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第三章 三剣士編第十話「揃う切っ先」

「これで―――終わりッ!!」

 ゼツの一声とともに繰り出した黒炎を纏った一閃が最後の1体だったKRを両断した。頭部から真下に割られ、崩れたKRの中からハートが空へとのぼり、すぐに消えた。

「皆、無事か?」

「問題なかったわ」

 平素に返した彼女は刀を納め、捕縛したKRを見下していた。
 中身は空洞、あるものはハートだけのこの異質な存在に、興味を抱く眼差しで見下している。
 
「ミュロスの結界も消えたようだな」

 ラクラの安心した表情で街を見やると、覆い込んでいた結界が小さな鳴動とともに消えた。すると、街からミュロスが彼らのもとにやってきた。
 彼らを軽く一目見て、安堵の微笑をゼツに向けた。

「その様子だと深手はいないようね?」

「――俺は深手を負ったがな」

 ミュロスの言葉に、ゼツたちのKRとの戦いに遅れて参加していた男性イザヴェルが嘆息まじりにつぶやいた。
 しかし、あえて彼を無視した彼女は武器たる本『マテリアル・ブック』を開き、中から栞を取り出す。連絡用の術を宿した栞は、城のほうにいるアイネアスの手元に在る栞に連絡を発し、彼らへ連絡を取り始めるのだった。

「―――アイネアス様、サイキ様、ご無事でありますか」

 ミュロスの隠しきれない小さな不安な声に、アイネアスは常からの冷静な声で返す。

『ああ、遅れてやってきた神無たちの仲間に協力して退けた。彼らの気配はもう、無い。恐らく街に襲わせた騎士たちが全滅したら撤退と考えていたのかもしれない』

「……そうですか。一応、向こうの彼らにも連絡しましょうか」

『いや、急に戻ってこられてもどうしようもないから、いいよ。今は、われわれだけで後処理しよう。町の住人たちは無事だろうね?』

「はい、それは私が保証します」

 彼女の毅然とした声に安堵を浮かべ、

『なら、任せるとしよう。では、失礼するよ』

 と、通信を切り、それぞれの行動に戻った。




神の聖域レプセキア

 第一島の神殿―――カルマの部屋(神殿内部は館のように数多くの部屋が存在する。もちろん、空き部屋を利用し、洗脳を受けた彼女は拝借した)で。

「―-―そう、1体だけ奪われてほかは破壊されたのね」

「……」

 白と黒に色分けされた無機質な仮面、その意匠に合わさったモノクロのコートを着た女性が自分にひざを付いて、報告をした4人を詰った。
 4人は言い訳もなく、無言の肯定を示した。もとより、30体のKRこと『キーブレード・レプリカ』はデータの採取に過ぎない。データはすでにほかのKRに取り込まれ、更なる成長をとしたはずだ。

「まあいいわ。戻って治療を受けなさい」

 カルマの一声で、許可を得た4人は何も言わず、部屋を出て行った。出て行く姿を見届け、部屋から遠ざかったことを見計らって一息ついた。
 それは、若干のため息も含んでいる。仮面をはずし、彼女はもう一息ついた。

「―――半神、三剣士、全てそろいつつある。全て、私の掌の中」

 彼らを圧倒的な「あの力」で掃滅し、最後に、あの愚神を討ち、世界を改める。その為に、神たらん力―――「あの力」で、神となす。

「……全てはレプキアの、所為よ」

 神の癖に、人を救わず、
 神の癖に、世界を救わず、

「私だけが、生き残った……」

 救えなかった「あの人」。
 守れなかった「あの人」。

「―――永い時を彷徨った」

 無機質な仮面をつけ、幽鬼のように生きてきた。
 だが、「彼」から聞いた三剣の存在、そして、「神」の存在。

「終焉(お)わる―――開闢(はじ)まる」

 それは、「あの人」の魔法の、約束の、言葉。


 
 一方、心剣世界では神無たちが戦いを終えて、全員が集合し、半神たちは彼ら人間に、ともに闘うことを決意し、団結をつないだ。
 すぐにビフロンスとは戻らず、彼らは治療を行っていた。そして、一先ずの回復を終え、彼らはビフロンスへと帰還した。

「―――何っ!! 敵が着ていたのか!!?」

 ビフロンスの心臓ともいえる城の会議の広間で双方の話し合いを再びし始め、ビフロンス側のその間に起きた鎧騎士たちと、操られた者たちとの戦闘を聞かされた神無たち、半神たちは面を食らっていた。
 ひどい話、神無たちと半神たちの「内輪もめ」の最中に敵側が襲ってきたのだ。誰一人無事でいたのは良かったが、反省せざるをえない。

「……まあ、なんだ。俺たちでなんとかできたからいいじゃねえか」

 迎撃に参戦していた黒髪の青年ゼロボロスがやや困ったようにつぶやいた。アイネアスも気にしないでいいと言った。
 すると、遅れてミュロスが入ってきた。すぐそば浮遊する結界の球体の中には封印されている鎧騎士がいた。

「―――今回、襲ってきた敵の1体です。詳しいことは今から見せま
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