「……ついに!」
『デン』と言う何処かのバラエティ番組で聞きそうな効果音と共に機嫌の良さそうな声が響き、同時に青空に浮かぶ太陽が写し出される。左上にあるバッテリー表示からそれが何かは一目瞭然であり、興奮のせいかそれを持つ手が震えている為に写る景色も地震が起きている
「南国に!」
再び同じ効果音で今度は浜辺が写され、行って帰ってを繰り返す波が貝殻を連れてきてはさらい、そしてそれが何度も繰り返される。そしてその海は太陽の光に照らされ、この世界の美しさをそれだけで表していた
「「「来たーーーっ!!」」」
最後に『デデデデーン』ともはや完璧にバラエティ番組気分で盛り上がるウェンヴィス、ダーク君、そしてフィオ君が一斉に声をあげ、そして何処からともなくいつの間にか準備されていた歓声が沸く。中には口笛もあり一体どこから出ているかなどもはや検討が着くのだが、流石に茶番はここまでだ。次の瞬間にウェンヴィスの持つデジカメが独りでに凍り付いた
「ギャー!冷たいッス!」
酷く情けない断末魔を上げ、巻き添えを喰らって凍ってしまった右手にファイアを軽く当てる事で氷を溶かしたが今度は多少火傷してしまい、次に『熱いッスーー』と叫び砂浜を慌てふためきながら走り始めた
「全く貴方達は……ぶれないのは良いことだけど、遊びに来たんじゃないよ?」
彼がいたころから何時も明るく盛り上がる時には盛り上がる事を欠かさないダーク君とフィオ君のコンビにさらに初めて南国に来ると言うウェンヴィスが加わり強力な3バカになるのは良いのだが、にしたって旅行に来た両親の子供のようにはしゃぎすぎである。それを言ってしまっては、私がこのチームのお母さんみたいだが
「まぁクロナ、そう言ってやんなよ。特に俺とフィオは、第2の故郷に里帰りなんだからさ」
そう言えばダーク君とフィオ君はレイ君に着いていく形で共に旅立ち、その過程で二人もまたこの世界に住んでいたのだった。それを思い出して二人がはしゃぐのに今更ながら納得が行き、まだ熱いだの冷たいだの騒いでいるウェンヴィスを他所に海の向こうの小島を見つめる。あそこはかつてある3人の仲の良い少年少女達が思い出を作り未来を思い描いた記憶の島だ
「そうそう!クロナちゃんって、こう言うときには真面目だからなぁ」
「わ、悪かったよ。それに私も、実は1度来てみたかったんだよね」
「奇遇だな、我もだ」
偶然にも同じくここを訪れたいと思っていた白凰もまた彼らと同じように目を輝かせているが、彼の性格上と言う事もあるかもしれないが隣に相棒的存在であり一番のストッパーである黒凰が控えている為にはしゃぐような事はまるでしようとしない。それに私自身は夢の世界でなら行ったことはあるが、それは彼の記憶の世界のようなもので本物ではない。だからやっと今こうして、本物の地に降り立ち砂浜を踏み締めているのだ。そう、この世界の名前は
「……“デスティニーアイランド”、だよね」
ボソッと呟くようにしてこの世界の名前を出す黒凰に相方である白凰は頷き、熱いのか冷たいのか良く分からない男ことウェンヴィス・エクスペリエンスもやっと落ち着いたのか手を擦りながら強く頷いた。やはり彼も情報だけは仕入れていて何時か行きたいと願っていたのか、それとも単に南国に来たことに喜んでいるのかは不明だが
「さて、今の世界の状況を知るためにはやはり現場にいた人の証言が納得が行くだろうね。この南国に受かれてるバカ四人はともかく、最近はハートレスの数も減っているから恐らくあのキーブレード使い達が教えてくれるだろうさ」
「だからシュージ先輩は、ここを指定したんだね。でも、教えてもらうったって……一体何処に――」
「やれやれ、天然巫女ご一行は凍ったカメラで観光するのが趣味なのか?」
そんな冗談混じりの発言と共に本島町の方角から現れた大人びた銀髪の少年、キーブレードの勇者の一人にしてマスターであるリクは多少ながらも明るい表情で出迎えてくれた。以前と比べると影が無くなっており、雰囲気が大分丸くなったと言える。やはり世界が平和となって、気が楽になったのだろうか。まぁ平和になっとと言っても、私は何をすることでそうなり何が解決されたのかは知らない訳だが
「リクさん、久しぶりね」
「本当にな、無事で良かったよ。他のみんなも元気そうだし、何やら新顔もいるようだな」
「あぁ、あの焼き頃冷凍男の事だろ?」
『どんな名前だよ』と思わず突っ込みたくなるような黒凰のふざけたアダ名で指名されたウェンヴィスは幾らキーブレードを扱い様々な世界を渡れると言ってもリクとはどうやら面識はなかったようで、もし仮に出会っていたとしたらまず真っ先にイエン・シッド氏に情報が届き戦いに参加させられていたであろうウ
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