まっすぐ森の奥へと進んで行った神無たちとは別の方向へ抜けたカナリアとアビス、対するは四属半神の一人アレスティア。
森を抜けた場所はどこも広大で殺風景な大地しかない。そんな中、既に二人は剣をそれぞれ抜き取り、臨戦態勢に変わっていた。
「……全く、ブレイズたちは血気盛んだな」
靡く艶やかな茶色の髪を払い、別の方で戦っている同じ半神であり妹たちの力の気配に嘆息した女性―――アレスティア―――に、白い骨の仮面の名残をつけた水色の髪をした血気盛んな眼光が特徴の少女――カナリアが戦意に満ちた声でからかう。
「人間を馬鹿にしているくせに本気を出したってか?」
「……そうだな。だが、加減してやるのはあくまで命をとらないまでだ」
そう言って、彼女は傍から隆起した岩石塊が砕かれ、黄金色に染まった矛槍を手に取る。
彼女の身に包んでいた気配が変わり、カナリアも言葉を噤む。
「参るとしよう」
そう言って、空いている片手で眼鏡を取り外し、虚空へと納める。そして、すかさず小さく構えを作り、一気に地を蹴飛ばして斬りかかる。
大きく振りかぶって、繰り出した薙ぎ払いはカナリアが受け止め、空中へと躱すアビス。受け止めた彼女に構わず、押し通そうと力を入れるが、
(――見目に違って力持ちだな――)
そのまま、押し通そうと考えを過るが空中から襲ってきているアビスの動きがある。アレスティアはすかさず、彼女は矛槍を引き下げた。
「はぁっ!!」
同時に、アビスの青色のレイピアの一突きを簡単に躱す。彼女は追撃せず、横へ避ける。アビスが移動して、カナリアの姿を捉えた―――今度は胸一杯に吸い込んで、こちらへ、
「―――ッオオッラァーーーー!!!」
爆音と衝撃波が共に襲い掛かる。
「!」
アレスティアは思わぬ攻撃方法に目を瞠ったが、そのまま吹き飛ばされる。
全身を壁にぶつけられたような痛みが衝撃波にはあった。
(思わぬ一撃、反省だわ)
矛槍と、自身の身体能力のよさからしっかりと地に受身を取り、体勢を調える。好機と見てか、カナリアはもう一度、先ほどの咆哮を繰り出した。
「ぬるい」
アレスティアは大地の『半神』。
真髄は周囲の大地を変異させ―――、
「守れ」
咆哮の衝撃を大地の壁で包み込んで、受け止めて、その表面から
「放て」
破裂と共に飛び散る石の飛礫が襲う。
「なっ!?」
「カナリア!!」
アビスは咄嗟に前に出て、青いレイピアによる素早い連続のつき攻撃で飛礫を防いだ。
だが、全てを斬りおとせず彼女の体を掠めたり、ヒットするものもあった。その痛みを堪え、飛礫がやむ。
「ライトニング・アロー!」
切っ先をアレスティアに向け、魔方陣が出現する。大小無数の蒼白い雷光の矢が一斉にアレスティアに降り注ぐ。
依然、変異した岩の壁に覆われているにも関わらず彼女はライトニング・アローを降り注がせた。
「おい、アビス……」
「大丈夫」
静かに自信に満ちた声で、返した彼女はレイピアを地面に刺し、
「ライトニグ・オーバーロード!!」
(――まさか!!――)
アレスティアは防御のために動きがとれずにいる。そんな中、雷撃の矢の雨を防ぎ、さらにはその矢を媒介に、新たな魔法へ転じられる―――その時、蒼白い雷光が爆発と共に閃光を放った。
大奔流の雷撃と光を唖然と見据えるカナリアに、アビスは注意の呼びかけをした。
「……カナリア、まだよ」
「え、でも」
『驚いたわ』
突然、声と共にアレスティアがいた場所から幾重にも隆起した岩が姿を現す。
「!?」
「――でも、まだまだ」
隆起した先頭の岩が砕け、中からアレスティアが立ち上がった。
矛槍の石突をつき、同時に彼女の周囲にある隆起された岩石群が一斉に大粒に砕かれていく。
「『巌岩の神衣』」
声と共に、岩石群はそれぞれパーツのように組み合わさり、構築されていく。
唖然と驚きに言葉を失うカナリアに、アビスはすかさず構築を阻止しようとアレスティアに攻撃を仕掛けた。
「蒼烈閃弾!!」
レイピアの一振りと共に、無数の青色の光弾が放たれた。だが、アレスティアは既に構築を終えていた右腕で光弾を防ぎきった。
「ちっ」
「っかああ――――ッ!!」
遅れて、カナリアも口から瞬く間に収束された破壊光『虚閃』を放射する。広範囲の虚閃で、本体諸共、他の未完成のパーツにダメージを与えようとした。
「無駄」
やがて、無傷のアレスティアの姿が岩に隠れ、岩石の塊を組み合わせ、構築して、形に象らせた『巌岩の神衣(げんがんのしんい)』による戦闘形態に変わった。
象られた姿は4本巨大な腕、ずんぐりむっくりなシュールなボディ、岩の顔に金色の炎が燈され、一見
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