「はあぁ!」
UFOに乗り込んで早々に、オパールが剣でスピカへと斬りかかる。反射的に、武器でもあるのかマイクスタンドで防御する。
「作戦通りに行くよ、第一段階ヒートモード!」
同じくUFOに足を付けたツバサは、モード・スタイルを発動して炎の力を纏った形態となる。キーブレードに炎の力を付属させた状態で、切っ先を上に掲げる。
「ファイヤウォール!」
すると、スピカとレイアを中心にそれぞれ円形の状態で炎の壁が出現する。
それぞれ閉じ込められる形となり、スピカは同じく陣地にいるオパールを見る。この場には彼女だけしかいない。
「分断するとは、やるわね」
「正気に戻ってまた手を組まれたら困るからね!」
「だからと言って、レイアにソラとツバサを送るなんて私も舐められたものだわ!」
「歌姫であるスピカさんに戦う術はない! あたし一人で充分よ!」
マイクスタンドと言う武器としては頼りない物を握るスピカにニヤリと笑い、再び剣で襲い掛かる。
「歌姫が戦えないなんて――誰が決めたのかしら?」
オパールの振るった剣は、何かによって弾かれる。
スピカは握っていたマイクを逆手に持ち、スタンドの部分は無くなって代わりにコード部分に変化している。しかも、コードには細かい刃が付いている。
形状は鞭に見えるが、スピカの構えからしてそれは間接剣だ。
「なっ…まさかそれ、マイクスタンドじゃなくて剣!?」
「やあぁ!」
反撃とばかりに、スピカは刃を振るう。
刀身は鞭のように不規則な動き方をするだけでなく、なんと伸縮性もあるのか距離的にギリギリだった長さ以上にコード部分が伸びている。四方何処からでも攻撃が飛んでくる戦法に、オパールは翻弄されてしまう。
「ううっ!」
「歌えなくても、音楽があれば十分!」
牽制しつつ指を鳴らすと、再び活発な音楽が鳴り響く。
聞いているだけでテンションが上がる曲。こうして身体能力を上げる――のは、スピカだけではなかった。
「あれ? 急に戦いやすくなった?」
「何気にレイアさんじゃなくてボクらに補助をかけている辺り、抜かりないよね……ボクらがレイアさん倒したら、クウさんを『セイレーン』で虜にする気満々だよ」
炎の壁の向こう側から聞こえてくる音楽で身体の調子が良くなるソラは首を傾げる。その横でツバサは半目になってスピカの考えを読み解いた。
「ぐぬぬぬ…! そっちがその気ならこっちだって!」
「クエエエェ!」
レイアが拳を振り上げると、鳥の鳴き声が響き渡ると同時に何かを吹き飛ばしたような音が遅れて聞こえる。
そして炎の壁をぶち破るように突進して、白いデブ鳥がスピカの陣営にやってきた。
「あぶなっ!」
突然の乱入者にオパールは避けるが、狙いはスピカのようでデブ鳥はゴロゴロと転がっていく。
しかし、慌てず動じず間接剣で応戦してデブ鳥を対処すると、スピカは炎の壁の向こう側にいるレイアに怒鳴る。
「流石にこれは卑怯じゃないかしら、レイア!」
「だったら私に補助をかけてもいいじゃないですか!」
「ちょっと手元が狂っただけよ!」
「音楽流すだけで手元狂うのおかしいでしょ!?」
敵だと言うのに、ついついオパールはツッコミを入れてしまう。
「スピカさんの考えはもう見え透いてます! クウさんを無理やり好きにするのでしたら、こっちだって容赦しませんからー!」
「上等よ! あなたを倒してクウとバカンスを過ごさせて貰うわ!」
「いいえ、クウさんとバカンスを過ごすのは私です!」
炎の壁でお互い見えない筈なのに、激しい火花をぶつけあう二人。
もはや味方でも何でもない二人の言い争いに、ソラは思わず武器を下ろし始める。
「……なあ、これ俺達何もしなくても勝手に戦ってくれる?」
「ていうか、ボクらもう蚊帳の外だよね?」
「オパールの考えた作戦、本当に凄いなー…」
ここまで効果覿面だと、ソラも何とも言えなくなる。
ツバサもキーブレードを消して怒り心頭しているレイアを見ていた時、炎の向こう側から鞭のような何かが伸びて来てツバサの胴体を絡めとった。
「うわわぁ!?」
「ツバサ!?」
そのまま引き込まれるように、炎の壁の向こう側へと消えていく。
何が何だか分からず困惑していると、分断していた炎が消えて視界が晴れる。
そこで目にしたのは。
「さあ、邪魔者は取り払ったわ…! 残りはあなた達だけね?」
目を据わらせているスピカが、バシッと気持ちのいい音を立てながら地面にコードを叩きつける。足元には、ボロボロ状態のオパールとツバサが横たわっている。
仲間割れから怒らせちゃいけない人を怒らせた事態に発展し、ソラの顔は一気に青ざめた。
「カ、カイリー! 助けて
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