「とにかく、さっさと行きましょうか。次は【トリッカー】だっけ?」
リラが次のチームに目を向けると、準備万端なのかある二人が前に出た。
「それでは、私達のチームの策士が思いついた手札を使おうか」
「オッケー! 追撃は任せて!」
武器であるカードを手に微笑むルクソードに、幾つもの合成アイテムを持つオパール。
オパールはその場でしゃがみ込んで合成を始め、ルクソードはキノコに向かうと同時に軽く手を振るう。
「ギャンブラー!?」
突如、キノコの周りに現れた幾つもの配下ノーバディに驚くソラ。
すると、カヤが鼻を高くして説明した。
「『ノーバディを使ってはいけない』ってルールは無かったからな。威力は低めだが、ラクシーヌ達みたいに回復は防げる」
「そう言う事だ。はあぁ!!」
更に幾つもの巨大なカードも呼び出し、キノコに攻撃を仕掛けるルクソード。
ギャンブラーとカードの攻撃も合わさって着々とキノコの体力を減らし、残り時間10秒の所でオパールが立ち上がった。
「出来た!! ルクソード、頼むわよ!!」
その言葉を合図に、ルクソードは巨大なカードを何枚も呼び出して両端にいる他のキノコを覆い隠した。
「あたしのお気に入り!! ホワイトホール、サンダーボルト!!」
出来上がった二つの魔石を同時に投げつけると、キノコに向かって光の光線と電撃が広い範囲で襲い掛かる。
だが、カードのおかげで両端のキノコに攻撃は当たる事はなく、別チームの得点が上がるのを防いでいた。
「ルクソードのカードで攻撃を防ぐとは…」
「『他のキノコを守ってはいけない』なんてルールも何処にもないからなー」
この光景にテラが驚くと、この作戦を思いついたカヤがご機嫌になる。
そんな中、【トリッカー】のキノコはHPが0になったのか起き上がって花火を上げた。
「やった、10点獲得です!」
「さすがはカヤ。頭の出来が違いますね」
無事に満点を取ってジェダイトとゼクシオンが喜んでいると、リラが次のチームに目を向けた。
「この調子でパパッと進めるよー。【父子家庭】スタート!」
「では、ここは妾とレイシャで行くとしましょうか」
「そうだね…行くよ!」
ゼノとレイシャがそれぞれ武器であるキーブレードを取り出す。
そして先手必勝とばかりに、レイシャが一気にキノコへと迫って攻撃する。
「まずは回復を封じる! デスペリア・ベノム!!」
素早くゼノが魔法を唱えると、黒い瘴気を使ってキノコを毒状態にする。
こうして回復を防ぐ事に成功したのを見て、レイシャが動く。
「いち早く新技使わせて貰うよ!! シャドウスフィア!!」
「そして妾も…ダークヘイズ!! ダークファイガ!!」
レイシャは切先から次々と黒い球体を放ち、ゼノも闇を纏って一気に近づいて攻撃すると黒い炎を放つ。
互いに闇の攻撃をし終えると、キノコは満足そうに花火を打ち上げた。
「10点獲得だな」
「見た目に寄らず、戦闘能力は高いようだな」
同じチームであるレクセウスとザルディンが二人を冷静に分析する中、隣のチームから不穏な空気が流れ出した。
「ゼノの奴め、本当にあの時に始末しておけば良かったぜ…!!」
「それは、彼女にトドメを刺すチャンスがあったと言う事ですか?」
忌々しげにゼノを睨むウラノスに、エンが尤もな質問を投げつける。
「あぁ。だが、どっかの誰かさんの所為でそのチャンスが潰れたんだよなー、ホントどっかの誰かさんの所為でぇ?」
「すいません…ホント、すいません…!!」
「何であなたが土下座するの?」
殺気だった目で愚痴を吐くウラノスに、どう言う訳か隣のチームにいたクウが深々と土下座する。
事情を知らないテルスが首を傾げるが…詳しくは誕生日企画の番外編を読んで頂ければ分かります。
「それにしても、レイシャってあんなキャラでしたっけ? 『レイディアントチルドレン』では、もう少し…活発だったイメージがあるんですが」
「そこら辺は、何と言うか…この後のお楽しみと言う事で…」
若干雰囲気の違うレイシャに疑問を感じるナナに対し、リラは冷や汗混じりに答える。
まあ、話したらマズいネタバレがある分、それも当然だろう。
「ネタバレ関連の話をするのはいいけど、そろそろ私達の方に移させてくれない?」
そうしていると、不満げなスピカの声が飛んでくる。
すぐに作者二人はスピカを見るが、よく見ると何時もの闇の細剣ではなく金の装飾がなされた黒い銃剣を握っていた。
「ス、スピカさん? その黒いガンブレードは何処から?」
「これ? あなたがさっき言った『この後のお楽しみ』って所よ。それより…《没技》の件、本当に使っていいのね?」
「没技?」
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