突然足元から突き出した氷の塔に突き上げれたジークは一瞬気を失っていた間にツタによって簀巻き状態にされ、気付けば宙吊りになっていた。
「ようやく準備は整った」
ピンクの目玉が南の空からユリスの元へと帰ってくるなりユリスはジークに向けて皮肉のこもった笑みを向けてくるが、何故それが自分に向けられるのか分からない。
ただジークには、合図を送るように指パッチンをするユリスを見つめることしかできなかった。
その合図と共にピンクの目玉は少し高い位置へと浮上すると瞼を大きく開き虹色の光線のようなものを放った。
その光線は決して殺傷目的に放たれた物ではなく範囲も直線ではなく長方形の一部屋分の壁に相当する広範囲のものであった。
その長方形の光線は枠のように見え、その中に虹色とはまた違った色が映し出され、その色彩達はバルカ城を象っていた。
「こんな手品を俺達に見せてどうする気だ?」
ヴェイグが問うとユリスは鼻で笑った。
「手品じゃない。コイツの片割れが見ている景色をこうして映像化してるのさ」
片割れというのはピンクの目玉のことだろう。
ユリスが人型になってからは周囲に常時二つ浮いていたが今は一つしかいない。
つまり、もう片方が見ている景色を今居る目玉が受信しているということだ。
「じゃあこれは本物のバルカ城なの?」
「黙って見てな、嫌でも信じたくなる。マオ、特にお前はな」
現地の目玉が移動しているらしく映像は半壊状態のバルカ城へと近付いていき、かつてゲオルギアスや6芒星と戦った屋上へと浮上していく。
勢い余って屋上より少し高めまで到達してしまったが屋上には色取り取りの点が存在しヒトがいることが分かる。
「何で壊れかけの城の屋上なんかにヒトがいるんだ?今日は何かの記念日だったか?」
ブライトはマオとユージーンを見ながら確認するが2人共画面から目を離さず答えようとはしなかった。
「記念日ねぇ。なるかもしれないぜ?」
ユリスの言葉にブライトが首を傾げている間にも映像はどんどん屋上へ向けて降下していく。
すると半円となった屋上の中心に巨大な十字架があり、それを数十人の兵士が囲んでいることが分かった。
更に十字架には誰かが縛り付けられているようだった。
「待てよ……どいうことだよこれは!?」
ジークが声を張り上げるが構わず映像は下降速度を緩めていき、張り付けにされている人物を正面から見据える位置で静止した。
張りつけにされているのは女性のようで金色の髪に金色の耳、そして金色をした九本の尻尾が垂れ下がっていた。
「てめぇ!あいつに何をした!?」
そう、今張り付けにされているのはヤコだった。
ジークはがむしゃらにもがき暴れながら怒鳴るがユリスは依然と平静のまま画面を見上げていた。
「勘違いするなジーク、あの場に送ったのは俺ではない。そこにいるマオとユージーンを含めた軍の奴等だよ!」
「な……に……?」
「ジーク兄さん、あのヒトと知り合いなの?」
ルルの質問に今は答える余裕の無いジークはマオとユージーンを見る。
それに対してマオとユージーンはお互いに目を合わせ、頷き合った後マオがジークと目を合わせる。
「そうだよ」
マオは一回頷いた。
「何でだよ……アイツが何をした……」
ジークの身体が思わず震える。
「答えろよおい!!」
ジークの求めた返答は、マオからではなく映像から告げられる。
『罪状』
兵士の1人が十字架の前に立ち、羊皮紙に書かれた文面を事務的に読み上げる。
『我が国カレギアを滅亡の危機へと陥れんとするユリスの配下であることが判明したため、ここで処刑する。バイラスバルカ襲撃事件の際、牢に幽閉されていたのにもかかわらずフォルス反応が感知されたことを証拠とする。また、ユリス再生の際等、マオ大佐より多数の感知報告が挙げられている』
「何時の間に……」
ジークは目を見開くが、マオは映像から目を離さず口を開く。
「アニカマルでナイラと話してたって言ったよね?あの時本当は状況証拠の提示と処刑の同意を請求されてたんだ。黙っててごめんね」
「ごめんじゃねぇよ……そんなこと今頃言われたってどうしようもねぇだろうが!!」
「落ち着けジーク!それを訊いたのはてめぇだ!それに……そんな話簡単に一般人に言えるわけねぇだろ」
ブライトがなだめようとするがジークは奥歯を噛み締め、映像に視線を戻した。
『その他の証拠については各自確認されたし』
兵士は読み終わった羊皮紙を折りたたみ懐にしまう。
そして、片手を曇天の空に掲げる。
それを合図に十字架の周りに待機していた兵士数十人が一斉に詠唱を始める。
「やめろ……」
審判の手が、無常にも振り下ろされる。
『執行!!』
「やめろぉおおおおおおお!!!!」
合
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