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第1話『元老院と目覚め』

ヴェイグ・リュングベルは目蓋を開けると、そこには見知らぬ天井があった。

その天井は布ででてきており斜面になっていることから、ここはテントの中なのだと瞬時に理解ができた。

起き上がるとベッドだと思っていたものは藁が擦れ合う音を出し、今まで寝ていた物は積み上げた藁にシーツを被せた簡易性のベッドだった。

辺りを見回してみるとベッドは一つしかなく、テントも1人分の広さだった。

ベッドから立つと、ほのかに藁の匂いがした。

(どうやら、生きているようだな)

ヴェイグは付近の台に置いてあった紐を手に取ると、器用に自分の髪を編み始めた。

(他の皆は無事だろうか?それに、ジークのあの力……)

カレギア城屋上での戦闘の際、遠退く意識の中でヴェイグはユリスから放たれた巨大なエネルギー破をジークが防いだのを見ていた。

その直後に気を失ったのだが、今こうして生きていることを考えるとジークはあのエネルギー破を見事に打ち消してくれたのだろう。
しかし、これまでの戦闘を見てきてジークは決して強いと言える力も技術も持っていなかった。

(ここまで共に旅をしてきて大分分かったつもりでいたが、まだ知らないことがありそうだな)

ヴェイグは三つ編みを完成させると大剣をかつぎ、外へと出た。

外へ出るとそこには多数のテントが設置されており、白い白衣を着たヒト達があちらこちらへ歩き回っていた。

そしてその奥には崩壊した正門があり、ここは正門広場だということが分かった。

(ということは駅は反対か)

首都バルカを走る機関車が止まるターミナルが正門広場にあり、そこは広場より少し高い造りになっている。

そこから見渡せば仲間の誰か1人位は見つけられるだろうと思い振り返ると、駅と一緒にカレギア城も視界に入りヴェイグは絶句した。

「まさかこれほどとは……」

正門から見たカレギア城は左半分が大きな獣に食べられたかのように消失していた。

恐らくジークが飛び込まなければ城は完全に消滅していたと考えると、血の気が引いた。

(……今は皆を探そう)

ヴェイグは改めて駅へと向かい、階段を上ると柱の影にユージーンがいることに気がついた。

「ユージーン!」

「ヴェイグか。お前も無事のようだな」

ユージーンは大分前に目が覚めていたらしく、更に何か浮かない表情を浮かべていた。

「どうかしたのか?」

ヴェイグが訊ねると、ユージーンはアゴに拳を当てながら答えた。

「実はな、さっき俺は元老院からの召集により面会してきたのだが……」

「元老院?何だそれは」

「元老院とは言うなれば王を裏で支える物だ」

簡単に言うと元老院とは王が行う政治の助言役であるとユージーンは説明した。
だが王無き今、実質王権は彼等が握っているも同然なのだと言う。

「ふむふむ。んで?その元老院がどうしたって?」

「ティトレイ!?」

気付けば話にティトレイが知ったような顔をして入ってきていたが、ユージーンは一度息を吐いてから続けた。

「元老院の存在は国家機密だ。くれぐれも内密に頼むぞ?」

2人は力強く頷くと、ユージーンは続けた。

「元老院との面会で俺は彼等がとる今後の方針について聞いてきた。どうやら奴等はユリスを黙視するらしい」

「何だと!?」

「おいおい、世界が滅びても良いってのかよ!?」

「無論世界が滅びることを望んてはいない。だが、まずは自分達の身を守り、体勢を立て直す必要があるようだ」

それを聞いてヴェイグとティトレイは拳を握りしめた。

結局は自分達の身を守るのが最優先と言いたいのが丸分かりである。

「それで、あんたはどうするんだ?あんたが呼ばれたということは、護衛に加われとでも命令されたんだろう」

ユージーンは頷いた。

ユージーン「だが断った。俺は最早軍人ではないからな。マオの補佐をしているがあいつももう1人でやっていける。従って俺は断っても問題は無い訳だが……」

「今度はマオに召集がかかるって訳か」

「マオが大佐の地位について1年になるが、何故あいつが再び軍に戻ろうと決意したのか俺にも分からなくてな。軍で何か成したいことがあるのは明白なのだが俺には見当がつかん」

と、ここで何かひらめいたのかヴェイグが口を開いた。

「代役を立てることはできないのか?城の兵士が全員が死人に変えられたとは言え、王の盾なら他にも実力者がいるんじゃないか?」

「それは難しいだろうな。四星が抜けてから王の盾は昔程の実力は無い。念のためミルハウストを推薦しておいたが、果たして元老院がそれで納得するかどうか……」

「チッ。今の俺達は皆の無事を祈ることしかできねぇのかよ……」

何も良い案が浮かばないティトレイは前髪をかきあげながら嘆いた。

「せめてカインだけでも無事なら再
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