場所は変わり、ついさっきガードアーマーと戦った城通用口。
そこには、ソラ達と別れたテラ達が階段を上っている所だった。
そうしてクウを先頭にして歩いていると、広い場所に来た所で後ろにいたテラが声をかけた。
「さっきは助かった」
この言葉に、三人はテラに視線を向ける。
そして言葉をかけられたと分かったクウは、頭を掻きながらテラを見て言った。
「いや…ヴェンと一緒にいたくないんだろ?」
「やはりバレていたか…」
「でも、どうして…?」
顔を逸らして呟くテラに、レイアが不思議そうに首を傾げる。
すると、テラは自分の手に顔を悲しげに向けて思いを口にした。
「闇に染まった俺は、ヴェンやアクアと共にいてはいけない気がどうしてもしてな…――もしヴェンと行けば、きっと純粋なあいつを闇に染めてしまうかもしれなくて…」
闇を持った自分と違い、光の力を持ったヴェン。
全てを照らすような光を持つヴェンの心を、自分の持っている闇になど染めたくない。そして、遠い過去のこの世界で別れたアクアにも。
テラがそんな思いを抱いていると、突然無轟の隣で炎が渦巻いて《炎産霊神》が現れる。
いきなりの事に無轟を除く三人が驚いていると、《炎産霊神》が不思議そうに質問した。
『そう言えばさ、テラ。リクって少年を見た時、表情変えてたよね? 何で?』
《炎産霊神》の意外な質問に、驚いていたクウやレイアがすぐにテラを見る。
さらには無轟もテラを見るので、軽く息を吐いて口を開いた。
「彼とは、最近…――と言っても、今にしてみれば昔なんだが……会った事があってな。ただ、その時は彼は幼い子供だったから俺の事を忘れているみたいで…まあ、今はこのまま黙っておくさ」
どこか清々しい表情で答えるテラに、レイアが心配そうに首を傾げた。
「テラさんは、それでいいんですか…?」
「ああ、今はやる事がある……それに、彼が思い出した時を楽しみにしておくよ」
その時を想像し、テラは笑いながらレイアに告げた。
テラの話を終えると、急にクウが顔を上げた。
「そうだ、っと」
何かを思い出したように言うのと同時に、彼の背に黒の双翼が現れた。
「黒の翼…?」
「ああ。キーブレードの力じゃなくて闇で作った代用品だけどな。それより、クォーツって奴がいた場所を少し調べてくる」
テラにそう言うと、クウは翼を羽ばたかせてその場から飛び去っていった。
彼の翼から抜け落ちた黒い羽根が辺りに散りながら落ちて行く。テラはその様子を眺めていると、ふとある光景が頭を過ぎった。
何も無い白い空間に散る黒と白の羽根。
燃え盛る炎の中で静かに佇む白い服を着た一人の青年。
彼の持つ金色の瞳に写るは―――満面に笑顔を浮かべるソラ。
「テラ?」
唐突に声をかけられ、テラは現実の世界に戻る。
すぐに声のした方を見ると、無轟がこちらを見ていた。
「え、あっ…何か?」
「これからどうする?」
「そうですね…――とにかく、まずはここから近い世界に行きましょう」
テラがそう言っていると、調べていたクウが戻ってきた。
元来た場所に着地して翼を消していると、すぐにレイアが聞いた。
「どうでしたか?」
レイアの質問に、クウは肩を竦めて首を横に振る。
「手がかりは無かった。敵もバカじゃねえか…」
「では、行くか」
無轟の言葉に、三人はそれぞれ頷く。
それから二人の持つバイクに乗り、別の世界に飛び立っていった。
「ううん…」
身動ぎしながら、アクアはゆっくりと目を覚ます。
まず視界に映ったのは、薄暗い天井だ。そのまま横に目を向けると、質素な机や椅子などの家具が目に付く。
と、ここでベットに寝かせられている事に気付いてゆっくりと身体を起こした。
「ここ、は…?」
「目が覚めた?」
いきなり声をかけられ、目を大きく開いて声のした方を見る。
そこには、ゼロボロスが椅子に座ってこちらに笑みを浮かべていた。
「ゼロボロス…――私は、一体…?」
「僕達が倒れていた所を、たまたま通りかかった人に助けて貰ったんですよ」
そう言って説明すると、何故か急に苦笑を浮かべた。
「その内の一人がまた…何て言うか…」
目線を逸らしながら、ハハッと乾いた笑い声を上げるゼロボロス。
何処か様子のおかしく、アクアが首を傾げているとコンコンと扉からノックの音が聞こえた。
「――入りますよ」
知らない声がドア越しから聞こえると、扉が開く。
そこから長い銀髪を後ろで一つに結んだ青い瞳の青年が部屋に入って来た。
青年はベットにいるアクアが起きているのを見て、声をかけた。
「気分はどうですか?」
「あなたは…?」
アクアが
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