クロナ達が夢の世界へ行っている頃、俺はドナイタウンの町外れの森でただ一人夜空を見上げていた。
今日の夜空は星が何時もより綺麗で、あの一つ一つがそれぞれ違う世界だと考えると、何だか妙に嬉しくなる。もしそれが本当なら、あのたくさんの世界に住むたくさんの人と友達になれるかもしれないから。
「ライガ!」
俺の名前を呼ぶ声。俺を呼んだのはソラだった。こんな夜中にアースの森にいるという疑問が俺の頭を過ったまさにその時にソラが俺に言った。
「眠れないのか?」
「あぁ、まぁな。」
俺は近くにあった湖に写る自分の姿を見た。ピンク色のポニーテール、青緑色の瞳、女々しい顔立ち。何時もと変わらぬ俺――霧風ライガだ。俺は湖の中の自分から目を離さないようにしてソラに聞いた。
「どうしてここに?もう11時だぞ?」
「承認試験の前にここに来たかったんだ。」
承認試験――それは恐らく【マスター承認試験】の事だろう。ソラとリクは少し前にイエン・シッド様から呼び出され、明日それを行うらしい。俺も噂くらいは聞いていたからある程度予想は付いていた。だから俺はあえて何も言わず頷いた。
「俺、旅立つまえにあいつとまた約束したんだ。」
その言葉を聞いて俺はやっと湖の中の自分から目を反らし、ソラの方に目をやった。
「必ずまた帰るって。ほら。」
ソラは俺にとあるお守りを見せてくれた。ピンク色の星みたいな形のお守り。聞いたところによるとこれは約束のお守りと言う物らしい。
「約束か……懐かしいな。」
「えっ?」
俺は何時もより儚げな声で言った。
「懐かしいって?」
俺の様子に疑問を抱けない訳が無く、ソラは俺に質問をした。俺は夜空の満月を見上げて言った。
「俺も………約束があるんだ……大切な……約束(ロザラワーゼ)が。」
あれは、今から五年ほど前の事だ。俺が十一才の時だな。
俺は丁度この時期にこのレイベス地方―レイ達の故郷―に引っ越し、新しい生活が始まろうとしていた。だが、初めての場所だから、不安だらけだったんだ。
ドナイタウンでは、町の人達に全く溶け込めず、
学校でも、同じクラスの子達が外で遊んでいるのを窓から見ているだけだった。
そんな日々が半年続いたある日―。
「……あいつら……。」
当時十一才の俺は何時ものように窓から校庭でサッカーやかけっこなどで遊んでいる生徒を見つめていた。あいつらを見る度に、俺は必ずこう呟いてしまう。
「……羨ましいな。」
机に肘を突いて窓から外を見詰める日常。それが当たり前になりかけてきたのは丁度この頃だったか。俺がつまらなさそうな表情をしていると、一人の少女がこちらを見詰めている事に気づいた。
俺と大して席も遠くなく、俺より二つ後ろくらいの席に座っているその少女は不思議な雰囲気を放っていた。金髪のショートヘアで、水色の瞳。俺は一瞬彼女の姿に見入ってしまった。
「?」
少女はこちらが見ている事に気付いたのか、首を傾げた。俺は何故かその時ドキッとして、彼女から急いで目を反らし、カバンを持って一目散に走り出した。
その後俺は現在の住居である祖母の家の俺の部屋のベッドに寝転がり、天井を見つめていた。
「何なんだ……この気持ちは?」
その日はまだわからなかったんだ。この熱い感情が……何かを。
次の日、授業も終わり、カバンを取っていつも通り帰ろうとした時、誰かが後ろから俺の肩を軽く突っついた。振り向くと昨日の少女がいた。彼女をみると何故か俺の顔が赤くなる。
「ねぇ、昨日私の事見てたよね?」
「あ、あぁ……。」
「私も君の事見てたよ!今までずっと!」
「今まで?」
「うん、君転校してから誰にも馴染めて無かったようだし、私が友達になろうか?」
そう言って彼女は手を差し出し言った。
「私はルミナ・シーユ!」
俺はここに来てから初めての笑顔を作り、ルミナの手を取った。
「俺は霧風ライガ。」
それが俺達の始まりだった。
ルミナと友達になってからは毎日が楽しくなって行ったんだ。
俺達はどんなときも必ず二人で行動し、ルミナを通じてたくさんの友達が出来て行った。
悲しむ事なんてこれっぽっちも無くって、何時も笑顔が溢れていた。特に俺とルミナは………
「ラーイガ!テストどうだった?」
「95点。そっちは?」
「……35点。ライガお願い、勉強教えて。」
「フッ、わかった!」
お互いに足りない部分は埋めあって、
「調理実習…!なんで玉ねぎなんかが…!」
「どうしたのライガ?玉ねぎ切らないの?」
「…俺、玉ねぎ切れないんだよ。」
「フフッ、ライガって案外可愛い所あるんだね!」
短所を笑い話として笑いあった事もあった。
そんなある日、ルミナが突然『見せたい物がある』と言って、図書館に
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