ロマン。それは永遠の憧れ。
ロマン。それは魅惑に満ち溢れた言葉。
これは、ロマンを追い求めて小さくも壮大な冒険をした者達の話である…。
レイディアントガーデンのオパールの家。
今はソラ達の宿兼拠点となっているこの場所に、エアリスがやってきた。
一冊の本を携えて。
「ふーん…魔法の本、ね」
「うん。折角だからみんなの意見、聞いておきたくて」
腕を組むオパールに頷きつつエアリスがみんなの前で見せたのは、マーリン宅で見つけたと言う青い本だ。
見た目は古びており、船と海の絵が描かれている。けれど、タイトルは表紙どころか背表紙にも何も書かれていない。
何より…エアリスにしてみれば、本からは魔力を感じるそうだ。
「うーん、あたしはよく分かんないや」
「私も考古学関連は得意ですが、魔力となると専門外ですね。キーブレードを持つ人は何か感じたりは?」
元々魔法を使わないオパールとウィドがお手上げとばかりに、他の人に話を振る。
「そうね…確かにちょっとした魔力を感じるわ」
「うーむ、俺はさっぱりだな」
「俺もテラと一緒かな。どこにでもある本って感じ?」
「プーの本と似たような感じかな? エアリス、それ見てもいい?」
「ソラ、うかつに開くな。危険だったらどうするんだ?」
どうやら、魔法を得意とするアクアは何かを感じるようだが、テラとヴェン、ソラとリクには何も感じないようだ。
ツバサもまた、首を傾げながらエアリスに質問する。
「エアリスさん、中身は読んだ?」
「うん。海を舞台にした冒険譚って感じかな」
「もう読んだのなら、私達も読んでも大丈夫そうね。どれどれ…」
早速スピカが本を手を取るなり、パラパラと捲る。
「ふむふむ…大海原を冒険する海賊のお話ね。船で海や島を冒険して、時に戦って、そうしてお宝を手に入れる、と」
「お宝っ!」
「オパール、反応しないの」
即座に目がマニーとなるオパールに、カイリは慣れたように宥める。そんな二人の様子に、エアリスはクスクスと笑う。
「オパールも読む? きっと気に入るよ」
「いいの?」
「マーリン様が外の世界で見つけた本で、魔力が籠っているだけみたいだし。読んでも害はないから、ね」
「うん、読む読む! スピカさん、読ませて!」
スピカから本を受け取り、ウキウキ気分で本を読むオパール。嬉しそうな顔に、リクは意外という顔をする。
「オパール、こう言うのも読むんだな」
「そりゃあ空賊だもの! あたしだってお宝を求めて冒険するロマンを感じるわ! 何時かは金銀財宝宝箱、そんなお宝をゲットするんだから!」
「お宝か…俺としては美人な女性がいてくれたらそれで――」
「まあ、その場合お宝って私の事かしら?」
「いえいえ、私の事ですよねクウさん?」
「可愛い弟子の事でしょ師匠?」
「うん、お前ら全員お宝と呼べる女だなだからそんな怖い顔すんな!!」
凄い黒いオーラで笑顔を見せつけるスピカ、レイア、ツバサにクウは滝のような汗を掻く。
もはや当たり前の光景になってしまった女達のバトルは無視して、他の人達もわらわらと本を持つオパールの周りに集まり出す。
冒険談は前半で終わっているようで、後半は沢山のお宝が挿絵と共に紹介されている。これにはオパールもうっとりした表情になる。
「これが物語の中で手に入れた海賊のお宝なのかしら…それとも実在したもの? あー、夢が膨らむわ…」
「へへん、前の旅の時だけど俺はこーんなお宝何度か見た事あるんだぜ! 沢山の黄金とか、金貨とか!」
「黄金に金貨!? どこ、どこにあるのソラ!! ねえ!!」
完全に金の亡者と化したオパールは持っていた本を投げ捨ててソラの両肩に掴みかかると、ガクガクと前後に揺らしにかかる。
これにはカイリとリクがそれぞれ後ろから止めにかかる。カイリはオパールの背中から引っ張り、リクはソラを掴んでいる手を引き剥がすが、金によって強化された腕力は強い。
それでもどうにか揺らされていた頭は勢いを弱めたので、とっさにソラは思いついた言葉を口にする。
「え、えと、そうだ! 本物の海賊にもあったんだ、ジャックって言うんだけど! ジャックは俺のキーブレードが欲しいって言ってたなー!」
「なっ、キーブレードだと!? ソラ、その要求を呑んだのか!?」
「要求されたとしても、キーブレードなんて手に入る訳ないだろ」
ギョッとするリクに対し、ルキルは冷静に鼻を鳴らす。
ここにはキーブレード使いが沢山いるが、本来キーブレードとは選ばれた人だけが持てる武器だ。選ばれる条件はあるが簡単ではない。
「でもキーブレードか…そうだよな。俺達のキーブレードも、海賊からしてみれば珍しい物なんだろう」
「
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