エンディングフェイズ2〈勝利の代償〉
シーンプレイヤー 闇代月
結界も完全に解け、外に待機していたUGNスタッフが続々と学園に入ってきた。
今や校庭では屋台の代わりに沢山の医療テントが接地され、体育館内では保護した人の記憶操作が行われている。校舎はUGNスタッフが戦闘を起こして壊れた建物の修繕をして駆け回っている。
そんな後始末を見て回る、凍矢と月。そんな二人に、前方からネクとヨシュアがやってきた。
「凍矢くん、月くん、お疲れ」
「ヨシュア、ネク。ああ、どうにかな」
月も言葉を返すと、ネクが訊く。
「もしかしてお前ら、手伝いに来てくれたのか?」
「ああ。これだけUGNのスタッフが働いているんだ。流石にじっとしてられなくて」
「ああ。俺も回復は使えるから手伝うよ」
そんな二人の申し出に対し、ヨシュアとネクは首を横に振った。
「ううん。君達は休んでていいよ、一番大変だったのは君達なんだから」
「ヨシュアの言う通りだ。後の事は俺達でやっておく。お前らの戦いに参加出来なかったんだ、これぐらいさせてくれ」
「…なら、お言葉に甘えるとするよ。サンキュ、二人とも」
自分達の事を思って休ませようとしてくれる二人に、月も優しさを受け入れてお礼を言う。
そうして二人と別れ、さてどこに行こうと凍矢と共に医療テントを見回っていると、一人の女性が困ったように辺りを見回していた。
「あなたは?」
「えーと、あなたはUGNの人? 救護班のテントって、どこにあるか知らない? 私の娘…羽粋がそこにいるの」
「娘!? あ、まさかあんた、羽粋の母親!?」
「その声…! もしかして、六介に連絡を繋いでくれた子! あの時はありがとう!」
「あ、いえ…」
「それに、凍矢くんだよね。久しぶり、こんなに大きくなったのね」
「あ、はい…お久しぶりです」
まさかの羽粋の母親――波音の登場に、月だけでなく凍矢も恐縮してしまう。
それでも、彼女を羽粋がいる医療テントへと連れていく。テントの中に入ると、入り口の近くに六介がいた。
一瞬だけ、凍矢と月を鋭く睨む。が、その後ろに波音が立っているのを見て、目の色を変えて駆け寄った。
「波音!」
「あなた!」
愛する者同士の再会に、二人は抱き合う。
凍矢と月は邪魔をしないよう、そっとテントを出ていく。それでも二人の事が気になるので、入り口近くで立ち聞きする。
「良かった…無事で…!」
「うん、ごめんね…! ゼノスの人が助けてくれただけじゃなく、ここまで送ってくれたの…!」
「ゼノス…」
「…翼の野郎…!」
波音の口から出た単語に、二人は思わず反応してしまう。
空や波音を助けて、密かに自分達に有利になるよう手助けしてくれた。だが、それはダークカオスも狙っていた闇と光を奪う為だったのだろう。
翼もまた、所属しているFHだけでなく自分達を騙してきたのだろう。全ては、ゼノスの為に。
「それで、羽粋は?」
「あの子は無事だ。ただ…」
ここで、六介は言い淀む。
「今回の事件で“光”って遺産の影響力が強くて、オーヴァードに覚醒したそうだ。これから先は、普通の日常を過ごす事は簡単に出来ないだろう…」
「そんな…!」
「今はあっちで軽い説明を受けている最中だ。だが、こんな恐ろしい事件に巻き込まれた上に、いきなり裏側を説明しないといけないんだ…」
「羽粋はまだ14歳と幼いのに…!」
よほどショックだったのか、波音の鳴き声が聞こえて来る。
二人もまた、羽粋に起きてしまった身体の異変に悔しい思いを募らせていた。
「…俺達は、あいつの事を守れなかったんだな…!」
「ごめん、月…」
命は助かっても、日常までは守れなかった。
これから羽粋は、自分達と同じ裏側の世界を生きなければならない。今でこそ二人はこうして任務と通常の生活を両立させているが、最初から出来た訳ではない。
これからの未来に二人して黙り込んでしまう。
「凍矢!!」
その時、誰かに呼ばれる。
振り返ると、そこには血相を変えて走ってくる凍矢の両親――海命天と海命海里がいた。
「父さん!? 母さん!? どうしてここに!?」
今では離れて暮らしている両親との再会に凍矢が驚いていると、海里はお構いなしに抱き着いた。
「誰かよく分からないけど、ここまで送ってくれたの!! それより大丈夫!? この学園が外国のテロに巻き込まれたんでしょ!?」
「いやー! 二泊三日の高級ホテルのチケットが当たって海里と泊っていたら、警察が来て凍矢が事件に巻き込まれたって!! まるで映画のような出来事だったぞ!!」
どうやら何らかの記憶操作がされているようで、旅行に行っていた所で凍矢が事件に巻き込ま
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