「いやー、俺達までお世話になって悪いねー」
翌朝。レクトは拠点にて顔を見合わせるなり、ヘラヘラとした笑顔でお礼を言う。
あの戦いの後、結局彼らはこの世界に居続けたようで、騒ぎを聞きつけたレオン達に連れられたものの、敵ではないと判断したようで一泊だけならと本部の方に泊まらせて貰ったらしい。
そして今、レクトの前には厳しい顔をしているテラやリクがいる。ニルヴァナは何故か、あちこちで他の人の手を握ったりしている。
「それはいいが…昨日の事、ちゃんと俺達に説明してくれないか?」
「なぜソラ達を襲った? お前は敵なのか?」
敵ではないと理解はしたが、襲った事には変わりないからだろう。テラとリクの問い詰めに、レクトは苦笑いを浮かべる。
「あー…あれは、ただ単に実力知りたかっただけ。君達を始末しようとかそんなの全く思ってないよ。俺が…正しくは師匠が受けた任は、君達に接触して真意を測る事だから」
「手酷い事をしたのは、謝ります……けれどその子にも、責任はあります……私達の事、かなり知ってましたから……」
レイアの手を握りながら、ニルヴァナも会話に割り込んでくる。
意図せずに話題に上がってしまったツバサは、思わずしどろもどろになる。
「あ…あー、あれは、その…」
「クーくん。その子、何者? 君の事を師匠って言う割には、俺達の事知りすぎてる。君が俺の技を…別れた後に習得した陣の組み合わせを全て覚えているとかありえない。スーちゃんの手紙にだって、彼女の事は触れてないよね?」
「…話す。話すからそんな目で見てやるな」
疑いの眼差しでツバサを見つめるレクトとニルヴァナに、クウはフォローするように説明に入る。
彼女の正体が、自分達とは別次元の平行世界、それも未来から来た存在である事。それを伝えると、納得したのかうんうんと頷き出した。
「ふーん、別世界から来た君の弟子ね…クーくんってばほんと見てて飽きさせないよねー」
「それは嫌味かレクト?」
静かに怒りを見せるクウ。スピカはそんな彼を宥めつつ、レクトに話をする。
「詳しい説明は、帰ってからするつもりだったの。本当に話しきれないくらい色々あったから…」
「うん。それは来てから分かったよ…俺達は先に戻って、スーちゃん達の事情を詳しく伝えておくよ。それなら、酷い事にはならない筈だから」
「悪いな、レクト」
クウが謝ると、急にレクトは顔つきを変える。
そして、ずいっと前に出るなり人差し指を突き付けてきた。
「そんな言葉じゃ足りない。もっともっと、これからずーっと言って貰うからね、クーくん?」
「……あぁ」
昔と変わらない態度にあだ名。レクトが自分を許している証を見せつけられて、最初は面食らったもののクウの表情も緩んでしまう。
そんな二人の様子を見てたソラは、手を挙げる。
「はいはーい、質問!」
「いいよー、なーに?」
「クウと親友って話、本当なのか?」
純粋な疑問をぶつけるソラに、クウはげんなりとしかめっ面を作る。
「親友って言うか、こいつが一方的に言ってるだけだっての」
「ひっどいなー。俺達の熱く固く誓い合った友情はどうしたのさー」
「堂々と誤解を招く嘘ついてんじゃねーよ!!」
「ぶー」
怒鳴られながら、レクトは子供のように頬を膨らませるだけだ。
クウも嫌そうにはしているが、完全に否定はしていない。何だかんだでお互い信用し合っている姿に自然と笑顔が零れる。
「仲がいいね、二人とも」
「だな。親友って、いろんな形があるんだなー」
カイリとヴェンも感想を述べると、クウは顔を赤らめる。
「だから親友とかそう言うんじゃないっての…!」
「あははー、照れてるー」
「殴るぞ!?」
「じゃれ合う前に、やる事あります……」
朗らか(?)に会話する二人に、ニルヴァナが近づいてきた。
「あ、ニーちゃん終わった?」
おそらく、全員分の手を握っていた行為の事だろう。ニルヴァナは軽く頷くが、その表情は険しい。
そうして、ニルヴァナはレクトに疑心を込めて問い詰めてきた。
「レクトさん、セヴィルは本当に倒したんですよね……?」
「何急に? なんでセヴィルの話になるの?」
「単刀直入に、言います……皆さんの記憶を覗いたら、セヴィルが存在してます……」
「っ!?」
ニルヴァナの発言に、明らかにレクトが動揺を見せる。
しかし、彼らは別の意味でニルヴァナに驚いていた。
「記憶を覗く!? クウ、彼女は一体…!」
「ニルヴァナの能力の一つだ。ニルヴァナは触れた者の記憶を覗く事が出来るんだよ…イリアみたいに」
クウの話によれば、ニルヴァナは触れた者の記憶を覗く事が出来る。ただし、記憶を覗くだけでイリアドゥスやツバサ
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