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SONG17【意外な協力者】



全く誰も組んでいないシナリオだろうが、今私は連戦の三戦目を戦っている。白凰や黒凰の場合は腕試し程度の気持ちであったが、このウェンヴィスと言う名の青年とは全く気の抜けない戦いが序盤から始まっている。今更キーブレード使いであることは驚かないとして、問題はあのスピードレイヴを解き放ってきたと言う事である。あの力を使われたら正直早さで勝てる自信がなかった為に恐れていたが、あのキーブレード使いと同様の戦い方をしていた為にやはり使ってきた。本当にこの世界は、どうして恐れていることが現実になりやすい傾向があるのだろうか

「覚悟!」

その速度はもはや人が出せるものではなく、マッハに相当する圧倒的なものでそれは意図も容易く私の背後を取った。そしてそこから放たれる残撃に対応する為により一層神経を研ぎ澄ませる事になり、攻撃を防ぐ度に何時もより余計に体力を削がれる事になる

「くっ……」

「辛うじて着いてきてるようだが、そろそろ限界みたいッスね?ならさっさと終わらせる!」

そうしてウェンヴィスが放ったのはまさしくスピードレイヴの真髄を発揮した乱舞、必殺技としての『スピードレイヴ』のそれだった。その乱撃の一つ一つが光よりも早く襲いかかり、咄嗟に氷の防御壁を周囲に出現させて防ぐので精一杯だった。それでもあのキーブレード使いが使った技は伊達ではなく、意図も簡単に氷結界は砕かれてしまった

「……っ……!」

「食らえーー!」

相手はあまりにも強く、この一撃を喰らえば負ける。かのキーブレード使いの戦法を用いる青年はただの真似事ではなく完全に使いこなし、この一瞬の間に彼のそのスペック全てを理解した。そして相手の戦略がかのキーブレード使いのそれと全く同じであるならば、私にも勝機はある。何故なら、表向きに公表されていることなら全て頭に入っているため、もし同じであれば察することはある程度可能なのである。しかし、ウェンヴィスが独自の戦法を取り入れている可能性も当然ある。ならば私は、ここで賭けに出るしかなかった

「……D-Link、氷の記憶!」

自身の秘めるファイブ・ブレード伝説氷の勇者の力と記憶を解放し、その内に宿し己の力として解き放つ。そうすることで自分は氷の勇者と同等の姿となり、髪色と瞳がそれぞれ氷のように透き通った水色に変色した。さらに身体の回りには氷結を纏い、再び氷の防御壁を出現させた。それの防御力は先程のものとは比べ物にならず、ウェンヴィスが止めを刺すために放った一撃を跳ね返した

「な、何!?」

「もらった!サウザンドレイピア!」

ウェンヴィスの周囲に氷結界を現出させることで逃げ場を断ち切り、左手に握られたキーブレードはまるで無数の腕に操られるかのように残像を出現させては光を遥かに越えた速度で何度も彼に連撃を喰らわせる。さらに氷の勇者の力によって刃身には氷の能力も備わっており、最後にはいつの間にかウェンヴィスの周囲をさらに囲んでいた氷の礫ごと全ての氷結が弾けとんでフィニッシュ。勝敗も技の魅せ方も華麗に決まった

「よし……!」

安心と同時に胸を撫で下ろし、ウェンヴィスは傷付きながらも負けを認めてキーブレードを消滅させる。彼は『あー負けちまったかー』と大きな声でぼやきつつこちらに近付き、笑顔に戻った

「お前、強いのな。それに何処かあいつに似てる気がするッス」

「あいつって……?」

「おう、それは……」



「もう、こんなところにいましたか!」

ウェンヴィスが質問に答えようとした途端に響いた声は紛れもなくシュージ先輩であり、まさに彼はウェンヴィスの背後約五メートル程の場所に怒りの表情を見せながら立っていた。その視線は間違いなくウェンヴィスに向けられており、先程の言葉も彼に対しての言葉とも受け取れるが、二人に接点があると言う事なのだろうか

「ウェンヴィスさん、貴方と言う人は連絡もしないで!」

「ハハッ、悪い悪い。こっちには腕っぷしの強いキーブレードの英雄君がいるって聞いてたんで、試したかったんだよ」

ウェンヴィスの言葉からして恐らく“彼”と戦いたかったようだが、それは私ではなくその人は今行方不明である。恐らくウェンヴィスはそれだけしか聞いていなかった為に、私を彼と間違えたのだろう。それにしても、やはりそう言うこととしか考えられない

「あの、シュージ先輩。これは一体……?」

「あぁ、彼はウェンヴィス・エクスペリエンス。あの例の写真を提供してくれた、旅商人さ」

「え……」

その瞬間、私の情けない叫びが北の森に木霊した。幾ら問い質してもウェンヴィスがシュージ先輩達に5人組の写真を渡した張本人であることは間違いないらしく、思わず本気で驚き腰を抜かしてしまった。このような怪しさ全快で近付いてきた人間が自分達の協力者だとは、果
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