それから数分後。ウィドの大技によってセットの一部が半壊された状態で、ナナが大きく溜息を吐きながら話し出した。
「――さて、前回ウィドの暴走で終わったんで、現状確認しておきましょうか…」
「ウィドさんの攻撃で【ヒーロー&ヒロイン】のキノコは30秒以内にHPが0になったから満点ゲット。さらに【そっくりさん】のキノコにも攻撃が当たっているから体力が減らされた状態でのスタートとなる訳ですかぁ…」
リラが丁寧に現状を説明すると、原因を作った【裏切り者】のいる場所へと目を向ける。
そこには、サイクスとラクシーヌが怒りの目で正座するウィドを睨んでいた。
「リズの所為とは言え、何てことしてくれたのだ…!!」
「あんた、そんなに黒焦げになりたいの…!?」
「面目ありません…」
「『学者モード』までなくなっちまったら、あたしら本当に打つ手無しじゃないか…」
正座しながら反省を見せるウィドに、ラックは絶望にも似た暗い表情で頭を押さえる。
ちなみに、被害に遭ったチームはと言うと…。
「うおぁ…!」
「痛いよぉ〜…」
「ぶ、無事か…ナミネ…」
「ごめんね…ロクサス」
グラッセとシャオは大怪我で動けず、あの攻撃からナミネを守ったのかロクサスがボロボロの状態で介抱されていた。
他にも、自力で身を守った人もいれば身を挺して庇われた人もちらほらいる。
「あっちはあっちで、チームの半数が戦闘不能か…」
「それだけが唯一の救いだな」
マールーシャとアクセルがしみじみと言っていると、リラが手を叩いた。
「さ、回復作業してる所悪いけど、【そっくりさん】はゲーム始めるよー。一撃当てれば終わるだろうけど」
「ここは俺達に任せて!! リク、一緒に!!」
「もちろんだ!!」
すると、リフレガとダークシールドで防御して無傷で済んでいたソラとリク(その際、カイリもちゃんと守っていた)は戦闘不能となったメンバーへの回復の手を止めてキノコへと走る。
そんな二人に、ナナは小さく舌打ちする。
(ウィドの暴走で十分だと思ったのに……これ以上点を取らせるものかっての。ポチッとな)
黒い事を考えると、一つのボタンを押す。
直後、リクの真上の天井が開き大量の水が落ちて来た。
「え――ぶふぉ!?」
「み、水…?」
「このパターン、どっかで見た気が…?」
この光景にカイリとオパールがデジャブを感じていると、慌ててソラが振り返った。
「リク、大丈夫か!?」
「あ、あぁ…どうに、か…っ…!?」
返事を返していたリクは、自分の身体の異変に気づき硬直する。
自分でも分かるやけに高い声。大きくなった胸部。筋肉がなくなり細くなった身体。
ここまで言えば想像がつくだろう。
「な…何で女になってるんだぁぁぁーーーーーーっ!!?」
この変わり果てた自分の姿に、絶叫を上げるリク。
突然の事に他の人達もポカンとする中、何故かカイリが笑顔で近づいてリクの胸を鷲掴みする。
爪を立て、物凄い握力で。
「それにしても、あのゼノと同じでここだけすっごく大きいよねー? 私へのあてつけ?」
「いだだだっ!? カイリ、胸!! 胸が千切れる!?」
「ど、どうしてこんな事に…?」
仲間割れ(?)を尻目に、隣にいたソラは疑問を呟く。
すぐにリクがカイリの手を引き離しながら周りを見回すと、してやったりの表情を浮かべたナナに気付いた。
「お前が原因か作者ぁぁぁ!!!」
「いやー、前に本編のあとがきで『娘溺○』ネタは宣言してたからねー。有言実行って奴だよー?」
「そんな言い分どうでもいい!! どうするんだよ、この身体ぁ!!?」
「どこぞのゲームでは、女になったらキャラ固有能力の性能が良くなるけど?」
「ディス○イアD2のネタ引っ張ってくるんじゃねぇぇぇ!!!」
「リク、駄目だって!?」
「攻撃なんかしたら、作者の思うツボだよ!?」
今すぐにでもナナに斬りかかろうとするリクを、後ろからソラとカイリがしがみ付いて拘束する。
そんな中、オパールは大広間の出口へと駆け出していた。
「リク、待ってて! すぐにお湯を――!」
「オパール、待ちなさい」
その時、急にゼクシオンがオパールの肩を掴んで足を止めさせる。
そのまま耳元でヒソヒソと何かを話すと、輝かしい笑顔でリクに振り返った。
「――うん、このままでもいいよね♪」
「一体何を吹き込んだぁぁぁ!!!」
一瞬で心変わりをしたオパールに、たまらずリクはゼクシオンに怒鳴り付けた。
「何でもいいじゃないか。大体、敵を有利にさせる程愚かじゃないし」
「カヤの言う通りです。今もしがみ付いている幼馴染を引き剥がせずに立ち往生している所を見ると、腕力も劣っている
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