ビフロンスからアルカナの手引きにより、心剣世界へとたどり着いた。
空は星々が煌めき、色とりどりの半透明の水晶を樹にしたてあげられた森が生い茂っている。
「すげえな、心剣か、『これ』…」
心剣士である神無は興味に満ちた目で、森を見据えている。
その問いに、王という名の管理者アルカナは答えた。
「ああ。心剣は時に消滅せず、こうして残る。形が剣でないのは『役割』がなくなったからだと思う」
「確信じゃねえのか」
訝った声で訪ねたのは変わらず神無で、眼差しは森に向けられている。
アルカナは此処に来た目的を忘れずに優先したため、歩き出した。皆も遅れてついていく。
「母が此処の管理に置こうと思って、私が立候補しただけさ」
「勝手に居座って問題ねえのか」
「此処に居を構えて、はや何千年もすぎた。……本当に何かいるのなら今更、だ」
アルカナは平淡に答え、森を進んでいく。神無を含めた、一行たちは彼の後ろ姿を見失わないようについていった。
やがて、森を抜け、視野が一気に広がった。森に囲いを抜けたため、目的地へと到達したのだった。
大きな教会のような館が聳える。既に外に多くの男女がアルカナたちを出迎えていた。
「待たせたな」
アルカナが彼ら―――『半神』に口火を切った。
だが、彼の返答より、多くの半神たちは別の者に視線を注いでいた。
神無たち人間たちへ。
「なるほどな。……『色々』だわ」
神無は浴びる視線に怖じ気ず、納得した。
ある者は敵意に見下した目で、ある者は疑心に見据えた目で、ある者は興味深く暖かい目で、ある者は淡々と清閑な目で、
文字通り『色々』の目で彼らを見ていた。
「……怖い」
「大丈夫。真摯でいけば解り合えるさ」
親愛する少年シンクの背後に回り込み、彼の袖をつかんではなさい少女ヘカテーを落ち着かせ、自身も呼吸を乱さずに視線を耐える。
「ふん」
シンクの父親チェルは鼻で一蹴し、固く腕を組んで睨み据え返した。
他から、その態度に苦笑を浮かべる黒衣の男性――ゼロボロス、十重二十重の着物を着崩したようにだらけた格好をしている少女――シンメイは率直に視線の怖気など気にもしない。
「俺等も似たようなもんだしな」
「そうじゃな」
自身らもまた、人とは違う存在。昔は確かに『見下していた』。
だが、今の両者はその態度はいっさい無い。
「本当に協力できるのかな」
「知らないわね。喧嘩なら買うけど」
「無理矢理でも手伝わせる」
不安な様子で視線を耐える金髪の白い鎧と衣装を着た少年――永遠剣士の一人、皐月と、拳を唸らせるように骨をならす白服の少女―――破面、カナリア、
静かで、しかし、暴力的な言葉で返した青髪の少女――永遠剣士の一人、アビスが言った。
残りの半神アーシャ、ディザイアはアルカナ同様、無言で口をつぐんだ。自分らで納得してもらえるはずは無い。
人間たちによって、納得させるんだと。
「話は聞いているぜ」
まずは神無が言った。
「戦って納得させるぜ?」
「それは我々の台詞だ」
視線をかえず、前に出た白いレーシングスーツに身を包んだ燃える赤の髪色をした女性が返した。
「我らにすら、及ばぬことを思い知れ」
彼女は赤色、青色いり混じった炎を渦巻かせ、その内より白に鍛え上げられた幅広の刀身の大剣を抜いた。
そのまま切っ先を神無へと突きつける。眼前に止まる刃にひるみもせず、凄みを含んだ笑みで返す。
「いいぜ?」
神無は視線をアルカナへと向けた。戦う場所を教えてほしかったのだ。
それを察して、やれやれと言った具合に肩を竦め、
「教会の先、森の奥を抜けろ。何も無い平原しかないから、他の者もそこで戦え。だが、殺し合うな」
最後にきつく言い放ったアルカナ。半神たちも神無たちも失うわけにはいかない。
この戦いはお互いを『理解し合う』為のものだ。
「全員で戦うの?」
シンクはおびえるヘカテーを落ち着かせたまま、彼に尋ねた。
「いや。ブレイズのように『納得しない』ものだけでいい」
それは半神に向けられた答えだ。
半神たち全員が武器を構えたりしていない。中には笑顔で首を振り、大笑いするものもいた。
「ははは!! 馬鹿だねえ、そんなガキの喧嘩じゃないんだからさ」
大笑いする者、程よく焼けた肌に黒い髪色、全体的にふとましいながらも可愛らしさのある見目は40代後半の女性、セイクリッドが言い放ち、
もう一人、笑顔で首を振る者、艶のある金髪、流麗な容姿の女性、キサラも答えた。
「私は何より戦う力がありませんので。それに、貴方たちはただ者じゃあありませんですし」
「ふん」
納得しない者―――切っ先を下ろしたブレイズ――
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