同時刻、部屋の片隅に作られた休憩スペースで突然クウが顔を上げるので、出番待ちのカヤが声をかけた。
「どうした?」
「いや、今何か聞こえた気が…?」
「気のせいじゃないか?」
「かなぁ…?」
そんなカヤの言葉に、特に考えず納得するクウ。
とここで、急にナナとリラが立ち上がって全員に向かって叫んだ。
「えー、すみませーん。ここで皆さんにお知らせがありまーす!」
「ちょっとした理由で、今回の分だけ他作品用の伏字は無しにしまーす!」
また前触れもなく始まったいきなりの設定変更に、ソラが質問した。
「どうして?」
「「今日が20周年記念だから」」
『『『……ハ?』』』
大広間にいる誰もがポカンとしていると、作者二人は熱弁を始める。
「今日はテイルズファンにとっては祝うべき日なんだよ! 20周年記念作品、【テイルズオブゼスティリア】の発売日なんだよ!」
「そこでファンの一人である私達で相談して、今回この場を使ってテイルズに関するイベントを考えたのだ!!」
『『『あんたらKH作品書いてるのに何ここで別の作品優先させようとしてるの!?』』』
「ここのタグは【KH】じゃない! 【総合】なんだからOKだろ!! どこぞの作品でも多重のクロスオーバーしてるし!」
『『『そう言う問題!?』』』
いろいろツッコミ所のあるナナの発言に全員が叫ぶが、どうせ後の祭りだと言う事は分かっていた。
かくして、今回の投稿はテイルズ20周年記念と言う事でスペシャルでお送りする事となったのだが、アクセルは祝うに至ってどうしても聞かなければならない質問があった。
「と言うか、リラ。お前俺達のゲームは買わなかったのに、それはポ○モンと同じように買うのかよ?」
「いえ。私誕生日に友達から買ってもらう予定ですから」
「私も友達の家で戦闘の時だけコントローラー持って行って協力プレイさせて貰う予定ですし」
「前者はともかく、後者は最低だなオイ!!」
ナナにツッコミを入れる間に、リラはさっさと話を進める事にした。
「とにかく、企画については後にして――まずは、本題の演目から! で、レイシャ。あんたらテイルズでの演目を考え付いたって聞いたけど?」
「ああ! 俺とリズ姉ちゃんと父さんと母さんとルキルの五人で『テイルズオブシンフォニア』のイベントをするんだ! みんな裏でスタンバイしてるから、俺も行くよ!」
そう言うと、レイシャはさっさとステージの裏へと移動する。
彼の後ろ姿を見送りながら、リラは嬉しそうにステージに注目した。
「まさかテイルズの中でも私が大好きな『シンフォニア』をするとは! 楽しみですねー、ナナさん! …ナナさん?」
(メンバー構成の時点で、もうやな予感しかしないんだが…)
胸の内に不安を抱えるナナの目の前で、演劇開始の合図であるカーテンが開かれた。
舞台上は崖に作られた家の前。ライトが暗くスピーカーからは虫の声が流れ、夜を演出している。
家の前にはルキルと幻影で作り出された兵士に拘束されているロクサス。やがて家の扉からリズが出てくると、待ち伏せしていた兵士によって取り押さえられる。
「…クラトス! レネゲードはクルシスと敵対関係なんだろ! なのにどうして…」
「静かにしろ。…もっとも、皆薬がよく効いてぐっすり眠っているだろうがな」
「薬だと…? 親父はどこだ! 親父に何かしやがったら、お前ら全員ただじゃすまさないぞ!」
「久々の親子の体面に、そんな無粋はないだろう」
こうしてリズとルキルが演技していると、黙っていたロクサスも動く。
「やはりそうか。ハイマで私を狙った暗殺者はおまえだったのだな」
「クラトス。息子の命が少しでも惜しいと思うのなら我々に従え」
「何を…言ってるんだ?」
「オリジンの封印を解放しろ。さもなければ、ロイドはここで死ぬ事になる」
「う、嘘だろ…? クラトスが俺の…親父な訳ないだろ。俺は信じない…信じられない!」
リズの渾身の叫びに、誰もが微妙な顔つきになる。
本編でもロクサスがリズの父親だと隠している状況と、この演目が似通っているのだから。
「実の息子にここまで否定される気持ちはどんなものだ?」
そんな観客には目をくれず(舞台上では役になりきっているのだから当然だが)ルキルがロクサスへと顔を向ける。
「…ウウゥ…」
(((滅茶苦茶精神ダメージ受けてるよ…)))
ここは大人の余裕で受け流すシーンなのに、唇を噛み締めて涙を堪えるロクサスに誰もが呆れを見せた。
「…その様子では、オリジンの解放に同意するつもりはないようだな」
(((あくまでも続けるんだ…)))
「それならば…お前に死んでもらうだけだ!」
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