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CHAPTER68【現れた闇の空中庭園】






もう何回もキーブレード同士がぶつかり合い、両者共に体力が限界に達してきている。だが、男の本能なのか、一度決めた戦いはどちらかが負けるまで休む事はおろか、終わる事も出来ないのだ。

「行くぞダーク!!」
「来いレイ!!」

二人がお互いの名前を叫び、再び攻撃を仕掛ける。金属のぶつかる音がこの浜辺に何度も響き渡る。特にダークは本気になっているのか相棒と呼ばず名前で呼んでくる。両者ともすでにボロボロで、ダークはもうすでに息切れをしてしまっている。俺は膝に手を付き、ゼェゼェと息を切らしている。

不意に額から汗が垂れた。

今日の気温は大変高い上に、この激闘。汗をかくのは当然と言える。ダークは再び超天空を使い、俺を攻撃するが、今度は軽く避けられた。

次に仕掛けた俺は暗黒に包まれた黒い炎、ダークファイガをダーク目掛けて放った。ダークファイガが当たる寸前、ダークはキーブレードを槍のようにして正面に突きだし、ダークファイガを貫いた。しかもキーブレードから突如竜巻が発生し、俺を襲った。

「ぐっ!これは、ストームラッシュ!?」

俺は竜巻が当たった右肩を抑え、ダークを睨みながら言った。ストームラッシュは俺の技の一つで、以前俺がワンダーランドを訪れた時、大量のハートレスを蹴散らす為に使った技だった。

「次はこれだ!!」

ダークはそう叫ぶと、天高くジャンプし、その場でキーブレードをハンマーのような姿に変化させ、俺目掛けて放り投げた。レイはそれを避けたが、ハンマーが落ちた場所からは強い衝撃波が発生し、地面に穴が開いてしまった。

「今度はアンチネスブレイク」?

今の技も俺の技、アンチネスブレイク。これは俺がビーストキャッスルを訪れた時、アンチネスに囲まれた際にとっさに思い付いた技。しかし、俺が使った時は斧に変化させていたが、ダークはハンマーに変化させている。ダークなりのアレンジだろうか。

「次で決めるぞ、レイっ!!」

そう言うとダークはキーブレードを元の姿に戻し、キーブレードの剣先を俺に向けた。するとキーブレードの剣先に少しずつ赤色の光が集まってきて、ダークの身体が中に浮かんできた。そしてダークは力強く叫んだ。

「ラグナロク………RD!!」

ダークはなんと俺の得意技であるラグナロクRDを元々の使用者である俺に向かって放った。ラグナロクRDから放たれる赤色の光弾は、普通のラグナロクの光弾とは違い、威力こそ低い物の、スピードは時速500q級の恐るべき早さを持つ。

赤色の光弾がレイのキーブレード――ブラックパラデスのキーチェーンに見事ヒットし、その一撃によってブラックパラデスのキーチェーンは砕かれた。その時だった。突如俺を激しい頭痛が襲う。

「っ………うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

ブラックパラデスのキーチェーンが壊れた事により、ブラックパラデスによる心の塗り替えが止まり、残った闇達が俺の身体を蝕み始めたのだ。頭を抑え、地面に膝をつく。



何故か俺の耳には時計の針が進むような音が聞こえた。この浜辺の近くに時計はなく、気のせいだと一瞬思った。だがその音は何度も、俺にのみ聞こえている。

「この音…………まさか記憶の消滅のカウントダウン………!?」

ブラックパラデスを使っていた者がそれを手放すと、記憶を消されるという言い伝えを今思い出した。俺はブラックパラデスの砕かれたキーチェーンを見つめる。

俺が見るのとほぼ同時のタイミングで、キーチェーンは灰となり、潮風に飛ばされ何処かに消えた。キーブレードはただの鉄の棒という醜い姿に変化し、音を立てて地面に落ちた。

「俺は………!」

頭を抱え、なおかつすでに鉄の棒と化したキーブレードを見つめて震える。それを見たダークが言った

「お前は……光だった時の方が輝いていた。その輝きは、人々に勇気を与える物だ。だからそれを見失うな。相棒……お前に闇は必要ない。」

ダークのその言葉を聞くと、自然と頭痛が治まり、ダークの方を向いて笑顔で頷いた。

「………うん!」

その表情は笑っていた。闇に落ちた直後のような歪んだ表情ではなく、以前のような明るく純粋な表情だった。それを見てダークは一安心をした。だがその時、大きな地震が突如発生した。

「な、なんだ!?」
「見ろ!!海から何か出てくるぞ!!」

ダークが指差す方の海から何かとてつもなく大きな物が飛び出そうとしていた。海から出てくれば出てくるほど地震は強まり、この辺の木々達が倒れていく。

やがて、その姿を現したその正体は、なんと全部分が黒であり、そこら中にアンチネスのマークが刻まれた巨大な暗黒の空中庭園のような物だった。

「なんだあれは!?」

よく見ると暗黒の空中庭園の周りには海水や砕け散った岩などが浮かんでおり、非常に不気味で
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