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第2話『俺の親友がこんなにアレな訳がない』

ヴェイグとティトレイはユージーンから自分達を介抱してくれた人物の名を聞いて驚いていた。

「まさかあのミーシャがねぇ〜」

ティトレイが拳をアゴに当てながら唸る隣でヴェイグは「意外だ」と小さく呟いた。

ミーシャはキュリアの助手を務めていたということもあり、知識は十分で入隊テストも満点だったという。
しかしまだ実戦の経験はなく、キュリア先生も心配していると、ユージーンは付け足した。

「夢ってのは言うものでもなければ見るものでもねぇ。叶えるもんだからな。そのミーシャってやつが本気で努力してんなら心配いらねぇだろ」

「ブライト!!お前いつからそこにいたんだ!?」

お前が言うな、という顔でヴェイグとユージーンはティトレイを見た。

「そうだな、カインって単語が聞こえた辺りからじゃねぇか?」

元老院の事は聞かれていないことが分かり、ティトレイは胸をなでおろした。

すると、テントの中から続々と仲間達が出てくるのが見え、ティトレイは腕を振りながら大声で呼びかけると仲間達はそれに気付き、駅へと集まり始めた。

「ちょっと、恥ずかしいからやめてよね」

「みんなの視線が痛かったです……」

フィオナとアニーは「ね〜」と言うかわりに首を傾げ合った。

「なんだよ〜、折角分かりやすいように呼んでやったってのによ〜」

ティトレイが拗ねながら言うと、ヒルダがため息を吐いた。

「それが余計だっていうのよ。まぁ、そのおかげで早く合流できたのも事実でしょうけど」

ティトレイが得意気な笑みを浮かべると、最後にジーク、ジン、ルル、そしてカインが合流した。

「これで全員揃ったネ!」

「全員無事だったようだな」

マオは嬉しそうに言うと、ヴェイグも安心したように全員の顔を見た。

「無事なんかじゃないわよ!トーマのヤツ、乙女の顔を殴りやがって……。次会った時は容赦しないわ!!」

「別に顔の形が変わった訳じゃねぇんだし、そこまで怒ることないだろ」

フィオナは掌に拳をぶつけるが、それをジークがなだめる。

「何言ってんのよ!顔は乙女の命なの!許せる訳ないでしょ!?この前は負けちゃったけど、今度はコテンパンにしてやるんだから!」

「もう忘れたのかよ?俺達はそのトーマに瞬殺されたんだぞ?」

悉(ことごと)く反論してくるジークに怒りを覚えたのか、フィオナの眉がピクっと動いた。

「なぁにジーク、もしかしてあんたビビッてるわけ?」

「んなわけあるか!俺はお前のことを心配して……」

ジークが反論する中、フィオナの目の前にカインが立ち、顔を近付けた。

「な、なによ?」

「君が、ジーク君が護りたいヒトなんだね」

「お、お前っ!!」

ジークはカインの口を止めようとしたがジンとルルがジークを抑えた。

「フィオナって言ったよね?君には絶対に負けないから!」

それを聞いて、フィオナはただ無言になることだけしかできなかった。
目は点になっていた。

「つまり……どういうことかしら?」

ヒルダの問いにルルが満点の笑顔で答えた。

「カイン君はチャリティ姉さんと同じくらい、ジーク兄さんのことが好きなんです!」

理解の仕方はヒトそれぞれだった。
男性陣はただ聞き流す者もいれば、当然だ、と思う男もおり、俺だって同じだぜ!と思う男もいた。

一方女性陣では、男性陣の「当然だ」に同意する者がいたが、ヒルダは口に手をあて、クスリと笑っていた。

ルルはそんな様子を見て楽しんでおり、どうやらこの反応を狙っていたらしい。

(ルルの好奇心にも呆れるなぁ、まったく……)

その共犯者のジンは頭の犬耳を下に垂らしながら溜息を吐いていた。

「(とりあえず話題を変えないと……)それよりさ、これからどうすんの?」

ジンが話しを振ると、タイミングを見計らっていたかのようにマオのお腹が音を立てた。

「とりあえずお腹がすいたんですケド……」

思い出してみれば何日寝ていたかのかは分からないが、起きてからというもの何も口に入れていなかった。

「では酒場へ向かおう。あそこで配給が行われていたはずだ」

全員頷くと一同は酒場へと歩を進め、道中マオが何故そんなことを知っているのかと訊ねた。
ユージーンは上からの呼び出しにより酒場を通りかかった際に見かけたと答え、マオだけに聞こえるように先程ヴェイグ達に話したことを伝えていると、酒場へと到着した。

運良く酒場の建物は無傷であり、内装には少しヒビが入っているものの運営には支障無さそうだった。
そして意外にも店内は空いており、全員席についた。

数十分後、とても満腹とはいえないが配給料理を食べ終えると、ティトレイが口を開いた。

「マジカルポットがあれば自分達で料理して、腹いっぱい食えたんだろうな〜」

「マジカルポット?」

折角
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