「うっわー!」
「ひろーい!」
住宅地にあった1つの屋敷の中に入った途端に、ソラとツバサが感嘆の声を上げる。
まず目についたのは広いリビング。そこから二階は吹き抜けの構造になっているようで、奥の方に階段が接地されていて上った先には幾つか部屋の扉が見える。
ビフロンスの城に比べたら圧倒的に狭いが、普通の家に比べたら広さは十分にある。オパールの意外な一面に、カイリは思わず疑問を口にした。
「オパールって、もしかしてお金持ちなの?」
「そんなんじゃないわよ。親の仕事の都合上、うちは優遇されてただけ。それにほら…しばらく帰ってもいなかったから、汚くて悪いけど…」
オパールの言う通り、テーブルやソファなどの最低限の家具はあるようだが見事に埃が被っている。換気もしていないから埃臭いし、人の出入りは殆どなかった事が伺える。
場所があっても、このままでは家の中で生活しずらい。テラとアクアは顔を見合わせる。
「そうだな…しばらくお城暮らしだったから、贅沢が体に染みついてしまったしな」
「だったら、みんなでお掃除するわよ!」
「え〜!」
「え〜じゃないよ、ソラ。泊まらせて貰うんだから、それぐらいしなきゃ」
アクアの提案に早速ソラが嫌そうな声を出すと、すかさずカイリが注意する。
こうして、オパールの家の大掃除を開催する事となる。すると、ルキルが周りを見ながら指示を出してきた。
「荷物はそんなにないから、拭き掃除と掃き掃除。あと布団乾しだけで十分だろ。オパール、雑巾と箒とハタキは何処にある?」
「やけに掃除に手慣れてるな?」
意外と言わんばかりにリクが呟くと、ルキルは振り返る。その目は、どこか虚ろ気味だ。
「どっかの誰かさんと一緒に住んでみろ…嫌でも家事を覚えられる」
「ルキルぅ?」
キンと冷たい音が全員の耳に届く。見ると、ウィドが黒い笑みで指で唾を弾く形で刀身を僅かに浮かせている。
慌ててウィドに弁明するルキルだが、残りは無視を決め込んだ。下手に関わったら火の粉が飛びかねない。
「クウさんは、無理しないでくださいね?」
「無理って、掃除ぐらいどって事――」
右腕が動かない事を心配してレイアが声をかけるが、クウは気にせず家の中を歩く。
だが、動かない右腕が近くの棚にぶつかり、結果バランスを崩して仕舞ってあった小物や本がドサドサと床に落としてしまった。
『『『あ』』』
「…クウは、外で待機。仕事増やさないで頂戴?」
「お、おう…」
アクアが凄みのある笑顔で迫ってくるものだから、クウは後退りしながら頷くしかなかった。
「とにかく、お前は外で布団とマット叩いてろ。それぐらいなら出来るだろ」
「そうなるよな〜…」
宥めに成功したのかルキルが他の方法…もとい、仕事を与えて来てクウも甘んじてそれを受け入れる。と、ここでタイミングよくオパールが複数の掃除道具を持ってやってきた。それらを全員がすぐに持てるよう、テーブルの上に置く。
「はい、雑巾と箒とハタキ。あるだけ持ってきたけど、足りないならエアリス達の所から貰ってくるわよ」
「なあ、布団叩きはあるか? 俺、それを担当するんだが」
「あー、それはなかった。エアリスから貰ってこようか?」
「必要ない。キーブレードで十分代用出来る」
「お前キーブレードを何だと思ってるんだ!?」
涼しい顔でとんでもない事を言ってきたルキルに、すかさずクウがツッコミを入れる。
「それじゃ、さっさと役割分担決めて始めましょう!」
「はい、姉さん!」
――ビシリ…!
やる気満々で分担を始めようとするスピカとウィド。その二人に、クウとルキルの表情が一瞬で凍り付いた。
「せ、先生は道具の調達を頼む! 寧ろそれをしてくれ!!」
「スピカお前は荷物整理だけでいい! それが一番得意だろ、なぁ!?」
「何ですか、いきなり?」
「確かに荷物整理は出来るけど…これだけ広いんですもの、掃除には人手が必要でしょ?」
遠回しに掃除から遠ざけられ、不満げな表情を見せる二人。
しかし、その顔に騙されるルキルとクウではなかった。
(マズイ、先生が掃除するとなると大惨事は免れない…!)
(スピカに掃除させたら、終わるどころか余計に手間がかかって夜まで終わらない…!)
((何とかそれだけは阻止しなければっ!!!))
どうやらウィドだけでなく、スピカも基本的な家事は苦手のようだ。考えてる被害者は気づいてないが、二人の心は確かに一つとなっている。
何が何でも二人を掃除から引き離そうと言い訳を放とうとした所で、ツバサが勢いよく手を挙げた。
「ボ、ボク! ウィドさんと一緒に掃除用品取りに行きたいなー!」
「え? 私と、ですか?」
「あと師
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