三人の口から飛び出した言葉に、目を丸くする一行。今の心境は「真面目な顔して何言ってんだ?」だろう。
いや、ウィドは分かる。誰もが認めるシスコンだから。その気になれば敵対だって過去にはしてた。けれど、リクとルキルはシスコンではないし、間違ってもそんな事は言わない。過去に闇に操られて、中二病的な事は言ってたが。
全員がゆっくりと海を隔てたステージにいるスピカに顔を向けると、満足げに笑みを浮かべた。
「これが私のスペシャルステージ、その名も『セイレーン』。相手がどんな感情を持っていたとしても、私に魅了されて仲間になってくれると言う歌姫ならではの技よ」
「家族を思うスピカさんだからこそ出来る、愛の力です! ご覧の通り家族もすぐに仲直りです!」
両手を合わせてニコニコと微笑むレイア。普段は天使の笑顔に見えるのに、善意が感じられない。
ウィドはともかく、リクとルキルって家族だっけ? あ、ルキルはウィドの義理の弟だしその繋がりで行けばリクも家族に部類されるか。半ば現実逃避をして理屈を考えていると、スピカは笑顔のまま爆弾発言をする。
「あ、家族でなくてもあなた達も倒されたら弟妹にしてあげるから安心なさい」
「愛って言うより洗脳じゃない!? 安心出来る要素がどこにもないんだけどぉ!!」
渾身のオパールのツッコミが海上に響き渡る。
そんな事はお構いなしと、マスコット軍団に変わって洗脳された三人が攻撃をしてきた。
「リ、リク!? 正気に戻るんだ、闇の力に操られるより酷いぞ!!」
「だからなんだ! 俺はお姉ちゃんを守る、たとえ親友が相手でも!」
「うわあぁ!?」
ソラが正気に戻そうとするが、リクは聞く耳なしとソラをダークファイガで吹き飛ばす。
「いいや、お姉ちゃんを守るのは俺だホンモノォ!」
「うわーん、父さんからそんな言葉聞きたくないよー!」
「お前達、喧嘩するな! 姉さんを思う気持ちに優勢も劣勢も存在しないのだぁぁぁ!」
「あぁもう! 戦いにくいったらないわぁ!」
ツバサは泣きながら、アクアは顔を歪ませてどうにかリクレクで防御をする。敵の数は増えたが、まだこちらが勝っている……筈なのに、勝てる気が一切しない。
聞けば聞くほど、頭が痛い会話を繰り広げるのだ。しかも本人達は真剣。一方的にこちらの戦意がガリガリ削れていく。
三人が好き勝手に暴れる中、カイリは船の縁に辿り着くとスピカの隣にいたレイアに叫ぶ。
「レ、レイアはリク達をこのままにしていいの!? 明らかにおかしいでしょ!?」
「え? だって家族として仲が深まってるじゃないですか? 仲良しだと、カイリさんも嬉しいですよね!」
「駄目だ、天然だから話が全く通じない! 寧ろ二つが合わさって最強になってる!」
ニコニコしながら見当違いな回答をするレイアに、ヴェンがツッコミをする。元々から平和主義な思考だが、完全に履き違えている状態では説得など皆無だ。
このままでは全滅して、スピカの弟妹にされる。オパールは本能的な危機を悟り、指示を出した。
「くっ…撤退、てったーーーーい!!」
「どうやって!?」
ソラがリクと戦いながら声を荒げる。未だにリク、ルキル、ウィドの三人が襲い掛かってるし、仮に乗せたまま離脱しても洗脳は解けない。何かそんな気がする。
「テレポ!!」
「「「なっ!」」」
移転の魔法が発動し、三人はその場から消える。次に現れたのは、海の上。為すすべもなく海へと転落する。
魔法を発動したのは、騒動に紛れてミラージュモードで姿を消していたツバサだった。
「ツバサ、ナイスよ!」
褒めるのもそこそこに、オパールは光の線を描いて口笛を鳴らす。津波を起こし、急いでその場から離れる。
大波と共に離れていく海賊船に、ルキルは海に浮かびながら目の敵とばかりに睨みつける。
「逃がすかぁ! お姉ちゃんに敵対した事、死をもってつぐ…」
「いいわよ、ルキル。追いかけなくて…リクも良く戦ってくれたわね」
「「お姉ちゃんのためだからな!」」
スピカがステージからやんわりと声をかけると、リクとルキルは180度態度を変えてすぐに笑顔を返す。
「ふふ、あなた達が仲良くしてくれると、こっちまで嬉しくなるわね」
「ですね! 仲良しが一番です!」
本心で嬉しさを露わにするスピカとレイア。周りではコヨコヨ達やサボテンダー、そして白いデブ鳥も飛んで跳ねたりしている。
余談だが、一部のコヨコヨ達はカナヅチにより溺れて気絶したウィドをUFOに打ち上げたとか。
「ど、どうにか逃げ切ったわね…!」
あれからスピカ達のいる場所が見えなく所まで逃げ切り、追ってこないと確認出来た所でアクアがその場に座り込む。それに合わせ、同じように警戒し
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