アンセムの研究所に続く通路の広場。
昨日は互いに持ち合わせている情報を交換し合ったその場所で、激しい音が鳴り響く。
戦っているのは――ツバサとスピカだ。
「はあぁ!」
「っ…! だあぁ!」
スピカの握る剣――クリムゾンブリッツの斬撃をかわし、カウンターとばかりに突きを放つツバサ。
即座にスピカは手を翳し、魔法の障壁で防御して弾く。
(クウの弟子って公言していた事はあるわね…果敢に攻めてくる所は本当にそっくり。それだったら、私も普通に対処出来るんだけど…)
追撃をされないように、弾いた衝撃を利用して距離を取ったツバサ。そのまま間髪入れずに炎の魔法を放つ。
僅かな時間も無駄にせず、的確に攻撃と回避を行っている。クウのように力任せに行わず、状況を判断しながら行動に移しているのだ。そんなツバサのパターンを頭で分析しながら、身体を動かし続ける。
「そこっ!」
「ふっ!」
ガンブレードの引き金を引いて銃弾を放つが、ツバサは武器を光らせて――ガンブレードを二丁拳銃に変えて、それを打ち消すように銃弾をぶつける。
遠距離に特化したスタイル《フィルアーム・モード》。ビフロンスにて大勢の人達と交流を持った影響か、はたまたツバサに戻ったからか、レプリカとして身に着けた特殊能力も更に進化を遂げたようだ。
(独自に戦闘スタイルを変えるから、下手に動けば不意を突かれる。打つべき一手を見極めるのに、どうしても時間をかける必要がある)
次々と放たれる銃弾に、ガンブレードの銃弾だけでは捌き切れない。そう判断し、スピカは攻撃を止めると横に走って回避する。
ツバサは好機とばかりに攻撃の手を止めずに銃弾を放ち続けて、スピカとの距離を縮めないように牽制する。
(本当に…良い弟子として育てたわね、クウは。いいえ…両親であるあの二人の血もあるのかもしれないわね)
戦闘能力はもちろん、誰かを信頼し行動に移す人柄。内側と外側、二つの強さをこの子は兼ね備えている。
そう育てたのは、師であるクウだけではない。間違いなく彼女の両親、そして周りの人達だろう。
(もうそろそろ、かしらね…!)
回避出来ない銃弾を剣で弾く。足を止めた所でツバサは引き金を連続で引くが、スピカは尚も捌き続ける。
決定打にならないと分かったのだろう。ツバサは攻撃の手を止めて、再び武器を光らせる。変わったのは、弓の形状だ。
「そろそろ決めさせてもらうよ!」
弦となる部分を引いて、スピカに向かって光の矢を一直線に放つ。
あの弓は追尾の効果も持っている。回避が難しい以上、剣や魔法で防ぐのが一番だろう。
(力を貸して――オーバーチュア!)
もう片方の手を胸に押し当てて意識を向ける。思いを汲み取り、光が零れる。
光の矢がスピカへと着弾し、白い爆発を起こした。勝負ありと、ツバサは構えていた弓を下す。
だが、爆発が晴れると――スピカは無傷のまま立っていた。
腕に装着された白い盾を翳したまま。
「へっ!?」
「そこぉ!」
動揺した所を狙い、スピカは握っていたガンブレードを、あろう事かツバサ目掛けて投げつけた。
「うわわ、っと!?」
慌てて身を屈めて投げつけられた刃を避ける。ガンブレードはそのまま後ろの壁に突き刺さる。
ホッとツバサが息を吐く。しかし、気づいた時には盾が白銀のガンブレード――オーヴァーチュアへと姿を変えていた。
「うっそぉ!?」
心剣・反剣と言えど、キーブレードとはまた別の物だ。持ち主以外には振るう事は叶わず、意志一つで自由に呼び戻す事が出来ない。だから、武器を手放したスピカに勝ったと思ったのだ。
その油断が命取り。そう言わんばかりに、スピカは最速でツバサに近付くと首元に銀の刃を添えた。
「っ…取ったわ…!」
「…ま、参りましたぁ…」
降参して両手を上げるツバサ。息切れを起こしながらも勝利を掴んだスピカは、武器を下すと胸元に刃を突きつける形で剣を戻す。
こうして勝負を終わらせると、遠くで見ていたのだろう。ソラ達がやってくる。
「凄いです、スピカさん!」
「弱体化しているとは思えない!」
「ありがとう…でも、私の中では全然よ…」
称賛の声をかけるアクアとオパールだが、スピカは疲れを隠さずに答える。
突き刺さった反剣の方も回収すると、ツバサを介抱していたクウが呆れた顔で見てきた。
「ったく、負けず嫌いなのは相変わらずだな。子供相手に容赦ないだろ」
「受けられた勝負は全力で挑むものでしょ…? ふぅ…少し休憩するわ…」
「えー! 次は俺が戦いたいのに!」
「俺もスピカさんと戦ってみたい!」
「そこの二人、無茶言わないでください! 姉さんが倒れたらどうするんですか!?」
強さに感化されてソ
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