目が覚めると共に爽やかな朝の風が私の頬をくすぐる。そこは以前プロメッサに初めて出会った部屋であり、νの言っていた通りここに運ばれたようだ
「……あれは一体?」
あのとき自分が発現させた謎の力は、何処か聖獣に近い物があった。しかし未だ形がはっきりしておらず、完全には目覚めていない為にその力を制御しきれず意識を失ったのだと思われる
「それに……νの言っていたあの昔話、いや……そんなに昔じゃないか。一体どういう事だろう?いずれ必要になるって言っていたけど……」
あのとき姫君と兵士の悲劇を語るνの顔は何処か辛そうだった、と言う事は彼女はその話と何か関係のある人物なのかもしれない。νの言っていた事に頭を悩ませていると、部屋の中にアディアが入ってきた
「クロナ、無事だったんだね。あれから三日眠っていたんだけど、良かった。ちょっと一緒に来てくれる?」
「え、えぇ……分かったわ」
様々な疑問を抱きつつ、アディアに着いていくとジョブゲートの前にたどり着き、そこには仲間達とローグ、そしてルプクスの姿があった
「おっ、無事だったか」
「ダーク君、みんな……心配かけちゃったね」
「良いって事さ!相棒の嫁さんが無茶ばっかするのは知ってるからよ」
「よ、嫁っ!?」
ダーク君の口から思わぬ一言が飛び出し、私は顔を赤くして彼の胸ぐらを掴んだ
「ちょっ!?おまっ、ぐるし……!」
「ま、まだ告白した訳じゃないからっ!だ、だから、その……」
恥ずかしさを押し隠すようにそのまま彼を押し倒し、運悪くダーク君の頭はジョブゲートにダイレクトにヒットしてしまった。
「ふごっ!?」
だが幸いここは夢の世界、もし現実なら今のは怪我ではすまなかっただろう。毎回何らかの原因で酷い目に遭うダーク君だが、今回ばかりはそんなことを心配出来ない状態にあった
「……バカ」
恥じらいと言う感情のせいでそっぽを向いてしまい、まだ心臓の音が高鳴っているのを感じながらもアディアの方を見た
「それで、用件って何だったの?私だけじゃなくみんなも集まってるって事は、大変な事なんだよね?」
「あぁ、その事なんだけど……」
先程頭を打ったダーク君も復活し、全員の視線が集まるとアディアはみんなを集めた理由を話し始めた
「実は、以前言っていた情報屋の仲間から呼び出されてね。みんなを連れてくるように言われたんだ。どうやら重要な情報を二つも掴んでるらしい。クロナ、もしかしたらレイ君の行方もわかるかもしれない」
「えっ!?」
「お、おいそれどういう事だよ!?」
頭を押さえつつ痛みを堪えて話すダーク君を見て苦笑いしつつ、アディアはその質問に答えた
「実は以前からレイ君らしき影の存在が噂になっていてね、それをクロに頼んでいたんだ」
「それなら何故、私達に教えてくれなかったのですか?」
「言えなかったんだ、確証が持てるまではね。それにガセネタばかり立ち込めていたようだし、もっと情報を集めるべきだと思ったんだ」
その話を聞いて誰もが納得し、否定する理由もなく頷くと今度はディアが口を開いた
「それで、俺達は何処に行けば良いと?」
「ユナイテッドサテライトさ。君達も現実で行った事があるから、よく知ってるよね?」
「なるほど、あそこか。確か俺はあのとき機関の城にいたんだよな」
ダークエンド事件の時に存在しなかった城に忍び込んで賢者アンセムに気になる話を聞かされた当時を思い出しながらディアは深く頷き、何処か期待に満ちた表情で言った
「フッ、楽しみだ。まさに外道だな……」
「いや、意味分かんないよそれ……」
「そう言うなフィオ、お前も行った事無いんだし同じだ」
確かにフィオ君もまた当時存在しなかった城へ出向いており、表情では否定していながらも本当はディアと同じ気持ちのようだ
「もしかしたら、あっちに行ったら戦いになるかもしれない。だから準備もかねて明日行こうと思う。クロには僕から言っておくよ」
「分かったけど……さっきから言ってるクロって人がその情報屋なの?」
「そうだよフィオ君。まあ良い人なんだけど、怒らせると怖いよ」
アディアの仲間である情報屋の名前がクロだと判明し、私はどういう訳か親近感を覚えた。何せ名前が一文字違いだから何か近い物を感じるのだろう。まあ実際に会ってみないと分からないのだが
「以上が次の方針だよ。さっきから一言も喋って無いけど、プロメッサ聞いてた?」
「え?うん……」
何処か浮かない表情のプロメッサは何時もの口癖もなく、思い詰めた顔をしていた。そして何を思ったのかプロメッサは不思議な事をローグ達に聞いた
「あのさ、花言葉が“空の言葉”の花って知らない!?」
何故か真剣な表情で聞くらしくない彼女は、まるで別人になってしまっている。それを裏付けるように先程
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