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CROSS5【ソロプレイヤー】



「……イ!!レイっ!!」
「ん……」

誰かの声がしたので目を開けると、そこにはリズの姿があった。いつの間にか寝ていたようだ。

「良かった、気がついた?」
「うん、みんなは?」
「わからない、今は私達二人だけみたい」

リズの言う通り辺りを見渡しても見覚えの無い平原が広がっているだけで仲間達の姿はなかった。

「そんな……って、ここは何処!?」
「それもわからない……私達何処かへ飛ばされたみたい」
「何処かへって……あのときの!?」

あのとき鳴冠と言う少年がペルソナと言う物を出し、それによって闇色のエネルギーを溜め、それを放出した途端にあのブラックホールが現れ、俺達はそれに吸い込まれた。となると鳴冠が俺達をここへ放り込んだのだろう。

「でも変ね……同じ所から入ったのならみんな一緒にいるはずなのに……」
「もしかしたら近くにいるかもしれない、探してみよう!」
「うん!」

俺達は確かに同じ穴へと吸い込まれた。ならば近くにいる可能性があると信じてリズと協力してみんなを探し回ったが、誰一人として見つからなかった。

「駄目だ、一人もいないよ!」
「あの鳴冠ってやつ……私達を引き離したとか?」
「一体何が目的なんだ…?」

謎が深まる中、そんな話をしながら歩いていると、遠くに誰かが倒れているのが見えた。

「あれは……」
「何処かで……」

どうやらリズの方は見覚えがあるようなので向かってみると、ほぼ黒ずくめに等しい服装で、俺達の次元からすれば今時珍しい物だった。髪も当然黒く、リズは彼を見て確信した。

「キリト!?」
「リズ、知ってる人?」
「知ってるも何も、私の常連客!」
「つまり仲間って事ね」

さらにリズから話を聞いてみると、どうやら今倒れているキリトと言うのはSAO――リズとキリトの次元らしい――の中でもトップクラスのプレイヤーで、一時期ソロプレイヤーとして単独行動を取っていたが、最近はそれが少なくなり、さらには二刀流スキルまで身につけ、SAOで彼を知らない人はいないに等しいと言う。

「キリト!起きて!キリトってば!」
「がっ!?」

最初こそ身体を揺するだけだったが、リズは何と思いきり背中を殴った。キリトには対したダメージは無いようだが、それによってやっと目を覚ました。

「…あれ、リズ?」
「何時まで寝ぼけてるのよ!今の状況わかってる!?」
「今の状況……?あっ!」
「どうしたのさ?」
「思い出した!確か変なやつに襲われて……」

話を聞く限りだと、どうやらキリトも俺達と同様数時間前に鳴冠に襲撃されたようで、なんと負けてしまったらしい。鳴冠に敗北して気を失い、気がついたらここに倒れていたと言う。

「あいつ……リズ達の次元にも現れてたのか!」
「……なぁ、そう言えば君は?」
「俺はレイ、レイ・ディアス。宜しく」
「へぇ、変わった名前だな。何処のギルドだ?」
「いや、あのねキリト、実は……」

まだ今の状況を理解出来ていないキリトにリズがこれまでの事を説明した。早い話がここは俺達の世界でもなく、ましてやSAOの中でもないと言う事である。

「つまり、その鳴冠ってやつに襲撃されて、次元と次元が合わさったって事か?」
「だと思う。じゃなきゃ違う次元の俺達は会えてないし」
「待てよ……じゃあ鳴冠は何処の次元の人間なんだ?違う次元は交わらないし、違う次元の人間も会えないんだろ?」
「確かに……それが最大の疑問ね」
「それよりアスナは……みんなは無事なのかな……その、鳴冠とか言うやつに襲われてなきゃ良いけど」
「そうだね……」

キリトとリズの次元と俺達の次元が交わり、俺もキリトも仲間達と切り離されてしまった。ならばやることは一つだと思い、二人に言った。

「ねぇ、俺達でみんなを探しに行こうよ」
「……あぁ、迷ってる暇は無さそうだしな」
「それに私達、目的同じだからね」

二人とも同意してくれた。俺はキリトと握手し、こう言った。

「一緒に行こう、キリト君!」
「宜しくな、レイ!」

こうして俺達はまだ見ぬこの世界で、離れ離れになってしまった仲間達を探す旅に出る事になった。

14/05/28 22:45更新 / レイラ

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