エンディングフェイズ3〈再会〉
シーンプレイヤー 海命凍矢
冷牙の死から更に数日。凍矢はいつも通り学校に登校していた。
いつもの日常。いつもの出来事。一つ違うのは、月の席が空席だと言う事だけ。
席に座りながら凍矢が眺めていると、イルト達が近づいてきた。
「ねぇ、凍矢。月、まだ入院してるの?」
「ああ…来週には退院する予定だけど」
「それにしても、帰りに交通事故に会うなんて…入院で済んで良かったけど」
「だよなー。この前、広い交差点で起こった飲酒運転による交通事故なんて多くの死者が出たんだもんなー」
「都会で設備されてるけど、私達も車には気を付けないとね」
エイル、イルト、ガレットの話に、凍矢は複雑な思いを浮かべる。
月が交通事故に遭って入院している。これが、学校を休んでいる表向きの情報だ。だけど、本当は冷牙の罠で重傷を負ったからだ。飲酒運転による事故と言うのも、戦闘用人格の事件でジャームとなった人々を処理した際に不審がらないよう隠蔽する為の情報だ。
こうして日常は守られていく。嘘を嘘だと信じずに。
「みんな、席につけー。今日は転校生を紹介するー」
物思いに耽っていると、HRの時間になって担任が入ってくる。
イルト達も他の生徒同様に席に着くと、真新しい制服を着た一人の少女が教室に入ってきた。
「やったー、女子だー!」
「うおー、俺らに春がやってきたぞー!」
「しかもスペック高い! 非リア充卒業だー!」
「何か、バカな発言している…」
テンションが一気に上がって騒ぎ出す男子のクラスメイトに、凍矢は一人苦笑を漏らす。
「それじゃ転校生、自己紹介を」
「は、初めまして…! 狭川羽粋で、す…」
お辞儀をして自己紹介すると、彼女は何故か凍矢を見て固まってしまう。
「さて、空いている席は――どうした?」
担任もその事に気づき、周りの生徒達も不思議そうに凍矢と転校生を交互に見る。
「え、えーと…?」
「もしかして…とう、や…?」
「え…!」
「やっぱり凍矢だ! 私の事、覚えてない? 数年前まであの町で一緒だったでしょ!」
そこで凍矢は思い出す。
彼女は、自分が生まれ育った町で子供の頃から一緒に暮らしていた――所謂幼馴染の関係だと。
エンディングフェイズ4〈利害一致〉
シーンプレイヤー 七雲空
都会の賑わいから離れた所に存在する裏路地。
そこでバイクを停めて腰掛け、何をするでもなくぼんやりとした時間を空は過ごしていた。
「依頼、こねーな」
(あぁ…)
「どーすんだよ、今月のバイクのローン?」
(あぁ…)
「こんな事なら、狭間の奴に前金払わせておくんだったなー」
(あぁ…)
「…宿主、聞いてるのか?」
(あぁ…)
「…そんなに不満か? 力を出し切れなかった事が」
(ち、違う! 俺は――!)
弾かれたように蒼空が否定をするが、すぐに感情が沈んだのか弱々しく理由を話した。
(冷牙の言葉が、刺さってるだけだ…)
「ったく。あいつが言った事は大半がデタラメだろ、宿主が気にする必要なんてない」
(そう、なんだけど…)
「…確かに、俺らの力は壊すだけの力しかない。凍矢みたいに防御と支援に特化している訳でも、翼のように頭が良くて何でも熟せる訳じゃない。ましてや、月のように敵の攻撃を防げる方法も持ってない」
攻撃を防ぐ力も、援護する事も、妨害すらも出来ない。
敵を倒すだけの純粋な力しか、自分達は持っていない。
「それでも、護れるモノだってあるだろ」
そして、空はハッキリと告げる。自分達の持つ力の可能性を。
普段の彼からは決して出ないような言葉を聞かされ、蒼空は内心で目を丸くした。
(……相棒)
「ったく、普通ならこれは宿主の言葉だろ! 俺に言わせるな…!」
乱暴に話を終わらせると、空は恥ずかしそうに頭を掻く。
彼なりに励ましてくれたのだと蒼空は分かり、お礼を言った。
(ありがとな、相棒。本音を言うと、最近妙な夢を見る様になってさ…それでちょっと考えさせられてた)
「夢?」
思わず空が聞き返した時、電話が鳴った。
「誰だ?」
携帯を取り出すが、表示されているのは知らない番号だ。
少し警戒して通話ボタンを押して耳に当てると、それは予想もしなかった人物からだった。
《七雲空か。闇代陸だ》
「は!?」
《時間がないから短めに話す。お前達に接触したのは他でもない》
そう前置きすると、彼は用件を伝えた。
《俺と手を組んでほしい。【ダークカオス】の企みを阻止する為にも》
エンディングフェイズ5〈次なるプラン〉
シーンプレイヤー 御坂翼
この日、翼は学校に行かず喫茶店に立ち寄ってい
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