聞こえた声にすぐにクウが顔を上げるが、その時には自身の体力が急激に吸い取られ始めた。
「ッ!? これ…ドレイン、かよ…!」
魔力はほぼ使い切ってしまった状況。更に僅かに残っていた体力が奪われてしまっては、立ち上がる気力すらも湧き起きない。
それと同時に、瓦礫から這い出したウラノスは残虐な笑みを浮かべて蹲るクウを見下していた。
「お前の体力を奪ったんだ…もう何も出来やしまい!!! 疾風迅雷ィィ!!!」
「ぐわああああああああっ!!?」
容赦なく高速で繰り出す斬撃や雷の連続攻撃に、抵抗すらも出来ないクウは悲鳴を上げて身体中を切り刻まれる。
ようやくウラノスが攻撃を終えると、クウは虫の息となって地面に倒れる。戦闘不能どころか瀕死になっているのか、もはや指先すら動かせない。そんなクウをあざ笑うかのように、ウラノスは歪んだ笑みでチャクラムを肩に担いだ。
「本気じゃない俺とここまで戦えたんだ、あんたは良くやったよ。だから…右腕奪ってすぐに、楽に死なせてやる」
(あれで…本気じゃ、ない…!? ダメだ、身体が……意識も…もう…――)
立ち上がらなければいけないのに、限界なのかクウの視界が闇に染まっていく。
そんな中ウラノスは何も出来ないと判断したのか、握っているチャクラムを大きく振り上げた。
「じゃあな。せいぜい、あのクソガキとあの世で仲良く暮らしなぁ!!!」
電圧を纏わせたチャクラムを握り締め、右腕を切断するように一気に振り抜いた。
直後、いきなりクウの姿は闇と共に消えチャクラムは地面へと突き刺さった。
「何だ!?」
「ったく…あと少しでも遅れてたら本当にやばかったぜ」
目を疑う光景にウラノスが驚いていると、上の方から低い声が投げかかる。
ウラノスが視線を上げると、そこにはボロボロの状態であるクウが片足を上げてクリスタルの玉座に座っていた。
「この《物語》は俺らが必要以上に干渉してはいけないって話だってのに…――てめえの所為で正義中毒に処刑されたら、どう責任とってくれんだ?」
何処か不満げに視線を送りつけ、片手で支えるように身体を傾けるクウ。
見た目はボロボロのままで回復はしていない。しかし、話の内容と言い態度と言い、明らかに今まで戦っていたクウではない。それを直感で感じ取り、ウラノスは彼を睨みつけた。
「てめぇ…何者だ?」
「《何者》って言われてもなぁ? ま、お前の好きに呼べばいいさ」
クウの身体を借りて悠然と答える彼に、ウラノスは舌打ちしつつ疑問をぶつける事にした。
「どうして邪魔する? そいつの身体を乗っ取ってまで?」
「――消す訳にはいかないんだよ。こいつもシャオも“俺達”の未来を背負ってるからな」
彼は急に表情を変えると、何処か真剣にウラノスに答える。
それでも相手はちゃんとした答えを教えてくれない。それが分かり、ウラノスは話すのを止めて再び武器に電流を溜め込む。
「ハッ、まあいい。あんたの事情がどうあれ…俺はリズを人間にさせてやんなきゃなんねえんだよっ!!!」
バッと地面を蹴るなり、玉座に座る彼に目掛けて突進する。
そのままチャクラムで胴体目掛けて斬り裂く――が、チャクラムは玉座に当たり甲高い音を響かせた。
「一つだけ言って置く」
後ろから聞こえる彼の声に、弾かれたようにウラノスは玉座の上で振り返る。
「俺は、こいつよりも強いぜ?」
彼――《クウ》は笑いながら右手を光らせ、キーブレードを取り出す。
それは白と黒…四つの翼で形作られた、今まで振るっていたよりも一回り大きなキーブレードを。
「何だ、そのキーブレード…」
「【白夜への標】。俺が使うキーブレードだが、文句あるか?」
「名前を聞いたんじゃねぇけど、なぁ!! 雷光斬!!」
その場でチャクラムを振るうと、クウに向かって大量の雷を落とす。
すると、背後に白黒の双翼を纏って雷を防ぎながら一気に間合いを詰めた。
「ウィング・アーツ!!」
「つぅ!?」
ウラノスを空中に蹴り上げると共に、キーブレードを先程よりもサイズが大きい白と黒の双剣へと変化させると連撃をぶつける。
そうして攻撃を終えると、ウラノスは痛みを堪え受け身を取って着地した。
「そのキーブレード、見掛けだけ変わった訳じゃねえようだなぁ…!!」
「ったりまえだろ、このガキィ!! ターンクローズ!!」
クウは双剣を握り、ウラノスに向かって回転切りを放つ。
「当たるかよぉ!! サンダラ連発!!」
すぐに後ろに跳んで斬撃を避けると、クウに向かって中級の雷魔法を放つ。
次々と頭上から繰り出される雷に、さすがのクウもウラノスに近づけずに距離を取って避ける。それを見て、ウラノスが武器に電圧を込める
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