ねぇ、僕の声が聞こえる?
「だれ?」
僕はキングダムハーツ
「あたしは……だれだかわからないんだ。なまえも、なにもかも」
そうだね。君はまだ生まれる前の心、だから何も知らない。
「えぇ、あたしのこころはからっぽ……なにもないわ」
じゃあ、選らばせてあげるね
「え?」
優しき光の心、邪悪な闇の心。君ならどちらを選ぶ?
「あたし……ひかりにする」
わかった。これで君の心、光だけになった。君の名前は後で聞くことにするよ
「わかったわ」
じゃあ一緒に
「扉を開こう!」
いつの間にか夢を見ていたんだ、過去の夢を。デスティニーアイランドと呼ばれる南国の一軒で過ごした夜に見た不思議な夢から覚めたのが午前7時
夢の中であたしの姿を見た。それはサイドテールのようだがそうでない独特の髪型をした茶髪で青い瞳をしており、姉貴分のような雰囲気を放っている顔つきだった
「朝ね……」
そう呟き、あたしはすぐにこの世界で仕入れた私服に着替えることにした
その服装は黒を基調とした服装で、少し大きめのフードが付いている。黒はあたしのお気に入りのカラーなのでこれを着るのが毎回楽しみとなってきた
ここであたしのケータイの音がなる。あたしケータイは黒いスマートフォンで後ろには黄色いラ インでロクホウセイが刻まれている。あたしは早速その電話に出た
「何だ?」
「マリム?今日は祭りが行われるけど、楽しみだな!」
電話の相手はダーク。あたしとダーク、そしてフィオは今日行われる祭りに一緒に行く約束をして いるのだ。普段はあたしの相棒を自称するダークの声がワクワクしているのがよくわかる
「ダークも楽しみなのよね?」
ダークは少し照れながら『そうだ』と言った。ダークは普段は祭りに行かないのだが、あたし達が迷わないか心配で仕方無くついていく事になったのだが、自分自身も緊張しているらしい
「それじゃ、また後でな!」
そう言うとすぐに電話を切った。あたしの心はとてもワクワクしていた。あたしの中の何かが楽しみだと訴えているように思考全てが今日の事だけで埋め尽くされた
「待たせた?」
そしてあたしはデスティニーアイランドの高台、あたし達がいつもの場所と呼んでいる場所にたどり着いた。いつも笑顔のあたしは息切れを知らない、 みんなからはよくそう言われる
「遅いぜ紅一点!」
低くてクールな声。しかし真実はガッカリ王子こと先程の電話の相手、ダーク・デストだ。藍色の逆立ち頭で、オレンジ色の瞳をしている。若干目付きが悪いが、別に不良と言う訳ではない。あたしは挨拶代わりとしてウィンクをした。特に理由は無いが、したくなったがよくあるよなこう言うの
「マリムちゃん、おはよ!」
あたし達よりも明らかに身長の低い少年、フィオが言った。黄色がかった茶色のツンツン頭(殆ど金髪)で、真ん中にPと刻まれた水色のバンダナが特徴的な元気ある少年。ダーク同様あたしの親友である。あたし達3人はいつもこの場所に集まってはあたしが作る特製シーソルトアイスを食べて、そのあとに遊ぶのが日課となっている
「ほらよこれ」
「フッ」
「ありがとう、マリムちゃん!」
二人にシーソルトアイスを手渡し、崖に腰を掛ける。左から、フィオ、あたしにダークという感じに並んでいる
アイスを食べるあたし達。そう言えばこの世界にもそろそろ慣れてきた気がする
「そう言えばマリム。キーブレードの調子はどうだ?」
「あぁ、更に磨きが掛かったわよ。見てな」
あたしは立ち上がり、かざした右手に一筋の光が走り光の中から単純な見た目だが、説明しにくい形――あえて言うなら白い翼を付属させた剣――の白いキーブレードが現れ、あたしの右手はそれを握っていた
「行くわよ!」
あたしはキーブレードを空高く投げた。それは空に黄色い軌跡を描きながらブーメランのようにあたしの手元に帰ってきた。その軌跡は星の形を空に残した
「さて、そろそろ俺達もやるぞフィオ」
「OKダーク!」
ダークが右手に力を集中すると、右手に黒い炎が迸り、そこから黒と紫の色をした太刀を出現させた。フィオは両手を広げ、フィオの回りに雷が発生し、雷が2つの銃のような武器、アローガンを生み出しフィオの両手に握られた。二人のこの武器もまたキーブ レードで、キーブレードの通常の姿はブレードと呼ばれており、フィオの武器の姿がアローガン、ダークの武器の姿が太刀と呼ばれている
「じゃあ」
「そろそろ」
「始めるわよ!」
そしてあたし達はキーブレードを用いた特訓を始めた
その後デスティニーアイランドの町全体で行われる祭りにあたし達はやって来た。そしてすぐに戦いは始まる。何の戦いかって、そんなの決まっている。すなわち“食べる”事だ。あたしは
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