―――その頃、商店街では。
「ここが『レイディアントガーデン』か…」
「活気がありますね」
無事に『レイディアントガーデン』に辿り着いたテラ達は、鎧や乗り物を解除して商店街を歩いていた。
そうしてクウとレイアが興味ありげに辺りを見回している中、テラは眉を潜めている。
それに気付いたのか、隣にいた無轟が声をかけた。
「テラ、どうした?」
「いや…――十年前に来た時よりも、光が薄れている気がするんだ…」
「そうなのか?」
その言葉に、クウは聞き返してあちこち見回す。
そんなクウの隣では、レイアは不安そうにテラを見た。
「まさか、本当に闇が現れたんでしょうか…?」
「まだ分からない。とにかく、調べてみよう」
「それはいいが、どうやって調べるか――」
と、急に無轟の言葉が止まる。
テラとレイアが見ると、無轟は目を丸くしてある方向を見ている。
そこには、いつの間にか少し離れた場所で二人の女性に話し掛けるクウがいた。
「そこのレディ達、お暇でしたら俺とかるーく食事でもしませんか?」
「えっ? ねえ、どうする?」
「やめなさいよ。私達、忙しいので」
クウの誘いに一人が乗り気になるが、もう一人は警戒してその場を離れようとする。
この様子にも関わらず、クウは軽く苦笑を浮かべて声をかけた。
「まあまあ、そう警戒するなって」
「警戒してません!」
投げかけられた声に、女性はキッとクウを睨みつける。
当たり前と言えば当たり前の行動に、クウは頭を押えつつ何処か強気の笑みを浮かべた。
「…じゃあ、どうすれば信じてくれるんだ?」
その言葉に、女性も少しだけ警戒を解いて顔に手に当てて考え出した。
「そうねぇ……何もせずに、食事を全部奢ってくれるなら、信じてもいいけど?」
「いいでしょう。それぐらい、お安い御用です」
「本当でしょうね?」
「俺は美人の約束は守る主義ですから。…信じられません?」
スッと身を屈めて整った顔立ちを二人に見せつける。
これには今まで否定していた女性も頬を赤くして顔を逸らした。
「そ…そこまで言うなら、信じてもいいわ…!」
「じゃあ、そこの喫茶店でもがぁああああああああああああああっ!!?」
言葉の途中で、クウは大きな炎に飲み込まれた。
女性達が思わず離れていると、クウは全身が真っ黒になってその場に倒れる。
その後ろから、レイアが杖を握って笑顔で近づいていた。
「すみませーん。この人が迷惑掛けましたー」
「は、はぁ…」
「行きましょうか…」
何処か棒読みで話すレイアに恐れを感じたのか、二人はそそくさとその場を離れる。
それを見送ると、レイアは燃えカスとなって倒れているクウに怒鳴りつけた。
「クウさん!! いつもいつも何考えているんですか!!」
この二人のやり取りに、テラは顔を引く付かせてレイアに聞いた。
「い…いつも、こうなのか…?」
「クウさん、これでも重度のナンパ症なんです。…キチンとしてれば、かっこいいのに…」
最後の部分は聞こえないように小声で呟くが、テラは聞いていなかった。
彼が子供の頃はかなり冷めていた部分があった。それが、大人になってからは180度性格が変わっているのだ。驚くなと言うのが無理な話だ。
そうして驚くテラを他所に、クウは肩を押えながら立ち上がった。
「うぐっ…いいだろ、別に…」
あれだけすごい攻撃なのにダメージはそんなに無いのを見ると、ある程度レイアが手加減したのだろう。それか、彼がタフなのかだ。
あちこち服を叩いて汚れを払うクウに、無轟は腕を組んで溜め息を吐いた。
「お前も変わったな…――それとも、変わらざる終えない『何か』でもあったのか?」
「…オッサンには関係ねえだろ?」
そう言いながら、クウは背を向ける。
だが、一瞬見えた彼の黒き瞳には悲しみとも苦しみとも言える感情が混じっていた。
無轟は問い質すのを止め、未だに固まっているテラを正気に戻そうと肩を揺さ振った。
「おい、また巨大ハートレスが現れたらしいぞ」
「最近になって、また増えだしたよな…――何時になったらハートレスはいなくなるのやら…」
その時、二人の男性が会話しながら四人を通り過ぎる。
同時にようやく正気に戻ったのかテラが首を傾げて無轟を見た。
「ハートレス?」
「人の心を奪う、闇から生まれた魔物だ。確かに闇の影響はあるようだな」
「おや? お主は…」
無轟がテラの問いに答えていると、後ろから声を掛けられた。
振り返ると、そこには青い服を着た魔法使いのお爺さんが立っている。
この人物に、テラは驚きの表情を浮かべた。
「あなたは、マーリン!?」
「ほほっ、懐かしいのう……ふむ
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