「――以上が、アクセスを調べて分かった事だ」
「ただ、規制やパスワードが必要な所は調べられなかった。今はトロンが解除してくれてるけど、どうしても時間がかかるって言ってた」
アンセムの研究所にあるコンピューターの部屋で、テラ達も交えてリクとオパールは全員に説明していた。
二人の説明が終わると、レオンが静かに腕を組んだ。
「ハートレスに関しての一部の情報、そしてアンセムの書いたレポートのデータが抜き取られているのか…」
「どれも必要な事がこの先起きるのか、それとも…」
エアリスの呟きに、部屋の空気が一気に重くなる。
ソラ達に会ったばかりのクウやレイアだけでなく、ハートレスの事を知らないテラとヴェンさえもこの空気に感化されて黙り込んでしまう。
しかし、そんな空気を打ち払うかのように声を上げたのは、ソラだった。
「だったら、止めればいいだろ!! 俺達の世界を、あんな奴らの好きになんてさせないっ!!!」
このソラの言葉に、重くなった空気がホンの少しだけ和らぐ。
すると、大人としての行動かクウが呆れた目でソラを見た。
「簡単に言ってくれるな…」
「だが、あながち間違いではないな」
そう言ったのは、何と今まで黙っていた無轟だった。
彼から発せられた意外な言葉に思わずソラ以外の全員が注目するが、当の本人は涼しい顔をしている。
二人によって完全に重い空気が取り払われた中、カイリが首を傾げた。
「問題はどうするかだよね…」
「そんなの普通に世界を旅すればいいだろ? 今までだってそうして来たんだし」
「どれだけ気楽なんだよ…」
何処か楽観的に言うソラの提案に、さすがのリクも溜め息を吐く。
「まあ、今出来る事と言えばそれしかないんじゃない。あたしは賛成」
「お、おいオパール!! まさかとは思うが――」
手を上げるオパールに、シドは驚きとも嫌な予感とも言える表情を浮かべる。
案の定、オパールはシドに振り向くと腰に手を当てて笑みを浮かべた。
「一緒に行くに決まってるでしょ? 『シエラ号』だってあたしが運転しないと動かないんだし」
「お前、いい加減に――!!!」
直後、シドの頭からゴォンと言う打撃音が響いた。
そのまま地面に倒れるシドの後ろには、エアリスが拳を握って微笑んでいる。
この光景にソラ達が凍りつく中、エアリスはオパールに何処か優しい目を向けた。
「シドは私達が抑えてあげる。だから、行ってらっしゃい」
「エアリス…!」
この言葉に、シドを殴った事も忘れて嬉しそうにエアリスに笑みを浮かべる。
そんなオパールに微笑み返すと、ソラ達を見て言った。
「みんな、オパールの事よろしくね」
「もちろん!」
ソラが頷いて答えていると、ヴェンは何処か嬉しそうにテラを見た。
「テラも一緒に行くよな?」
「ヴェン…俺は――」
「いや、ここは二手に分かれた方がいいだろ。大人数で行っても仕方ない」
テラが何かを言おうとした瞬間、クウがそんな提案を出した。
予想しなかった話に、ヴェンはクウを睨み付ける。
「あんた、何勝手に――!!」
「それでいいだろ、テラ?」
「あ、ああ…」
ヴェンが突っ掛かろうとするが、それより前に二人は話を成立させてしまう。
それを聞き、ヴェンは怒っているようにも見える寂しげな目でじっとテラを見つめた。
「…また、俺達と離れるのか?」
ヴェンの言葉に、テラは一瞬だけ表情を強張らせる。
だが、すぐにヴェンの肩に手を置くと真剣な表情で話をした。
「ヴェン……ここは未来の世界だ、俺達の世界じゃない。元の時代に戻る為にも、ここは別々に行動した方がいい」
「だけどっ!!」
ヴェンがテラに怒鳴っていると、第三者の声が上がった。
「あ、あの…! だったら、待ち合わせすると言うのはどうですか?」
突然の提案にヴェンだけでなくテラも目を向けると、レイアがおずおずと声をかけていた。
二人だけでなく、その場にいる全員が注目するのでレイアは恥ずかしさで顔を赤らめて俯かせてしまう。
それでも勇気を出して、自分の考えを口にした。
「えっと…――例えば、何かしらの情報を手に入れたらこの世界に戻ってきてそれぞれの情報を提供しあうんです……あとは、何日かしたら必ずこの世界に戻るとか…」
レイアの限界が来たのか、段々と声が小さくなって口篭もってしまう。
それでも言いたい事が伝わったのか、無轟が頷いた。
「確かにそれはいいな。情報を分け合う事で、何らかの糸口が見つかる事もある」
「俺はレイアに賛成だな」
クウも笑って手を上げると、カイリも笑みを浮かべて頷いた。
「私も! ソラとリクもだよね!」
「当たり前だろ!」
「そうだな」
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