ドゥーハとの戦いが間もなく始まろうとしていた。アディアによると、ドゥーハの手下であるドリームイーター達は選りすぐりの精鋭らしく、右から順にボウクンレックス、キバタイガー、オーラライオン、アシカジャグラーと言う種類らしい。
ちなみにアディアが人数合わせの為に呼び出してくれたペガサス型のドリームイーターはハンサムペガサスと言うらしい。これで人数は対等になったとは言え、こちらは即席で組んだ構成な上、敵は未知数の実力を秘めている。つまり、いくら人数を合わせようと、こちらが不利な事には何も変わりないと言う事である。
「では始めようか」
ドゥーハの言葉と共に私はキーブレードを持って走り出した。その時ナイトメア達はドゥーハを守らず、じっと静止したままで何もしようとしていない。私はそれを不振に思いつつもドゥーハの身体に渾身の一撃を与えた。
「えっ?」
しかし、ドゥーハの身体にダメージは無く、何も動じていなかった。
「これがお前の力か。思ったよりも大した事ないな」
3歩ほど後ろに下がり、ドゥーハとの距離を取った後、もう1つのキーブレードを出現させ、ドゥーハを強く睨み付けた。
「キバタイガー、ルーチェデクレトだ」
「はい」
なんとナイトメアが言葉を発し、ドゥーハの何処か申し訳なさそうに言い放たれた命令を受け入れ、私の後ろにいるフィオ君とダーク君に向かって炎の弾丸を飛ばしてきた。しかしそれはアディアの放った魔法、リフレガに防がれる。
「何……?今の、ファイガなの……?」
今の攻撃、明らかに炎の魔法であるファイガだったが、少し違った。炎が若干光り輝いていて、普通の物とは何かが違った。
「ファイガだと?そんな時代遅れの物じゃないさ」
ドゥーハの放った意味深な言葉。私はどういう事かさっぱりわからなかったが、すぐにアディアが解説してくれた。
「デクレトと言って、奴ら共通の技。そもそもデクレトは、使用を禁止された禁断の技であり、リスクも相当高い。ほら」
アディアが敵の一人であるボウクンレックスを指差した。ボウクンレックスがダーク君に攻撃を仕掛けようとしている。
「行くぞっ……ぐっ!」
「!」
なんと、ボウクンレックスが技を使おうとした瞬間苦しみ始めた。これがアディアの言うリスクだろうか。
「ボウクンレックス?大丈夫か?」
「ぐっ……はい」
ドゥーハがボウクンレックスの身体を撫で、とても辛そうな表情で心配している。
「あのように、使うたびに生命力と心を破壊していくんだよ」
「なんて技だ………」
「なんでそんな技をつかってるのさ!?」
ボウクンレックスを心配しているドゥーハに向かってフィオ君が激しく激昂する。それに対してドゥーハは怒りの表情で叫んだ。
「黙れ!俺達はベネトナシュの手下に過ぎない、だから逆らうことが出来ない!」
突然叫びだしたドゥーハに思わず私達は怯む。先程まであれほど冷静だったドゥーハがここまで激昂するとは。ドゥーハが更に話を続けた。
「ベネトナシュは俺達に言ってくれた。自分の理想を叶えてくれれば俺達の願いを叶えてくれると。だから俺達は奴がくれた禁断の力を使う事にした」
「しかし、俺は気付いてしまった。仲間が少しずつ消えていく事を。この力は自分達の命を削っていく物。その代償に散っていった同士達は計り知れない」
「初めは自分の為に願いを叶えてもらおうとしていた。しかし、俺は散っていった仲間の為に使う事に決めた!例えこの身が滅ぼうとも、仲間達を取り戻せるなら!」
「そんな………」
なんとドゥーハは散っていった仲間達を復活させるために危険な力を使っていたと言う。ベネトナシュにそそのかされ、禁断の力を使い始めた途端に仲間達が散っていき、やがてベネトナシュの嘘かもしれない言葉を信じて仲間の為に自分の命を捨ててでも仲間を救おうと必死で戦っているとは思わなかった。
ドゥーハの言葉に嘘があるとは思えない。何よりその表情が必死である。フィオ君は自分の言った言葉に嘆き、ダーク君は項垂れた。
ドゥーハに従っているナイトメア達も同じ気持ちで戦っているのだろうか。しかし、奴の言った事は私達を惑わす嘘かもしれない。私はアディアにその事を聞こうと、彼の方に振り向くと、アディアが静かに口を開き、衝撃的な言葉を口にした。
「本当なんだ」
「!?」
「七星座のエージェント四人は、元々夢の世界各地から集められた優秀な戦士達の四人で、現実世界で言う傭兵みたいな物なんだ」
「彼らは雇われた時に、ベネトナシュにある事を言われたんだ。『自分の理想を叶えてくれれば、なんでも願いを聞く』と。しかし、その為に彼らにあえてデクレトの力を授け、仲間が消える状況を作り出し、彼らの心の自我を放棄させ、意のままに操っていると言う事さ」
「欲望を
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