廻廊を通り抜けたその先は、殺風景な古戦場を彷彿する場所。
そこが他より高く聳える場所で、見下ろすと視線の奥に何かが無数存在している。
「……遠すぎて良く見えねえな」
「あれはキーブレードよ」
「はあ?!」
彼らの背後から「何か」の答えを聞き、再び後ろに距離をとって構える。
驚きの声の上げたのは菜月で、彼はもう一度、目を凝らして一瞥した。
「……マジ、だぞ。あれ、全部――キーブレードだぞ!!」
「おい、何処なんだっ! ここはっ!?」
「いい反応ね。此処はキーブレード墓場、そうね―――大昔の昔に起きた戦場跡、かしら」
彼らの反応を楽しむ仮面の女はくすくすと笑い、答えを教えた。
「……キーブレードの墓場」
菜月はあの無数のキーブレードが墓標にも見え、なおかつ、風化したように錆びれているのを気がついた。
「わざわざ此処へと案内した――何故だ」
「それは簡単よ……」
ゆっくりと彼女は左手を伸ばし、虚空から何かを取り出した。
それは、黄金の鍵の様な刀身、緋色に染まった唾と柄、垂れたキーホルダーは白と黒に分けられた小さな水晶。
「キーブレード……!」
「ふふふ……」
キーブレードを掴んだ彼女はぶぅんと太刀風を起こすほどの力で振り下ろす。
3人は構えを強くし、臨戦態勢に挑んだ。
「行くぞ!!」
彼女が動き出す前に、神月が駆け出した。
虹色の刀から、真紅、群青の双剣を取り出して、飛び掛る。
「ラスト・ノヴァァ!!」
双剣に宿った強力なエネルギーが収束し、球体を織り成す。
そして、一気に彼女へ向けて、解き放った。
「ふっ」
彼女が剣尖を伸ばし、双剣より具現した破壊光を吸収した。
「!?」
「今の攻撃は正しい? 違う! 大きな間違いよ!!」
「なに―――っ!」
吸収された剣尖から神月へ跳ね返ってきたラストノヴァ。
神月は躱す間も無く自身の技にに飲み込まれた。
「神月?!」
光の中から出てきた神月を抱きとめた菜月。
全身に傷を負っていたが、どうにか直撃を双剣で押さえ込んだ。
「っ……なんだと、俺の攻撃が……」
「ふふ」
彼女のキーブレードの剣先に攻撃が吸収され、そのまま反射された。
唖然とする3人に、仮面の女は小さく構えを取り始める。
「どうしたの? 動きが遅いわよ」
剣尖を3人に向け、仮面の女は言うと、そこから黒色の力が収束し、3人は即、大技と悟る。
「菜月、崖から降りろ!」
そう言って、オルガは炎をまとった黒い剣で一気に炎を雪崩れ込ませた。
菜月は彼を抱き抱えたまま、一気に彼女から遠ざかる為、崖から一気に下る。
手に握った心剣【陰陽道時綱】で全身を風でまとって一気に下へと着地する。
その瞬間、崖だった上が黒い光で染め上げられた。
「! あれは……っ」
光が失せると、仮面の女が此方を見下ろすように崖から姿を出した。
「まずは一人」
「くっ……おい、神月大丈夫か?」
呻きを上げながらも、一人で起き上がった神月は虹色の刀から翡翠の細身の刀へと持ち替え、全身に風を包んだ。
そして、風が消え去ると神月の外傷は見当たらなくなった。
「……どうにか、な」
小さく振り返った彼は短く返し、こちらに降り立った仮面の女を見据えた。
「オルガはどうした」
「彼は私のものになった。それだけ」
「……どういう意味だよ」
「言葉通り」
神月はため息を吐いて、菜月に簡潔に説明した。
「アイツのキーブレードは人を操るみたいな能力があるんだろうよ、だからアイツが此処に戻ってこない」
「マジかよ。オイラたち、まんまと術中にはまったわけか」
嘆くように項垂れた菜月、神月は仮面の女を見据えたまま、ゆっくりと心剣を虹色の刀――ヴァラクトゥラへ変える。
項垂れている彼も顔を上げて、戦闘態勢に切り替わっている。
仮面の女は小さくせせら笑い、キーブレードを構える。
「さあ、かかってきなさい」
「応!!」
神月は両足に炎を纏わせ、一気に彼女に踏み込み、虹の切先を彼女へ突きつけ、収束した光を拡散した。
直撃した仮面の女は大きく吹き飛ばされ、虚空に舞う。
その上、紫電を纏った菜月が大きく振り下ろす。
「雷獣――撃滅!」
腹部へ七支の刃が大きくつきこみ、落下する。地面に激突し、菜月は神月の元に後退した。
「……その程度かしら」
地面に沈んだ彼女は平然と立ち上がり、首をかしげる。
菜月は切りかかろうとするが、神月がそれを遮った。
「菜月、一気に行くぞ」
「! ……解った、気をつけろよ」
菜月の心剣が輝きを放つと、七支の刀が十字を象った刀剣に変化する。
心剣【陰陽道時綱】の神威開眼、【陰陽道光陰】へと消
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