クロナとリクは不気味な城の城内に出た。辺り一面真っ黒で、物音1つしないこの城からは邪悪な気配を感じる。恐らくDEDの城だろう。
「ここに、ナミネさんがいるんだよね?」
リクは軽く頷き、クロナはキーブレードを出現させ、すぐにでも戦えるように備えた。
「じゃあ、行こう!」
「ちょっと待て。ここにとある仲間達がいる。」
リクがそう言うと同時に何処からか足音が聞こえてくる。やがてその足音の主はこちらにやって来た。それは銀色の断髪で藍色の目、若干クロナより身長の低い少年だった。その後ろから藍色の断髪で銀色の目、身長も先の少年と同じくらいの少年が走ってきた。こうして見ると二人は兄弟みたいに瓜二つであり、片方若干タイミングは遅れた物の、二人はリクの顔を見上げる。
「リク!」
「無事に来れたみたいだな!」
「あぁ。」
二人はどうやらリクの言う仲間のようだ。リクがクロナに二人を紹介する。
「紹介する。フウリとライヤだ。」
「よろしくな!」
「お互い頑張ろうぜ!」
藍色の髪の方がフウリ、もう片方がライヤというらしい。クロナは二人に笑顔で微笑みかけた。するとフウリの顔が突然赤くなった。
「どうした?」
その様子を不思議に思ったライヤがフウリの顔を覗きこむようにして聞く。
「………いや、何でもない(クロナって子、可愛いな)。」
「?」
「まぁ良い。ここからは2手に別れよう。まとめて見つかると面倒だ。俺は単独で行くから、三人は別のルートからナミネのいる牢獄を探してくれ。」
「「「わかった!!」」」
そうして、リクは上に、三人は下の階層へと向かう。途中、アンチネスの襲撃にあった物の、フウリがなんとキーブレードを出し、速攻で倒した。
「そのキーブレード、どうしたの?」
疑問に思ったクロナはフウリに聞く。するとフウリは歩きながら答えた。
「ずっと前に青い髪のお姉さんから継承してもらってな。ライヤもおんなじだぜ。」
「って事は二人とも!?」
「あぁ。キーブレード使いだ。」
リクの仲間である二人はなんとキーブレード使いだった。信じられないが、フウリがキーブレードを出した以上は信じるしか無いだろう。クロナ達三人はそんな話をしながらどんどん下の階層へと降りていく。
一方リクは、アンチネス達を自分の心の闇を象徴する武器、ソウルイーターで蹴散らしながら上へ上へと駆け抜けていた。リクが走っていると、突如目の前にとある人物が現れた。
それはヘルツだった。それにはリクも驚きを隠せず、ソウルイーターを消してしまった。
「リク、久しぶりね。」
「お前、本当にカイリなのか………?」
同様したリクの声。それを嘲笑うかのようにヘルツが高笑いをする。
「リク、違うよ。私は『ヘルツ』。地獄の声を聞くもの。『カイリじゃない』の、生まれ変わったの!」
「違う!お前はカイリだ!!俺達の………親友だっ!!」
リクの訴えにもヘルツは耳を貸さず、闇のキーブレード、デスフェンリルを構える。その時ヘルツの後ろにある階段から黒いコートを着た誰かが降りてきた。それは新入りの機関メンバーの中では三番目のメンバーであり、DEDの幹部の一人、クラクションだった。
「どうしたヘルツ?」
クラクションが茶色いセミロングの髪をいじりながら聞く。ヘルツがリクを指差し、クラクションはリクを見る。その時クラクションはすぐに理解した。
「なるほど。敵ね。」
「そう言う事。」
「よし!じゃあ久しぶりに試合開始と行くか!」
その言葉と共にクラクションが指を鳴らすと、瞬間的にクラクションの足元に鋼で出来た球体のような物が現れた。大きさからするにサッカーボールだろうか。クラクションはよくサッカーの練習をしている為、この武器になったのだろう。
「くっ!」
リクはヘルツに気を取られ攻撃出来ない。仮にも親友なのだから。それにここでカイリを傷つけたとなればソラに怒られかねない。クラクションはその内に鋼のサッカーボールをリクに向けて蹴っ飛ばした。ボールは見事リクの腹に命中し、リクは口から多少の血を吐き出してしまった。
「フッ、まずは一点だ!」
リクは腹を押さえながらもなんとか立ち上がる。だがすぐにヘルツの攻撃が降り注ぎ、また倒れた。立ち上がる度にクラクション、ヘルツの順で攻撃され、成す術が無い。
「あっ、あそこ!」
その頃、クロナ達は牢獄への階段を発見していた。その階段を降りてみると、そこには大量の人が囚われていた。
「なんてこった!」
ライヤはその言葉とほぼ同時に自分のキーブレードを出現させ、1つずつ檻の鍵を開いていく。どんどん檻の扉は開いていき、囚人達は喜びの歓声を上げながら逃げていった。
囚人達が見事に逃げ出し、この地下牢には静かな空気だけが残った。囚人達がいなくなった
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