決の勝ちを譲り合う。
そんな二人を遠くからレイア、スピカ、ツバサ、シルビアが見つめていた。
「「「「………」」」」
「どうしたんだ?」
ルキルが声をかけると、四人はクウから貰ったコートや手袋やスカーフを黙って視線を向ける。
やがてそれぞれに目くばせすると、クウの元へと駆け寄った。
「クウさん」
「ん?」
レイアが声をかけると、リズと話していたクウが振り返る。
「みんなでギューっと!」
振り返ったのを合図に、ツバサがクウの腰へと抱き着く。続いてレイアも反対側に抱き付き、シルビアは腹部を、スピカは背中に両手を回す事で両手どころか四方に花状態となった。
「はぁ!? ちょ!!」
「…あらら、微笑ましいわね」
四人もの女性に抱き着かれた姿に、思わずリズも笑ってしまう。
一方クウは、恥ずかしさで顔を真っ赤にしている。引き剥がそうとするが、そんな行為も気にせずスピカは笑いかける。
「こうやって皆で抱き着けば、あなただって温かくなれるでしょ?」
「そうです! クウさんも一緒に温かくなきゃダメです!」
「で、でも…!!」
レイアにまで言われて、つい尻込みしてしまうクウ。
反論出来ないのを良い事に、お構いなしと四人は仲間達に声をかける。
「オパールさんも!」
「父さんも抱き着いてー!」
「ウィドも来なさい! 皆で寄せ合って食事しましょ!」
「ほれ、早く来るんじゃ!」
「「「えええー!?」」」
文句を言うが強引に巻き込まれる事となり、関係ない筈の三人もクウの傍で食事をとる事となる。
オパールはレイアの隣に、ルキルはツバサの隣に座り、ウィドはやはりと言うべきかスピカの隣につく形で共に飲み物や軽食を食べる。嫌がっていた割に、彼らにも笑みが零れている。それはリズの料理が温かくておいしいからではなく――クウ達と共に過ごすからだろう。
「こりゃ、引き分け確定だな」
「そうね。ま、円満で終わってなによりじゃない」
喜ばせた人数はこちらが多いとは言え、勝敗は五分五分と言ってもいいだろう。
グラッセとリズは互いに笑い、主人公勝負は終わりを迎えた…。
「で、納得するかぁぁぁーーーーーーーーーーー!!!」
このままいい感じに終わろうとしたが、カヤが空気をぶち壊す。どうやらと言うか、やはりこの結末に納得しなかったようだ。
「今回のテーマはギャグだ!! お笑いだ!! こんなありきたりな感じに終わって言い訳がないだろーーーーーう!!!」
「とうとう俺の親友が見るも無残な姿に…」
「そこ! 何とも言えないの目を向けるな!! こうなれば延長戦だ、何としてでも面白さを追求するのだーーーーー!!!」
「「いい加減にしろーーーーーー!!!」」
その後、カヤの気が済むまでリズとクウは丸一日無茶振りに付き合わされる事になったそうな…。
[5]
戻る [6]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想
TOP
掲示板一覧
ゲームリスト |
ゲーム小説掲示板
サイト案内 |
管理人Twitter
HOME