「さーて。ここからは拷も……尋問の時間よ、ミデス」
「この腹黒!! 性悪!! 恋人である黒翼の前でよくこんな恐ろしい事出来ますわね!?」
オパールによって甲板で倒されたミデスは、現在スピカの間接剣によって体を縛られており海に向かって投げ出されて宙づりにされている。所謂公開処刑だ。
「あーら、クウは私の性格知った上で恋人になったんですもの。今更取り繕う必要がどこにあるのかしら? あっ、力が緩んじゃった」
「キャー!! この状態で海に落とそうとしないで!?」
「……お前ら、見るな。あれは教育に悪い、寧ろマネしちゃいけない奴だ」
「子供組は今すぐここから離れなさい」
海賊よりも悪逆な事を仕出かしているスピカに、クウとアクアは即座に子供組に見せないよう視界を遮る。
「とにかく。私達を本の世界から出す事。それと財宝に変えた人々も元いた世界でちゃんと戻しなさい。嫌なら、レイアに頼んで巨大なタコを召喚させて餌になって貰うわよ」
「分かったわよ!! やればいいんでしょ!! でもその前に、女王もやる事があるでしょう!!」
「やる事?」
「お金の為とはいえ圧倒的に不利な中であなたに手を貸した。もう上乗せしろとは言わないから、その分の報酬は払って頂戴――こっちの世界に戻れた以上、あんな所に戻る気はないし」
抵抗する気が無くなったミデスに、スピカは黙って引き上げて甲板に戻して武器を消す。
「分かったわ。報酬はちゃんと払うわよ」
そう言って、ツカツカと仲間達に近づいていく。
「オパールが」
グイっとオパールの腕を掴むと引っ張り、スピカは笑顔で指を差して言い出した。
「はぁ!? なんであたし!? スピカさん払えるんでしょ!?」
「流石に今手持無沙汰で…それに私達、仲間でしょ?」
「そんな言葉で借金の建て替え、引き受ける訳ないでしょ!?」
「そぉう。それじゃあ仕方ないわねぇ…」
困ったように頬に手を当てるスピカだが、オパールを含めたこの場にいる全員が理解していた。
何か、恐ろしい事をやろうとすると。
「私の借金分、重労働の仕事でリクに稼いで貰いましょう」
案の定、スピカはリクの腕を掴んで皆に見せるように引っ張り出した。
「はぁ!? なんで俺!?」
「んなぁ!?」
リクと一緒に妙な叫び声を上げるオパール。だが、スピカは2人の様子にニコヤカに笑うだけだ。
「あらー? リクなら体力も力もあるでしょ? とりあえず漁船なんてどうかしら? それとも鉱山がいいかしら? うふふふふ」
「ぐ、ぐぎ、ぐぎぎぎぎぎ…!!」
歯軋りするオパールに、スピカは黒い笑みを見せつける。
「どうする、オパール。あなたが借金肩代わりしてくれるか? もしくはリクに借金分働いて貰うか?」
「んがあああああ!! 持ってけドロボー!!」
流石に金より恋を選んだオパールは、マニーの入った革袋をミデスに叩きつける。
早速中を広げると、そこには大量のマニーが。ざっと見ただけでも数万はあるだろう。これにはミデスも上機嫌で懐に仕舞った。
「おほほほほ。これで私と女王の契約は終了ね。もう追う事もないから安心なさいな!」
「貯めに貯めてた、あたしのマニーがぁぁぁ…!!」
「よく言うでしょ? 冒険には、犠牲がつきものだって」
「な、何か良く分からないがありがとう、オパール…」
(((えげつない……)))
ガックリと項垂れるオパールの姿に、リクを除く全員が心の中で思った。
一方、ミデスは一冊の本を右手に取り出す。その本は自分達が現実の世界で読んでいた本とそっくりだ。そして風を使う様にパララとページを捲ると、光が溢れてくる。
「では、未払い分の報酬も貰いましたし約束通り元の世界にお返しいたしますわ」
「そっか。この世界ともお別れかー」
「思えばあっという間だったなー」
寂しい気持ちが沸き上がったのか、ソラとヴェンは甲板から海を眺める。
「あ、そうだ。ミデス、最後だから聞くけどこのクリスタルって何なの?」
オパールは懐からジョブチェンジ用の宝石を取り出す。それを見て、彼女は「ああ」と呟く。
「私ではなく、この本が用意したものですわ。魔法の本は……読む人達に対して疑似的な冒険をさせたかったんでしょうね。それを私は私の欲望で歪めただけ。今の内に言って置きますが、元の世界に帰れば――その力は――」
話の途中でどんどん光が溢れ出し、やがて何も見えなくなった。
「み、みんなっ!!」
次に聞こえたのは、エアリスの悲鳴。
気づくと、全員がオパールの家のリビングで床に倒れていた。
「戻って…これた?」
「みたいだな…」
ツバサとテラが起き上がり、他の人達も次々と起き上がる中、エアリスは狼狽えて
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