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HEARTS25【大切なモノ】

突然部屋に入ってきた俺に驚く一体の野獣。先程のベルの話を聞くと、恐らく彼がこの城の城主なのだろう。

「貴様、何者だ?」
「人に物を訪ねる時は、まず自分からですよ」

案の定自分の主義を野獣に告げる。それを納得したように野獣は自己紹介をする

「私はビースト。この城の主だ」

ビースト。この城の城主であり、かつて拐われたベルを追って、たった一人でホロウバスティオンにたどり着き、ソラ達を助けた心強き野獣。だが、元はワガママな王子で、それが原因でこんな姿に変えられたのだ。暫く人間らしい心を失っていたが、ベルを通してそれを取り戻しつつある。だが、つい先程、ここに]V機関が現れ、ビーストを惑わしていたらしい。ある程度予想はしていたが、]V機関の行動には謎が多い。

「やつはベル達が私から大切な物を奪うと言い、惑わした」
「大切な物?」

大切な物に対してビーストに聞いたのを見たベルが言う

「あれよ」

いつの間にいたのかはわからないが、ビーストの部屋の奥にある、綺麗な赤い薔薇をベルが指差す。その美しさは、儚げで、何処か切ない煌めきだった。

「薔薇?」

薔薇をしまってあるケースに触れない程度に近づき、再び見る。やはり何処か切ない煌めきだ。この煌めきによって俺は、過去の記憶を思い出していた。

『待ってよ、レイ君!』
『ははっ、遅いよ   !』

そう。数日前にオリンポスコロシアムで見た夢の事だ。幼馴染みの少女の事は誰より大切だった。だが、突然消えた。あの頃の事は忘れられない。忘れたとしてもまた思い出してしまう。心に突き刺さってけして消える事の無い思い出。

「大切なモノ………」

俺は窓から夜空を見上げていた。星達の煌めきは、薔薇と違いとても明るい。俺はこの時、心の中で呟いた。

あいつも、この夜空を見ているのかな………。

ここにもう探し物は無い事を確認し、この世界を後にした



15/08/08 05:32更新 / レイラ
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