キリスが産み出した氷の迷宮を抜けると、そこには先程まで周囲に吹いていたはずの風さえも失せるほど強大な雰囲気を放っている金目の自分の姿があった。しかしそれは俺そのものと言う訳では無いようで、俺に似た彼は数秒経ってやっとこちらに気がついた
「……ん、君達は……」
当然だが全員今の状況に困惑している。それも先程仲間が一人浚われたショックがまだ残っている上にもう一人の俺がいるのだから、もう何が何だか分からなくなっているのだろう。それに先程から誰も言葉を発しようとしないが表情だけは驚きを隠せていない
「レイ、キリト、陽介、ユイ、ディア、クマ、リーファ……」
なんと彼は俺達の事を知っていた。何故俺達の名前を知っていたのか俺達が聞こうとしたまさにその時、謎の少年はその口を開いた
「もう一人はどうした?」
「もう一人……アスの事か……!」
「っつー事は、こいつは……!」
俺達の事を知っている事やもう一人の存在も把握しており、今までの漆黒の影のメンバーが俺達の誰かに酷似した容姿であった事を考えると、答えは一つしかなかった
「そう、俺はシャドウレイ。君達の敵である、漆黒の影のリーダーだ」
「やっぱり……!」
ついに姿を現した漆黒の影のリーダーことシャドウレイは不敵な笑みを浮かべると同時に、右手を翳すと突然無の中から一冊の分厚い不気味な本が出現した
「さてはキリス、もう浚ったのか……全く、しょうがないな……」
「えっ?アスナさんを浚うように命令したのは、貴方じゃないの?」
「今回はキリス達の独断なんだ。俺は反対したのだが、キリス達は結局実行した……すまなかった」
今回の件の真実を伝えると同時にシャドウレイは頭を下げた。本当に敵のリーダーなのか疑わしくもなるが、少なくとも今彼が言った事は本気のようだ
「別に信じなくてもいい。信じろと言う方が、無理な相談だろうからな。でも俺が言ったのは、真実だ」
「……あぁ、信じる。お前の目は嘘をついていない」
「流石、黒の剣士。理解してくれると、思ったよ」
シャドウレイはキリト君にそう言い放ちつつも先程の不気味な本の真ん中辺りのページを開いており、そこから一枚のカードを取り出した。それは愚者のタロットカードであり、そのカードは青色の光を帯びていた
「……正位置……悪くない」
その言葉を放つと共に風が吹いてもいないのに本が勝手にページを捲り、そのページを見てシャドウレイが少し微笑んだ
「シャドウレイ……今回の件は分かったが、だがアンタのしたことを許すつもりは無い」
流石と言うべきか早々に冷静さを取り戻していたディアはそう言い放つと、そのキーブレードを構えた
「お前を倒して、この時空を元に戻す!」
「あぁ!せっかく目の前に敵の親玉がいるんだ、こんなチャンス他にねーだろ!」
「相手は一人!クマ達ならやれるクマ!」
「アスナ……こいつを倒した後で助けに行くからな!」
「全力でみんなをサポートする!」
「シャドウレイ……俺達は負けないぞ!」
メンバー全員が戦闘体制に入ったのを見たシャドウレイは本を閉じ、目を瞑ってから少し俯いた
「……そうか」
シャドウレイはそれだけ言うと、念力だけで本を開いた。さらにその本の開いたページから凄まじい光が放たれており、いつの間にかシャドウレイの左手には2メートルほどの長さの片手用直剣が握られていた
「ならば君達に教えよう……どうしても変えられぬ運命が、そこにある事を」
その言葉を放つと共にシャドウレイは何処からともなく先程のタロットカードを取り出し、あえて攻撃はせずその場に立ち止まった。まるで俺達の攻撃を誘っているかのように
「はぁっ!」
「キリト君!?」
その挑発に乗ってしまったのかキリト君が先行し、自らの得意技であるスターバーストストリームを放つがそれは軽く避けられてしまった。アスナさんの事もあり漆黒の影には強い恨みがあってもおかしくないこの状況で冷静さを失っては相手の思うツボであり、それはシャドウレイですら例外ではなかった
「なっ……!?」
「面白い技だ……俺もちょっと、やってみるかな」
その刹那シャドウレイの本から不気味な光が放たれ、気がついた時にはシャドウレイもまたキリト君同様二刀流となっていた。その上シャドウレイが取った行動はスターバーストストリームのそれであり、キリト君は自分自身の技で一瞬にして倒されてしまった
「ぐっ……!」
「キリト君!」
「パパ!!」
「嘘……お兄ちゃんの技を、1度見ただけで習得するなんて……!!」
キリト君のスターバーストストリームをたった1度見ただけで習得しキリト君を打ち倒したシャドウレイには強大な力があると思われ、その力はもはや天才を通り越して最強のカリスマ性とも呼べる物だった
「さらに、行か
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