「リズ…」
「シャオ、知り合いか?」
「うん、ボクの友達。でも…もしかしたら、師匠みたいに“違う”かもしれない」
「同じで違う人物、って訳か…」
落ち込みながら呟いたシャオの考えに、クウも納得してリズが去った方向を見る。
自分達のいるバラバラの世界ではない、次元を越えた先にある鏡の様な別世界――【異世界】、または【平行世界】とも呼ばれるセカイがある。
リズもまた次元を越えた先にある異世界に住んでおり、とあるキッカケがあってシャオはリズ達と知り合った。
しかし、異世界出身だからと言って“たった一人だけの存在”とは限らない。師と仰いでいる目の前にいるクウもまた、シャオにとってはそっくりさんなのだから。
今のリズがそっくりさんだと理解し、二人の間で思い空気になった時だ。
「…さっきから何二人でブツブツ話してるんだよ?」
その声に我に返ってウラノスを見ると、明らかに不機嫌な表情で二人を睨んでいた。
「お前らの勘違いの所為で、またリズを見失ったじゃねーか…どう責任とってくれるんだ、自称友達のクソガキよ?」
「う…ご、ごめんなさい…」
「勘違いしたのは謝る。けど、こっちはお前らの事情を全く知らないんだ。どう言う状況か教えてくれないか?」
シャオが謝る中、クウは大人として理由を話しつつ冷静に問いかける。
すると、ウラノスは軽く失笑を浮かべ顔を逸らした。
「話す事なんて何もねーよ、鴉野郎。とっとと立ち去れ」
「ちょっと! さすがに言い方が酷すぎむぐっ!?」
あまりにも酷いウラノスの態度に、思わずシャオが喰ってかかる。
だが、これ以上話をややこしくしてはいけないと即座にクウが口を塞いだ。
「立ち去る事が出来るならそうしてる。俺達はその方法が分からないんだ、どうやってこの世界から出ればいい?」
「俺も知らねーよ。リズを探してたら、いきなり闇に呑まれてこの世界で倒れてた」
「って事は…リズなら、ここから帰る方法分かるかな?」
シャオなりに打開策を口にすると、ウラノスの目つきが完全に人を見下す目へと変わる。
「もしそうだとしても、今のリズには何を言っても無駄だ。仲間として一緒に行動していた俺にさえあの態度だ。そんな事も分かんなくて《友達》とは、どうやら口先だけの薄っぺらい人間のようだなぁ?」
「っ…!」
嘲笑いながらシャオの心に突き刺さる言葉を浴びせるウラノス。
これにはシャオも動揺していると、助け舟を出す様にクウが口を挟み込む。
「しょうがないだろ。さっきも言ったように俺達はそっちの事情を知らないし…シャオはあのリズって子とは友達じゃない。そりゃあ、その友達と似ているだろうけど…出会ってすぐに全部の状況を把握するってのは、よほど頭や物分りが良い奴じゃなきゃ出来ないだろ?」
「…まあ、理に適う部分があるのは認める。だがな、クソガキのような能天気で何も知らない奴がリズの《友達》だとは俺は認めない」
「何であんたにそんな事言われるのさ!! リズの事を友達って思ってなにがいけないのさ!!」
さすがのシャオも堪忍袋の尾が切れたのか、尚も冷たい言葉を浴びせるウラノスに叫ぶ。
直後、ウラノスの周りの空気が一変した。
「友達? ふざけんなよ…!! リズがああなってるのは、人間であるお前が苦しめてる所為だろうがぁ!!!」
まるで人が変わったように憤慨するウラノスに、シャオだけでなくクウも怯んでしまう。
その間にも、ウラノスは二人に向かって怒鳴り続ける。
「知らないなら教えてやる!! あいつのあの苦しみ方はな…――自分がノーバディだからだぞ!? 世界の敵だってお前らが決めつけてるから!! あいつはまだ子供なのに、それすらも許されずに自分を苦しめているんだ!!」
「ノーバディ…!?」
「うそ、あのリズが…!?」
ウラノスの口から語られたリズの現状に、クウとシャオの顔色が変わる。
この二人の態度に、更にウラノスは冷酷な言葉を浴びせる。
「ハン、結局はあの幼なじみ君と同じように拒絶か? お前ら人間にノーバディの気持ちが…――異端の気持ちなんて分かる訳ねーんだよっ!!!」
「違う、そうじゃないよ!! ボクも師匠もそんなつもりじゃ――!!」
拒絶を見せて背を向けるウラノスに、今の反応が勘違いである事を伝えようとするシャオ。
だが、シャオの言葉はウラノスに届かず、リズの後を追うかのように二人から離れて行ってしまった。
「師匠、どうしよう…?」
「あの様子じゃ、もう俺達にはどうする事も出来ないな……とにかく、今は帰り道を探すぞ」
軽く頭を掻きながら、クウは今の現状を解決しようと逆の方向へと移動する。
リズやウラノスの事は気になるが、他人である自分達に出来る事はない
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