――何故、こうなってしまったのだろうか。
現在ダークにフィオ、ヒトミの3人は一人の少女クロナによって合法的に彼女の家に閉じ込められている。一室のドアにもたれ掛かるようにして立つクロナは表情こそ笑っているがその目は一切笑っておらず、3人はそれに怯えつつ真面目にペンを走らせるのだった。何故こうなってしまったのか、時は少々遡る
この日、ダークとフィオはヒトミを参加させて何時ものように出掛けていた。何時も楽しそうに毎日を過ごすと言う共通点のある3人は、案の定この夏休みを満喫していた――クロナが現れてある言葉を発するまでは
「ねぇ3人とも、今日は8月31日だけど……課題終わった?」
――その瞬間、3人の脳内が停止した。それどころか、彼女の属性に乗っ取って精神が凍り付いたような心地に襲われた。この時3人の誰もが『終わった』と確信したような表情を浮かべ、その瞬間にクロナにはバレてしまった――いや、クロナは知っていたのだ。この3人には友達の中でも特に元気と言う以外にも、揃って頭が悪く勉学が嫌いと言う共通点もあるのだ
「そ、そうじゃん!わりぃけど俺、今からさっさと――」
「何ぉ処行くのかなぁ?」
『ガシッ』と肩を掴まれ振り向いた途端にダークはそれだけで腰を抜かした。何せそこには、今までにないほど恐ろしい黒笑いを見せたクロナの姿があったのだから。額からは若干影が差し、掴まれた肩はメキメキと悲鳴をあげている
「やば……」
――その後3人はクロナの逆鱗に触れぬ前に彼女に同行し、今に至ると言う訳である。
聞けば3人ともあまり課題に手を着けていないようで、特にダークに関しては真っ白そのものだった。何時の時代も全く宿題に手をつけない生徒はいるが、流石に身近にいると恥ずかしくなってくる。そしてこの少女クロナは3人がせめて全てを終わらせられる様、こうして自分の部屋で監視しているのである。幸いにもまだ時刻は午前11時、1日が終わるまで後13時間はある
「――ったく、なんでこうなったよ?」
「しょうがないでしょ、君たちが課題終わらせてないって言うんだから。特にダーク君!」
真っ直ぐにダークに向かって『ビシッ』と綺麗な音を立てて指を差し、クロナは彼を一目見たのみで威圧する。その際ダークは『は、はい』と情けない声を挙げてしまったが、そんなものはこの少女の耳には入らなかった
「課題に全く手を着けてないのは貴方だけなんだからね、特に厳しく監視します!」
「うっそぉん!?」
「いやでも、流石に終わるまで帰さないって事はないよね?そんなんだったらお姉ちゃんが心配して……」
「フフッ、心配ご無用。ヒトミちゃんがそう聞くだろうと思って、事前にそれぞれの身内に報告しておきました」
「「「な、何だってーー!?」」」
何時ものようなおしとやかかつ何処か儚い雰囲気とは何だったのか、クロナらしからぬ圧倒的などや顔を決め静かに微笑む。その際3人は揃って断末魔のようなものを挙げ、この世の終わりと書いて『終世』とはまさにこの事だと感じた。
「何してくれてるんだこの鬼巫女!俺この後見たいドラマが――」
クロナの服装は少し程度は異なるが、巫女に近いものである。それに乗っ取って何時も名前以外で呼ばれる際には天然巫女だの冷凍巫女だの言われるが、今回に限ってはスパルタ教師同然の状態となっているためにダークは今の彼女を鬼巫女と呼んだのだと思われる。しかし当のその巫女様はダークの渾名には目もくれず、即座に言葉を遮った
「なら尚更早く終わらせない!特にダーク君が一番出来てないんだからね!」
「い、いやでも!俺達を連れてきても、肝心の課題がなければどうにも――」
何とか反論してこの場を逃れようとするダークだったが、その小さな望みは1つのノック音のみに破壊された。クロナがドアを開けるとそこにはディアの姿があり、両手には何やら大荷物を抱えていた。2つのリュックサックにもなるほどの大量の荷物に、3人は『まさか』と声を揃える事になった
「クロナ、頼まれたもの持ってきたぞ」
「ありがとう、ディア」
友達が荷物を運んでくる事を頼まれ依頼者にお礼を言われると言う一連の出来事だが、この瞬間のみ3人には恐怖の時間となっている。何故なら2つのリュックサックから取り出されたのは紛れもなくここにいる課題の終わっていない3人のそれだったのだから
「ちょーっ!?何故それがここに!」
「まさに外道だなダーク、まさかお前が課題を一切やっていないとは」
「う、うるせーぞこのカリスマブレイカー!と言うか、そう言うお前こそ終わってないんじゃねーのか!?」
「確かに終わってはいないが、後は自由研究だけでな。まぁ、今見つかったからよしとしよう」
「はぁ?何言って――」
「自由研究のノートに
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