これは、5周年記念から数日経った頃に起きた、世にも奇妙な実話である――
「5周年記念に合わせて、石も呼符も大量にやってきたぞー! これでしばらくはガチャが持つー!」
ウキウキ気分で召喚サークルに向かう二人組の内の一人の少年。あだ名は先輩マスター。
周りは課金しているが、一人無課金で進めている猛者(一度だけ課金カードを貰った)。その為、基本的に星5サーヴァントが少ない。2019年の召喚キャラを確認したら、福袋を除いてまさかの1体だけしか来なかったほどだ。
普段は爆死が目立ち幸運Eに思われがちだが、当たった時がヤバイと言う召喚の振れ幅が凄すぎて、幸運EXと言われている。
未だにアトランティス攻略中。今は全力で寄り道して夏イベを楽しんでいる。
「マスター。どれだけ石があろうとマスターの幸運EXでは当たる確率は非常に低いと思うのですが」
「マシュ、夢くらいは見させてくれ」
隣にいた少女――後輩のマシュに窘められるマスター。遠い目をしたのも気のせいではないだろう。
それでも期待は込めて召喚サークルでいそいそと用意した石や呼符を用意するマスターに、通信が入る。
「…それで、また私がマイルームですか…!」
マスターの私室にて今にもぶっ倒れそうな声を出すのは、先輩カルデアでおなじみの不夜城のキャスター。他のキャスター勢に比べるとパッとしない性能だが、少し前の大奥イベントでは沢山活躍してくれた。
だが、彼女の凄さはそれだけではない。
「不夜キャスさん。あなたは今年になって色んな星5サーヴァントを連れてきてくれた。今年のバレンタインからマイルーム設置後にエレシュキガル、オリオン(アルテミス)、更にはホームズまで連れてきてくれた」
ラクシュミーのバレンタインで彼女はステンノ、エウリュアレ、BBと同じ幸運EXと分かり、彼女をマイルームに設置してからほとんど音沙汰無しだった星5が次々と来るようになったのだ。
この結果に、マスターは確信した。不夜城のキャスターはこの為にカルデアにやってきたのだと。転んでもただじゃ起きない幸運EXはちゃっかり発揮されていたのだと!
(*尚、これは当社比です。他のマスターが同じ方法をしたからと言って当たるとは限りません)
「その分、爆死したガチャも沢山ありますが…」
「言うな、マシュ! 分かってる、周りは課金と言うシステムを使って当てまくる! 大先輩ぐだ子や後輩ぐだ子に至ってはガチャ運Aで簡単に手に入れる! 無課金と幸運EXの自分はコツコツやるしかないんだよ!!」
自慢してくるぐだ子達を思い返し、悔しさを露わにして思いっきり壁を叩く。
「で、マスター。まさかキャストリアを狙うんですか? 確かに無敵貫通すらも防御可能な宝具は魅力的ですが、マーリンのようにHP回復効果はないですよ? 正直私が入ればキャスターのサポート枠は十分だと思うんですけど? ほら、孔明さんもいる事ですし…寧ろキャスター枠ばかり偏る必要ないと思うんですよね?」
いつの間にかやってきていた玉藻の前。回復・NPチャージ、更にはスキルチャージ減少に可愛い・良妻と今までカルデアでは不足していたサポートキャスターがやってきた事で、結構楽させて貰っている。
「マーリンは爆死したし、後輩が見事にヘルニアと引き換えにして当てたから欲しいとは思ってる。ただ当たるとは思ってないよ…既に回して、ニトさんとヘラクレス来たし…」
「ほら、そこは運が無かったと思うべきかと! 大丈夫ですよ、大奥イベントでは私のサポートの万能さは理解したでしょう! これに孔明さんが入ればもう百人力、ご主人様の石の為にも私のライバル役はこれ以上増えなくてよろしいんですよ!」
「玉藻の前様…本音が出ています…」
もはや掴みかかる勢いの玉藻の前に、不夜城のキャスターはポツリと注意する。
「分かってる…けど、呼符1枚で丁度2回分引けるから…最後に、最後にこれだけを…!」
「もう…それで終わりですよ、マスター? 水着だって始まったばっかりですから」
プルプルと懇願するマスターに、玉藻の前もつい甘やかしてしまう。
そして、最後の一枚を召喚サークルに投入…する時に。
「ここにチョコあるよ〜、一緒に食べよう…なーんて」
どこで知ったか、キャストリアが大好きなチョコで釣ろうとするマスター。そんな事を呟きながら、金の紙を投入。
そして、虹色のサークルが出現した。
「「「「ん?」」」」
思わず目を見張るマスター、マシュ、玉藻の前、そして別室にいる不夜城のキャスター。
そして出現したのは金色の、キャスターの絵柄。
「「「「はい?」」」」
そうして登場したのは――
「こんにちは! キャスター・アルトリアと申します!」
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