愛衣の案内で廃倉庫の奥に進むと、行き止まりの所で壁に手を付ける。
すると隠し扉が現れ、更に奥に進むための階段が現れた。
愛衣『この先の部屋が、この町のUGN支部となります』
星華『ふぅ…目的と挨拶が逆になってしまったが、まあどうにかなるだろ』
響『どういう事? えーと…』
星華『まだ名前を名乗っていなかったな。俺は天義星華だ、彼女は黒羽蒼空と言う』
蒼空『勝手に名前教えるな!』
響『あたしは大晴響。で、彼は時夜陸、本名はリカだって』
リカ『先に名前を教えるな…いいや、どうせすぐにバレる事だ』
星華『俺はこの支部に派遣と言う形でこの町にやってきたんだ。君達のように一か所に長居はしない、任務があればそこに赴き、終わればまた別の場所に向かう…そんな生活だ』
愛衣『UGN支部は私達にしてみればセーフハウスとなるのです。一つの町に留まれば、その分FHに気づかれてしまいますから』
蒼空『コソコソ動き回るUGNらしい逃亡生活だな』
星華『否定はしない。愛衣、話は通してあるか?』
愛衣『もちろんです。流石に客人の話までは出来てませんが』
星華『話は俺がつける――着いたな、入るぞ』
星華が先頭になって、支部の扉を開ける。
待っていたのは、こちらに向けられた数多くの銃口だった。
支部長『ようこそ、本部エージェントの方。早速仕事を熟してくれたようで』
星華『あんたが責任者か? 随分過激な歓迎だな』
支部長『私はUGN渋谷支部長を務める、須郷伸之と申します。早速遺産回収の任だけでなく、マスターエージェントまで捕らえるとは何という手腕の高さ。さあ、その二人を渡して頂きましょうか? なに、今の我々なら始末も出来る』
四人「「「「………」」」」
GM「おや? 絶対絶命のピンチに声も出ませんか?」
オパール「……ねえ、この須郷って、あれよね?」
ルキル「ソード・アート・オンラインの…」
SM「ああ。いい悪役いないか探していたんだが、丁度ピッタリな奴が見つかったんで拝借させてもらったんだ」
クウ「ヒロインを無理やり手に入れようとしたり、主人公の心平気で抉ったり、ゲームシステムを自分勝手に悪用したりで、結構なゲスキャラだよなこいつ…」
オパール「こんな奴を支部長にするって、【エンドライン】のUGNって本当に生き残るのに必死なんだね…」
スピカ「メタ視点になるが、どうせこのピンチは切り抜けられるんだろう? だったら俺がRPしてもいいか?」
GM「はい、構いませんよ」
愛衣『…だ、そうですよ?』
星華『そう来ると思っていた…愛衣、客人を別室に案内してくれ。彼らは俺が説得する』
愛衣『了解です。皆さん、こちらにどうぞ』
響『え、え? いいの?』
支部長『勝手な事をされては困りますねぇ? まさか、裏切りを――』
直後、取り囲む部下達の拳銃が次々と宙を舞う。
音を立てて武器が床に落ちる中、星華だけは部屋の中央で両手の拳銃を構えて凛として立っていた。
星華『――勝手な事ほざいているのはどっちだ、無能が?』
支部長『な、なに…!』
愛衣『さあ、今の内に行きましょう』
リカ『い、いいのか?』
蒼空『大丈夫なんだろ。行こうぜ』
響『ちょ、ちょっと!?』
愛衣に続くように蒼空は、リカと響を連れて隣の部屋へと移動する。
他の者達が止めようとするが、その前に星華の鋭い眼光と共に銃口が油断なく向けられる。
星華『この支部のイニシアチブを握っているのはお前じゃない、この俺だ。お前らは現在この町では指名手配中で身動きも取れない状態。だからわざわざ、今回の任の為に遠方から俺が呼ばれた。そうだろう? 肝心な時に動けない部隊長を、無能と言わずに何と呼ぶ?』
支部長『ふざけるな、青二才が!! 遺産を手に入れ、ついでにあの女の首も貰うのが我々の仕事だ!! お前達、この裏切り者を始末しろ!!』
星華『やれるものならやってみろ。FHセルによって厳戒態勢を敷かれた町で銃撃戦など起こせば、それそこ俺も、お前達も、あの三人も全員抹殺され遺産は再びFHの元に戻るだろうなぁ? 下手すれば名声もない三下に全てを横取りされる可能性もある。そうなったら間抜なテロリストとして世界中で笑われ者となるだろうな』
支部長『き、貴様ぁ…!!』
星華『何も遺産をUGNに渡さないと言う訳じゃない。あの少年によると、遺産は相当危険な代物らしい。詳しく調べる必要があるから、その間ここを拠点としたい。それだけだ』
支部長『危険かどうかは我々が調べる!! 貴様ら、こいつをさっさと殺してあいつらから奪い取れ!!』
支部長の命令に部下が動こうとする。だが、星華は牽制で三人の所へ向かおうとする彼らの目の前に一寸の狂いもなく弾丸を放って
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