無数の星の海を漂う、一つの大きな船(グミシップ)。
その船の中で世界を旅する彼らは、次の目的地に着くまでシップ内にある休憩室で束の間の休息を取っていた。
ソファやテーブルなど、ある程度物が揃っている部屋で五人はそれぞれ寛いで疲れを癒す。
そんな中、ヴェンと共にソファに座っているソラが壁に凭れているオパールを見た。
「なあ、思ったんだけど…」
「なに?」
「このグミシップの名前なんだけど…『シエラ』ってどう言う意味なんだ?」
そんなソラの質問に、オパールは困った表情で頬を掻く。
これには隣にいたヴェンだけでなく、向かい側に座っているカイリや、窓側の壁に凭れていたリクも興味を持ってオパールを見る。
四人の視線に耐えれなくなったのか、オパールは正直に白状した。
「シエラってのは、何て言うか…――昔、シドと同棲してた女性の名前なのよ」
「「ええええええええええええええええっ!!?」」
予想しなかった言葉に、ソラとヴェンは思わず驚きの声をあげる。
だが、カイリだけは目の色を変えて身を乗り出してオパールに詰め寄った。
「ねえ、オパール!! その話、ちょっと詳しく聞かせて!!」
「いいわよ! でね、昔はシドって――」
オパールまで乗り気になり、シドの過去を暴露し始める。
それをカイリが真剣な表情で聞くのを見て、リクはすぐさま目を逸らした。
「女の恋バナが始まったな…」
「あれ、結構長いんだよな…」
ソラもリクに言葉を返すと、二人同時に溜息を吐く。
それにヴェンがどう返していいか分からず、思わず視線を窓の外に向ける。
すると、目的地である一つのワールドを見て目を見開き、ソファから立ち上がって窓に駆け寄った。
「あれは…『オリンポスコロシアム』!?」
「知ってるのか?」
「ああ。前に来た事あるんだ……ヘラクレスやフィル、元気にしてるかな…?」
ソラに頷きながら、ヴェンはじっと目的地であるワールドを見る。
その間にも、着々と船はワールドへと向かっていた…。
さまざまな神々が集い、英雄を生み出してきた世界―――オリンポスコロシアム。
ワールドに着いた五人は、さっそく町でも一際大きな闘技場の入口へと降り立つ。
すると、ソラが真っ先に走り出して目の前の立派なコロシアムを見上げた。
「うっわー…もう闘技場が直ってる!!」
「直ってる?」
何処か嬉しそうに言うソラに、ヴェンが歩きながら近づいて首を傾げる。
他の三人も分からない表情を浮かべていると、ソラが頭の後ろで腕を組んで事情を話した。
「ああ。この前、ハデスの所為でここの闘技場が壊れてさー。あの時は凄かったなー」
「へー。悪い奴なんだな、そのハデスって奴!」
「もっちろん! そいつ、この世界で知り合ったクラウドって奴を騙したり、冥界で会ったアーロンを操ったりして――」
と、ソラがハデスのやった事を感情をこめて説明していると、不意にリクが顔を逸らす。
それに気付いたのか、オパールがそっと顔を覗き込むと視線を下に向けて唇を噛み締めていた。
まるで嫌な事を思い出したような表情に、思わず声をかけた。
「どうしたの? 顔色悪いわよ?」
「…何でもない。ほっといてくれ」
「あっそ!……何よ、人が心配してるってのに…」
そっけない言葉に、オパールはすぐに顔を逸らすも小さく本音を呟く。
そうこうしていると、闘技場の扉が開く音が響いた。
「困った、実に困った…」
見ると、下半身がヤギのような小さなオジサンが腕を組んで歩いてくる。
この人物に、ソラとヴェンは目を輝かせながら近づいた。
「「フィル!!」」
二人の声に、フィルと呼ばれた人物は顔を上げた。
「おお、ソラ! と、お前さんは…?」
「フィル! 俺だよ、ヴェン!!」
「ヴェン…? まさか、あのヴェンか!? おお、実に懐かしい!!」
ここでようやくヴェンを思い出したのか、フィルは嬉しそうに手を握って再会を喜ぶ。
そんな三人をカイリ達が離れた場所で見ていると、ソラが何かを思い出してフィルを見た。
「そうだ、フィル。何か困ってたみたいだけど?」
ソラの疑問に、ヴェンだけでなく残りの三人もフィルに注目する。
すると、フィルは再び困った表情を浮かべて二人に説明した。
「実はな、闘技場再建築記念と称した闘技大会を開きたいのだが……思ったよりエントリー人数が少なくて困っているのだ…」
「「だったら俺がっ!!」」
この言葉に、二人が目を輝かせながら即座に詰め寄る。
純粋な眼差しで詰め寄る二人に、思わずフィルが後ずさりする。
直後、二人の頭に固い何かが勢いよく落ちた。
「「いてぇ!?」」
突然の事に、二人は蹲りながら振り
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