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CHAPTER14【ヒトミとヒナタ】

白凰がキーブレードを受け取ってから数時間後、そよ風村にあるディアス家では、ヒトミが“レイ”と書かれた看板の張ってある部屋の前に突っ立っていた。少し緊張するが、覚悟を決めてノックした。

「お兄ちゃん?いるんでしょ?もうお昼だよ!」

しかし、その言葉には誰も答えなかった。ヒトミは諦めずに呼び掛け続けるが、全くと言って良いほど答えてくれない。ヒトミは『はぁ』と1つ溜め息をつき、とうとう呼び掛けるのを止めて1階に降りていった。

「はぁ………。」

ヒトミはさっきから何度も溜め息をつきながらつまらなさそうに昼食を食べている。その様子をヒナタは不思議に思ったのか、ヒトミの顔を見て言う

「どうしたの?」

ヒナタの何気無い一言にヒトミは俯き、一筋の涙を流した。

「ねぇお姉ちゃん……!私達、お兄ちゃんの家族なのに………大切な存在なのに………何にも出来ないのかな………?また家族を、失うのかな………?」

その悲しみ染みた声をヒナタはしっかりと聞き、受け入れた。ヒナタはこの時、過去の事件を思い出していた。初めて孤独という言葉の意味を噛み締めた、あのときを。

今から十年も前、そよ風村に滅多に起こらないはずの嵐が起こった。家には当時16才のヒナタ、5才の俺に4才のヒトミがいた。両親は1ヶ月前に二人きりで旅行に出掛けており、遠くにあるボウフ地方にいる。ボウフ地方は風が強い上に広い地方だと聞いていたヒナタは、笑顔で両親を見送り、留守番を任されたが、もう三ヶ月は帰ってこない。何かあったのかなと不安になるヒナタ。そのヒナタの近くにいた当時の俺が心配そうに言う

『姉さんどうしたの?』
『レイ………。』
『お父さんとお母さんの事でしょ?』

ヒナタは辛い表情のまま頷く。すると俺が笑顔を作り言った

『ダイジョバ!だってお母さんとお父さんは、必ず帰ってくるって約束してくれたもん!』

ヒナタはその言葉に強く頷き、辛い表情が少し柔らかくなり、やがて笑顔になった。当時ヒナタは何故かいつも俺に勇気をもらっているような気がすると何時か言っていた。ヒナタは彼の純粋な瞳を見詰めて、言った。

『本当に、純粋な子……。』
『えっ?』
『良い?その優しさを、これから先何があっても無くしちゃ駄目よ。約束だよ?』

ヒナタのとても優しい目。優しい手。俺はそれらを感じながら強く頷いた。

《大変です!ボウフ地方が………!》

突如二階にあるTVから衝撃の言葉が発された。ヒナタは動揺を隠せず、二階へと走っていった。俺はヒナタが何に怯えているのか当時はわからなかった為、とりあえずヒトミと遊ぶ事に。

一方ヒナタは、二階にあるTVで、衝撃のニュースを見ていた。

《ボウフ地方に、突如隕石が落ち、落ちた周辺の集落が、全て崩壊しました!》
『うそ………!あそこは父さん達がいた………!』
《しかも死者もたくさん出たとか!中にはディアス家の夫婦もいたそうで……、》

ヒナタは黙ったままTVを消し、無言のまま1階に降りてきた。流石に俺とヒトミもこの様子を不思議に思い、ヒナタの元へ寄ってきた。

『姉さん?』
『お姉ちゃん?』

ヒナタは自分の兄弟二人を見下ろし、とても辛そうな声で言った。

『二人とも……信じられないかもしれないけど、落ち着いて聞いて……!』

ヒナタはこの時、大量の涙を流しており、声を発するのがやっとの状態である。

『今日、ケミア・ディアスとランパート・ディアスの、お母さんとお父さんの死亡が確認されたわ………!』
『えっ!?』
『そんな………!』

ヒナタの言葉は、二人を大きく悲しませた。俺はただ呆然と立ち尽くし、ヒトミは悲しみのあまり気絶してしまった。すぐには信じられないだろうが、後に正式に両親二人の死亡が確認され、この時生き残ったディアス家の三人は、初めて孤独という言葉の意味を噛み締めた

「失わないわよ……絶対。ううん、絶対失わせない!」

当時の悲しみを思い返しながら、ヒナタは強く心に誓った。ヒトミもその言葉に頷き、キーブレードが変化した武器である双剣を両手に出現させ、言った。

「決めた!私、もう家族を失うのはイヤ!だから、今度はこの手で、私の家族を、私の宝物を守って見せる!!」

ヒトミもまた強く心に誓った。こうして、新たな驚異に立ち向かう光の勢力は、少しずつ立ち上がりつつあった

そんな勇姿達が立ち上がりつつある中、ディアス家のポストにはある一通の手紙が投入された




14/07/30 01:38更新 / レイラ

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