その後、アクアが『ケアル』をかけて応急処置を終えると、四人は一旦家へと戻った。
つい先程までアクアが眠っていたベットにウィドを腰掛けさせると、より強い魔法の『ケアルガ』をかけた。
「――どうですか?」
「ええ…大分、良くなりました」
そう言って、ウィドはアクアに笑い掛ける。
大きな怪我をしていないおかげで、すぐに回復出来たようだ。どうやら、ある程度手加減をしてくれたらしい。
アクアが安堵の息を吐いていると、ゼロボロスが声を掛けた。
「じゃあ、僕達はそろそろ行こうか……あの料理で死にたくないしね…」
最後に聞こえた小さな呟きに、アクアも顔を強張らせる。
この部屋に来た時に見たテーブルに並んでいた料理らしき物体に、一目で命の危険を感じたが……それは、ゼロボロスも一緒だったようだ。
戦いになった事に嫌でも心から感謝しつつ、アクアは口元を引くつかせながら頷いた。
「そ、そうね…!! では、私達はこれで――」
「待ってください」
ウィドの言葉に、二人の肩がびくつく。
まさか、お礼に料理を召し上がってとか言わないだろうか? いや、義理堅い彼なら言いそうだ。
二人は恐る恐る振り返りつつ、どうやってこの場を切り抜けるか必死で頭を働かせる。
そうしていると、何とウィドは二人に向かって頭を下げた。
「――お願いします…私も連れて行って貰えないでしょうか?」
「「「え?」」」
これには二人だけでなく、ルキルも目を見開く。
すると、ウィドは顔を俯かせながら拳を強く握った。
「あの男…――セヴィルに、もう一度会いたいんです…!!」
「もしかして…お姉さんについて?」
ゼロボロスが聞くと、ウィドは一つ頷いた。
「姉は、私が幼い頃に行方不明にあったんです。姉が…――姉さんが他の世界で生きているのならば、探して見つけたい」
このウィドの決心に、アクアは残念そうに顔を俯かせた。
「……申し訳ありませんが、どんな事情であれ住人を外の世界に連れて行く訳にはいかないんです。干渉する事で、秩序が乱れてしまいますから」
「それでもっ!! それでも私は姉さんを探したいんです!! 大事な家族ですから!!」
「ですが…」
「アクア、別に連れて行ってもいいんじゃない?」
アクアが断ろうとした時、ゼロボロスがそんな発言をする。
思わずアクアが言葉を切ると、目を丸くしてゼロボロスを見た。
「ゼロボロス!?」
「よく考えてみたら、最初に狙われていたのはウィドだったよね? それなら、連れて行っても問題ないと思うけど」
「確かに、そうだけど…」
あまり納得しない表情を作りつつ、アクアはもう一度ウィドを見る。
彼は真剣な目をしてアクアをじっと見つめている。
この眼差しにアクアは折れたのか、大きく溜め息を吐いた。
「…分かりました。ですが、絶対に私達が外の世界から来た事を内密にしてください」
「ありがとうございますっ!!」
ウィドが嬉しそうに頭を下げると、今まで黙っていたルキルが口を開いた。
「だったら、俺も行く!! 俺は元々別の世界で生まれたから、ある程度は――!!」
「ルキル、あなたは残りなさい」
そんなルキルに、ウィドは無情にもそう言い留める。
この言葉に、ルキルは反発の目でウィドを睨み付けた。
「どうしてっ!?」
「狙われているのは、私なんです。ここで、あなたを危険に晒す訳にはいかないんです」
「だけど――!!」
それでもルキルが反論しようとしていると、思わぬ助け舟が入った。
「待ってください」
突然割って入ったアクアの声に、二人は思わず言葉を止める。
アクアはそのままルキルに近付くと、目を合わせるようにしゃがみこんた。
「あなたは、守りたいのよね?」
その言葉に、ルキルは息を呑んで目を見開く。
ウィドが首を傾げてルキルを見ていると、アクアは笑いながら振り向いた。
「この人を…――あなたの大事な人を。だから、強くなろうとしていたのよね?」
「そ、それは…」
呟くように口篭もると、横目でウィドを見る。
ウィドは何も言えずにこちらを見ているので、ルキルは顔を赤くして顔を逸らす。
この行動で図星だと分かり、アクアはクスリと笑って立ち上がった。
「私からもお願いします。彼も一緒に連れて行ってくれませんか?」
まだ出会って少ししか経っていないが、分かる。
彼も、この子も。守りたいと言う思いは一緒なのだ。
それならば、少々危険な旅でも一緒に行かせたい。離れ離れになれば、この思いは自分達のように不安に変わるから。
アクアの頼みに、今度はウィドは溜め息を吐くとルキルを見つめて言った。
「…ルキル、無茶はしないと約束出来ますか?」
「ああ
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