「さーて、ここからはテイルズに関するイベントと行きましょうかー!」
「イエーイ!」
いよいよ本題であるイベント企画が始まり、ナナとリラは思い思いにテンションを上げながら仕切り直した。
「なあなあ、俺達どんな事すればいいんだ?」
そうして二人で盛り上げる中、ヴェンが尤もな質問を繰り出す。
前回はイベント発表と演劇の続きをしただけで、未だに二人の口から詳細が語られていない。
「分かった! テイルズキャラとのガチンコ勝負でしょ!」
「あら素敵ね! 願っても無いイベントだわ!」
「よーし、俺とリズでそいつら木端微塵にしてやるか!」
「腕が鳴るぜ…!」
「作者、さっさとそいつら出しな!」
「「戦闘狂はちょっと黙ってろぉ!!!」」
武器を構え出すリズ、スピカ、ウラノス、クウ、ラックの戦闘狂集団に、浮かれていたナナとリラは即座に怒鳴りつけた。
「ゴホン! では改めて――ルールは簡単。長い歴史を築き上げたテイルズシリーズのシーンを、今やってる演目みたいにどれか一つ演じて貰うだけです。ただし、テイルズを祝う為のイベントですので出演権が得られるのはオリキャラのみとさせて頂きます」
「一人でやるのもよし、助っ人アリも構いません。尚、全部やるには数が多すぎるので私とリラさんのキャラから二人ずつ参加してください。尚、ネタバレ防止の為に背景や演出はありですが、脇役や服装は無しにします」
「KHキャラがいる手前、別キャラまでは呼べないか」
「ま、半ば予想はしてたけどね」
説明を聞き終えるなり、常識人としての一面を持ち合わせているおかげですぐにクウとラックは大人しく引き下がる。
「えー、つまんなーい! 私歴代主人公と戦いたかったのにー!」
「そうね。私も歴代ラスボスや隠しボスとか挑戦したかったわ」
「ま、どんな奴らが来ようが俺とリズのコンビには負けるがな」
「何だこの戦闘狂達の恐ろしい会話は…」
「さりげにウラノスお兄ちゃん、リズとのフラグ作り上げてるし…」
その横でリズ、スピカ、ウラノスが恐ろしい会話を繰り広げており、ザルディンとガイアが冷や汗を垂らしていた。実際それもやろうと思えば可能だが、そうなった場合KHメンバー達もいるとは言え、この旅館…いや、世界が崩壊しかねない。
何がともあれ、イベントの説明が終わると唐突にオパールが手を上げた。
「質問〜。これに参加するとして、あたし達に何かメリットあるの?」
「ええ。とりあえず、四人の中で一番だった人には――その人を主役にした“番外編”を書こうと思っています。リラさんのキャラが決まってもちゃんと書いてくださるそうですのでご安心を」
ナナが提示した賞品の内容に、一人反応する者がいた。
「出番…出番……ヒロイン脱するぅぅぅ!!!」
「もはや目がマジだよ、グラッセの奴…」
「まあ、話が話ですからね…」
背後に炎を燃え上がらせて尋常じゃないやる気を見せるグラッセに、リズとジェダイトが呆れの眼差しを送りつけた。
「それでは、話し合い開始〜!!」
リラの言葉を合図に、それぞれのオリキャラ達は集まって話し合いを始めた。
「さて、そろそろいいかなー?」
オリキャラ達の話し合いから五分ぐらい経った頃、リラが声をかけてきた。
「それじゃ、決まった人手を上げてー」
「俺だぁぁぁ!!!」
ナナが催促した瞬間、グラッセが勢いよく手を上げた。
「す、凄い燃えてますな…えっと、何をするんでしょうか?」
「『エクシリア』からアルクノア決戦後のシーンだ! 配役は俺とリズで行く!!」
「え…? そのシーン…?」
グラッセのお題を聞いた瞬間、ナナが固まる。
今からグラッセが演じようとするシーンは大きな話の流れの一つ…言い換えればネタバレに大きく関わる部分だ。不安になるナナに、助っ人参加であるリズが笑顔で言う。
「だって、私ミラやってみたいもん! あんな強そうな女の人の真似してみたいし!」
「まあ、あの人精霊の主ですからね…」
楽しそうにするリズに、ナナは苦笑しか浮かべる事が出来なかった。
「じゃ、準備よろしくー。楽しみだなー、あそこのシーンとは!」
(何でそんなにウキウキしてるの…グラッセ、これが分かってたからあえて選んだのか…?)
これから行われるシーンが余程楽しみなリラに対し、内容を知っているナナは微妙な面付きでステージへと目を向けた。
舞台は一面がステンドガラスで作られた部屋に変わり、崩壊を始めているのか辺りが揺れており稲妻がなっている。
その真ん中でグラッセは床に倒れながら、奥で肩を押えるリズに向かって叫ぶ。
「だめだよ…。ミラ……ミラがいなくなったら、僕は…!」
「そんな顔をするな」
「…っ…!」
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