マスターシーン2 シーン16〈不穏〉
壁には大量の機械が、床には様々なチューブが敷地を詰めている暗い通路。鈍い音を響かせて稼働しては、チューブに繋がれた幾つもの人一人は余裕で入るだろう巨大なカプセルの中に溜めている濃い緑の液体がゴボリ、と泡立っている。
そんな通路を、カツ、カツと足音を響かせながら、符宴はカプセルに入っている液体を眺めていた。
『ヒヒヒ…UGN共に邪魔されたが、駒も結構集まってきた。すげぇな、この薬は…』
緑色の液体――否、この工場で作られているαトランスに嫌らしい笑みを浮かべる符宴。
その時、彼の背後で人の気配がする。振り返ると、闇に紛れ込む様に黒いローブを来た人物が静かに立っていた。
『――“ディザスターペイン”、奴はどうした?』
『さあな。あれから連絡がない――あのガキどもにやられたかもしれねえな。これを使った実験体って言うから期待したのに、結局弱かった訳だ』
『…果たしてそれはどうでしょうかね』
『何?』
意味ありげな言葉を放つ黒コートに、符宴は反応する。
しかし、それ以上答える気がないのか彼は背を向けると反対方向へと歩いていく。
『仮にも生き残った実験体だ、我々の仲間に加えろ。万が一、抵抗を見せるようなら…』
『ああ。始末はキッチリとしてやるよ』
そうして浮かべた彼の顔は、歪んだ笑みを浮かべていた。
ディザスターペイン――災厄の苦痛。その名に恥じない、歪な心と共に。
クライマックスフェイズ シーン17〈二人の紅の刃〉
シーンプレイヤー 七雲空
《シーン登場》
凍矢1D→4 77%→81%
月2D→10 113%→123%
空1D→1 121%→122%
翼1D→8 82%→90%
クウ「おっしゃあ!! 最小出た!!」
ムーン「やべぇ、今回なんか俺のダイスおかしいぞ…!?」
ツバサ「一気に月がぶっちぎったね…」
グラッセ「俺のカバーリングでどうにか二人のロイスを節約出来ればいいけど…」
ツバサ「うん、最低で2ラウンド以内で倒せればいいけど…――あ、戦闘前に装備とかしてもいい?」
GM「ああ。ならば――」
凍矢とテレーズによって掴んだ情報を頼りにやってきた、工場跡地。
一つだけ稼働している工場近くの物陰で、集まった四人は装備の確認をしていた。
『――これでよしと』
『若干動き辛いが、仕方ないな…』
『解毒剤もよし、と。準備は万端ですね』
『………』
事前に手配した防具を着込んでいる翼と空の横で、凍矢も持ち物を確認する。
一方、月は何も言わずに見張りをしている。しかし、その背からは拒絶が滲んでいる。
『ムーン、どうかしたの?』
『…別に。それより早く行くぞ』
そう言うと、話しかけた凍矢を置いてさっさと工場へと進む月。
明らかに様子がおかしく、凍矢と翼は顔を見合わせる。だが、空だけはじっと月の背中を見つめていた。
四人が工場の中へ足を踏み入れる。廃棄されてそれなりの年月が経っており、あちこちボロボロだ。しかし奥の方からゴウンゴウン、と機械が作動する音が聞こえてくる。
奥に続く扉を開けると、通路には液体で満たされたカプセルやチューブや敷き詰められている。
それらの光景に、空はデジャヴを覚える。UGNの任務で自分が配属され、壊した施設。その一角で、このような景色を…機械が使われていた。
『何で、これが…?』
『空さん、何か知ってるんですか?』
『…ああ、ちょっとな』
さすがに教える訳にもいかず、凍矢の問いをはぐらかす。
『………』
そして、黙ったまま先を進む月を見て後ろから肩を叩いた。
『月、ちょっといいか?』
『…なんだよ』
『まだお礼言ってなかったからさ。ありがとう、“俺”を止めてくれて』
『…んだよ…』
お礼を言うと、月が震えてようやく振り返る。
その顔は任務の時のように感情のない表情じゃなく、隠し切れない程の動揺が浮かんでいる。
『お前、分かってるのか…? 俺はお前を…お前ごと殺そうとしたんだぞ? そんな奴にお礼を言うって、バカか!?』
『あの時はお互い敵だった。そうなっても仕方ない事だ…でも、今は違うだろ?』
『とんだお人よしだな、お前…本当にFHかよ?』
『ああ。これでもブラックスカル団セル所属の紅の刃(ブラッドエッジ)だ。表の俺が求めてるのは戦いだけど――俺が求めているのは、俺の信じる世界だ』
『…それが、お前の欲望(ねがい)なのか? お前の信じる世界って何だよ?』
『まぁ手っ取り早く言うなら、俺を信じてくれる奴ら、俺が信じたいと思う奴ら、そいつらを護る事だな。ちなみに、お前もその中に入ってるぜ』
『はぁ!? 何勝手に――!!』
『
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