全員を乗せた海賊船は、石板の光に沿って海を進む。
先に向かうと、白い靄が出てくる。光を頼りに中を進んでいたが、気づいた時には一面が霧の中を彷徨っていた。
「一面霧ばかりで何も見えないぞ?」
「光も消えたし…これって大丈夫かしら?」
視界が遮られた状態に加え、石板からの目印も急に消えてしまう。テラとアクアが辺りを警戒する。
そんな中、出発してからずっと口を閉ざしていたスピカが呟く。
「……来る」
その言葉を合図に、船が揺れる。
遠くから、ザザザと音が聞こえてくる。それがゴゴゴと言う音に変わると、霧の中から船を飲み込めるほどの大きな波が現れた。
「なにこの波!?」
「掴まれ!?」
驚くソラに、ルキルはすぐに叫ぶ。
全員が近くのモノに捕まると、大波が海賊船を海の中へと飲み込まれてしまった。
「う、うう……みんな、無事か…?」
「ここ、どこ…?」
まず初めに目を覚ましたのは、リクとツバサだった。
船ごと沈められて気づいたら、そこは洞窟のような場所だった。
辺りの壁は岩で出来ている。天井は水が張ってあるが、自分達がいる場所にはちゃんと空気がある為、重力に従って落ちてくる事はない。この空間が水で満たされていたら、自分達は無事ではないが。
「あ、あああああああ…!」
他の人も意識を取り戻す中、オパールの震えた声が木霊する。
何故なら、彼女の目線の先には金銀宝石、煌びやかな剣やアクセサリー、宝箱や王冠など、財宝と呼べるものが洞窟の奥に大量に積まれていたのだ。
「お、お宝ァ! 金銀財宝、こんなにもー!」
目を輝かせて財宝へと突進するオパール。完全に我を失っている。
「オパール、待ちなさい!」
「ひやぁ!?」
そんなオパールの胴体を、スピカの間接剣が巻き取ると後ろに引っ張る。
物理的に財宝から距離を離すと同時に、オパールの向かってた場所目掛けて闇の光弾が飛んできて、地面にぶつかると軽く爆発した。
「今の攻撃、どこから!?」
明らかに自分達ではない攻撃に、アクアが武器を取り出して警戒する。
「まあまあ。まさか次の獲物があなただとは思いませんでしたわ、闇の女王?」
奥の財宝がある場所から、声がかかる。
丁度空間が歪み、そこから一人の女性が現れる。
ハチミツ色の長髪に吊り目の薄緑の瞳。上半身は黒、スカート部分は黄色を基調としたドレスを着ている。彼女は財宝に囲まれるような形で、宝石の付いた豪華な宝箱に腰かけた。
「…やっぱり、あなただったのね。追放して闇に溶けたとばかり思ってたのだけど」
「まさか、お前…!」
スピカだけでなくクウも女性に反応すると、意外だと言わんばかりに目を丸くする。
「あら、天下の裏切り者まで一緒だとは思いませんでした」
「二人とも、知り合い?」
明らかに目の前の女性について知っている素振りに、ヴェンが聞く。すると、スピカは一つ頷いて答えた。
「彼女はミデス、組織の一人よ。と言っても、私がかつて追放したの」
「ええ、私も覚えてますわ。容赦なく魔法を放って奈落の底に叩き落としてくれたのをね!」
「叩き落としてないわ、ちょっと突き飛ばしたくらいよ。そしたらあなたが勝手に落ちちゃっただけでしょ?」
「底なし沼と化した闇の中に落としといて良く言うわね!?」
スピカが涼しい顔で話すと、ミデスは激怒する。初対面であった優雅さは消え失せており、これが彼女の本性かもしれない。
「ど、どっちの味方すればいいの…?」
「狼狽える気持ちは分かるが、スピカの方についとけ」
どっちが悪役か分からない会話に困惑するカイリに、クウはやんわりと助言を出す。そんな彼も、若干遠い目を浮かべているが。
「姉さん、結局これはどう言う事なんですか?」
ウィドが聞くと、スピカは顔を顰めてミデスを見た。
「私が知っている…いえ、予測を立てたのは彼女の『窃取』の能力がこの騒動に酷似していたからよ。そもそも消えたとばかり思っていた相手がこうして存在している事を本人に問いただしたいくらいだわ」
「あの時ばかりは私も消えると思ったわ。けど、運良く助かる方法があった。それが沈められた闇の中にあった、魔法の本。そう、あなた達が今いるこの場所は本の中の世界。闇によって消えかけた私と融合をさせた事で私自身は外に出られないけど、闇を通して外の世界を巡り、本を読んだ人物をこの中に引き寄せると言う仕組みよ」
「理由は分かったけど、なぜ世界の人達をこうして本に閉じめてるの!?」
アクアが怒鳴ると、ミデスは笑う。
「決まっているわ――お金の為よ!!」
『『『………へ?』』』
目を輝かせて堂々と言い切るミデスに、全員が目を丸くする。
何とも言えない視線が注が
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