闘技場にある、ロビーの一つ。
そこにルキルは連れられるなり、紙に何かを書いているハデスを見ていた。
「えーと、まずは名前に出身地…身長体重好きな食べ物トレーニングと神様に――」
そうブツブツ言いながら、ハデスは勝手に質問の所を書いて行く。
やがて書き終えたのか、ペンと紙を煙に変えて消した。
「――とまあ、これでエントリーは終了」
「それで、これって勝ち続ければいいのか?」
ルキルが聞くと、ハデスは大して興味のなさそうに頷いた。
「まあそうなるな。いいか? ルール32、勝って勝って勝ちまくれ!!」
「分かった」
それだけ言うと、ハデスを無視するかのようにルキルは闘技場に続く廊下に足を踏み入れる。
そんなルキルを、ハデスは探る目をしつつ腕を組んだ。
「ふん…あのガキ、忘れたフリをしてると思ったが…――どうやら別人のようだな…」
前にある世界で会った“あの少年”を思い浮かべながら、ハデスは結論をつける。
だが、次の瞬間。ニヤリと笑いながらルキルの去った廊下に目を向けた。
「まあいい。マレフィセントのように利用させるだけさせて貰うか」
「ふーん……面白そうな話してるわね」
「誰だっ!?」
突然の第三者の声に、ハデスは後ろを振り返る。
そこには、金髪の少女と全体を覆う黒のマントを着た男が立っていた…。
「てやぁ!!」
闘技場の中央にある、西と東に一つずつある戦いの為に作られた広場。
それぞれの広間には周りには沢山の観客達がいて、中央で戦う戦士の姿に興奮の声を上げる。
そんな大勢の観声の中、西ブロックにいるリクはキーブレードを軽く払いながら倒した相手を見た。
「その程度か?」
どこか余裕を見せるリクに、さらに観客達から歓声が上がる。
この観客達に交じって、ソラとヴェンが見ていた。
「すごいな、リク…」
「そりゃあ、リクは島一番で強いし!」
リクの強さに驚くヴァンに、ソラは得意げに話す。
そんな時、少し離れた所で二人に向かって声がかけられた。
「おーい! さっさとジュース持って来い!」
「私、ポップコーンねー!」
「「わ、分かりましたー!!」」
すぐに答えると、二人は急いで首からぶら下げているポップコーンとジュースを持って客に近づく。
さて、ソラ達と反対側の東ブロックでは、カイリとオパールも同じようにお客に食べ物と飲み物を売っている。
代金と引き換えにジュースを渡し終えると、不意にカイリはソラ達のいる西ブロックの方向に目を移した。
「ソラ達、ちゃんとやってるのかな…?」
「大丈夫でしょ。さっ、後でバイト代手に入れる為にもガッポリ稼ぎましょう!」
目を輝かせて拳を握るオパールに、カイリは苦笑を浮かべる。
今こうして売り子になっているのは、これがフィルの言った『手伝い』だからだ。それでも一部の売り上げは貰えるのだから、一種のアルバイトと言えなくもない。
そんな時、歓声が上がる。二人が見ると、何と斧を持った強そうな戦士と見知った銀髪の少年が悪魔の羽を象った剣を持って現れた所だった。
「ねえ、オパール。あれ、リクじゃない?」
「ホントね…――でも武器も違うし、あんな服に着替えて…演出の一種?」
先ほどのリクとは違う服装に違う武器を持っているので、思わず二人が首を傾げる。
さて、そんな二人の反対方向でも声を上げる観客に交じって首を傾げる者がいた。
「あらあら、あんな子も参加して…大丈夫かしら?」
「ルキル、いつの間に参加を…?」
クスクスと笑うメグの隣で、アクアは不思議そうに構えを取る彼を見つめていた。
太陽が照りつける、低くも広大な山。
ある程度日が差した森の中で、一つの大きな光が突如現れる。
その光の中から、顔を白布で隠した男―――エンが翼を纏った状態で現れた。
「…ここか」
辺りを見回すなり、すぐに白の翼を消す。
すると、エンは徐にしゃがみ込むとその状態で地面に手を翳す。
小さく何かを呟くと、地面に割れたガラスのようなきらめきが現れる。
やがてそれが宙に浮かびあがり、エンの掌に集まるように一つの光となる。
最後の欠片が入ると同時に光は輝き、ボロボロの一枚の白い羽根となって彼の手に収まった。
「見事に壊されている…さすが、“世界は広し”だな」
何処か感傷深く呟き、ボロボロとなった羽根を見る。
盗聴や追跡の部分が粉々に壊された今、これは微かに自分の魔力を感じるだけの代物だ。これでは使い物にならない。
エンは手を広げて羽根をその場に捨てていると、自分の聴覚に何かが過ぎった。
「――『バニッシュ』」
魔法を唱えると同時に、エンの姿が一瞬で消えてしまった。
だがその場から消えた訳ではな
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