「………っ!」
暫く朦朧としていた意識が瞬間的に戻り、目を開けるとそこにはとても幻想的な草原の景色が広がっていた。咲いている花達は風に揺られ、空から差し込む太陽の光が温かい。
「気が付いたか?」
振り向くとローグがいた。ローグがいるという事は、ここはもしかして夢の世界なのかな?
「ローグ、ここはもしかして?」
「あぁ、夢の世界だ。」
その言葉を聞いて私――クロナは安心した。無事にこの世界にたどり着けたのだ。私が安心して空を見上げていると、ローグが私にとある物を手渡した。
手鏡だった。それをとりあえず覗いて見ると、そこには私の顔付きだけど私じゃないような姿があった。
「ええっ!?なにこれ!」
私は驚き、思わず手鏡を放り投げてしまった。自分の顔付きはともかく、髪形が大きく変わっていたのだ。その姿は濃い茶髪のセミロングで、目の色は幸い変わっていないと言う物だった。
「まさか………?」
気になって下の方を見てみると、なんと私の身体までも変わっていた。足が明らかに長い上に、服装までも普段の服の色をベースに大人っぽくなっていた。
「ちょっ、なにこれ!ローグどういう事?」
私はこの姿についてローグに聞く。ローグは変化していないのに私だけ姿が変わっているのは明らかにおかしい。ローグは『はぁ』と1つ溜め息をつき、答えた。
「それはこの世界でのお前の姿だ。」
「この世界での?」
「そう。まぁ所謂アバターみたいな物だな。」
「あばたー?」
アバターって言われても私はそう言う用語とは無縁だから正直よくわからなかった。でも何となくわかるのは、この世界では姿を変えないといけないという事。
この姿にまだ慣れないけど、私はとりあえず、ローグの案内の元、この夢の世界での拠点となる場所に向かう事にした。その道中、ペガサスやユニコーンなど、現実世界では決してお目に掛かれないような生き物を見かけた。やっぱり私は今、夢の世界にいるんだ。
でも、ペガサスにもユニコーンにも、不思議な紋章みたいなのが共通して刻まれていた。ローグとルプクスが前に言ってたドリームイーターってやつかな?
「ねぇ、あのペガサス達は?」
「『ハンサムペガサス』と『エレキユニコーン』だ。ドリームイーターの1種だな。」
「でも、あの子達、何だか優しそうだね?」
私はあのドリームイーター達を見たとき、闇を感じなかった。以前聞いた話ではドリームイーターは夢の世界に存在する闇と言っていたけど、あの子達からはそんな感じはしなかった為、ローグに質問してみた。ローグは決して振り向かず、足を止めずに答えた。
「あれは『スピリット』と言う、ドリームイーターの種類だ。ドリームイーターは大きく別けて二つの種類がある。」
「まずさっき見たピンクの紋章があるのは、悪夢だけを喰らう善良なドリームイーター、『スピリット』。そしてもう1つが、夢を喰らった後に悪夢を植え付ける悪しき存在、『ナイトメア』。こちらは黒い紋章がある。」
「つまり、スピリットは良い子達で、ナイトメアは悪い子達って事?」
「そんな感じだ。ほら、そうこうしてるうちに見えてきたぞ。」
ローグが立ち止まり、向こう側に見える大きな城を指差した。何故だかあの城からは強い光を感じる。
「あれは?」
「……光の都、『レイディアントガーデン』だ。」
私達はその光輝く城の城下町に当たる場所、レイディアントガーデンに足を踏み入れた。いざ入ってみると城だけじゃなくってこの町全体も光で満ち溢れていた。夢の世界の中でも、まだ光を失っていない世界という事なのだろう。
「あれを見ろ。」
ローグが町の中心にあるとても大きい水色の門を指差した。その門をよく見てみると、門を潜った人達の姿が変わっていた。一人目はフェアリー、二人目はゴースト、三人目は鳥獣と言った具合に、元々の姿の原形を留めつつ別の姿になっていた。
「あれは【ジョブゲート】。何かに姿を変えたいと心から願う事で、その姿にジョブチェンジ出来ると言う物だ。」
「へぇー。」
「この夢の世界には、様々な特徴を持った世界がある。このジョブゲートを使いこなせるかどうかが、今後の戦いに関わってくるんだ。」
「なるほどね………。」
私はジョブゲートの所まで歩いていき、ジョブゲートの前で強く願った。
門を潜ると、私の身体は水色の光に包まれ、少しずつその姿を変えていった。そう、先程私が望んだ、天使の姿に。
「おぉ。」
ローグが私の姿を見て、軽く頷いた。どうやらジョブチェンジが成功したらしい。私は1度自分の身体を見てみると、やはり天使になっていた。白と青の衣を纏っていて、何処からどう見ても夢にまで見ていた物その物だった。こう言う事は夢の世界だからこそ出来る事だよね。
「クロナ。これを。」
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