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第6話『盾と剣』

「手間をかけたな」

完全復帰を遂げたユージーンはカインに礼を言うと、アニーとカイン以外のメンバーは先程の女性を囲んでいた。
武器はお互い構えていないが、いつ何をしかけてくるかは分からない。
牽制のための円陣であったが、それでも少女は赤紫のツインテールをなびかせて平然と立っていた。

「なに?こんな大所帯で少女1人を囲んじゃって、恥ずかしくないわけ?」

少女は笑いながら言うと、ティトレイが拳を振り上げそうになるがヒルダに「やめな」と止められた。

「まぁ良いわ。あながち、貴方達の対応は間違っていないのだしね。まず、察しの通り私は貴方達から見たら味方ではないわ」

「てことはユリスの手下か!?」

ブライトは腰の銃に手を伸ばすが、少女は手をヒラヒラと返した。

「外れ。大体、今貴方達の言う敵っていうのはユリスだけではないでしょう?例えば……元老院とか?」

少女は不適な笑みを浮かべながらマオを見る。

「え?元老院って軍の一部のヒトしか知らないんじゃ……」

ルルはバルカでユージーンから聞いた話を思い出しながらマオを見た。

「キミ……何者なの?」

「ふふっ、自己紹介が遅れたわね。私の名前はマティアス。所属は王の剣(つるぎ)の隊長よ」

「王の剣だと!?」

ここで後ろで話を聞いていたユージーンが声を荒げた。

「さすが王の盾のユージーン元隊長ね。私達の存在も知っていたなんて」

「噂を耳にしただけだ。万が一、王の盾が寝返った時抑止力となる勢力が存在すると。それは王の盾とは対となるため王の剣と呼ばれる……とな」

マティアスと名乗った少女はそれまでの余裕な笑みを止め、真剣な面持ちへと表情を変えた。

「大体そんなところね。元々四星なんかも性格破綻者がほとんどで何時王に刃向かってもおかしくなかったもの」

その後マティアスは「性格で言えば私達も変わらないけど……」と呟いた後、再び続けた。

「でも私達の仕事は王の盾への牽制だけじゃないわ。あんな奴等、やろうと思えばすぐにでも消せるしね。私達の主な任務は名前の通り王の盾にできないことをすること。例えば王の盾は王様に害をなす危険因子を排除することが役割なのに対して私達は軍内外全てにおいて王にとって危険因子になるであろう全ての者を排除する役割を担っている。つまり、例え相手が王の盾の隊長だろうが大佐だろうが殺す許可を得てるってこと」

「つまり、あんたは後の危険因子でなるであろう私達を消しにきたって訳ね」

ヒルダは目を閉じながら冷静にまとめたが、体の周囲には電気が帯電していた。

そして、誰もがいつでも戦闘態勢に入れるよう精神を研ぎ澄まし、周囲は冷たく重い空気に包まれていた。

「はいちょっとタンマタンマ!ヒトの話は最後まで聞く!」

マティアスは両手を叩きながら言うと、一旦凍ってしまいそうな冷たい空気は無くなったが、上からのしかかる重い重圧は解けないままだった。

「確かに私は元老院の命令でマオ大佐率いる英雄6人を招集しに来たわ。それがまさか外で暴動を起こしてる張本人だとは思わなくて一番凶暴そうにしていたライオンさんを見せ締めとして殺そうと思ったのも確かよ。それがまさかユージーンに当たるとは流石の私も予想していなかったわ。けど安心してちょうだい?今の私はもう貴方達を連れて行く気はないから」

「そう言われて、はいそうですか、とでも言うと思ってんのか?」

ジークはなおも疑いの視線を向けるとマティアスはやれやれと言ったように鼻で息をついた。

「これだけ内部事情を話してもまだ信用できない訳?私がまだ話していないのは〜……そうね」

マティアスは人差し指をアゴに当ててから少し考えた後、再び笑顔で話した。

「私達王の剣は全部で4人しかいないってことかしら?貴方達は運が良いわ。私達は4人で首都の東西南北を監視していたのだけれど、もし他の3人に見つかっていたらこの中の半分は間違いなく死んでいたわ。あっ、勘違いしないでね?別に他の3人が私より強いって事じゃなくて、4人の中で私が一番理性があるってことだから。でなければあいつらの隊長なんてやってられないわ」

最後にマティアスは溜息を吐いてから話は終わった。

「ということは、本当に俺達を見逃してくれんの?」

ジンはティトレイと目が合うとお互いに笑顔がこぼれそうになった。
しかし、

「はぁ?誰が見逃すなんて言ったかしら?」

「違うの?」

マティアスは眉をひそめたが、カインの台詞を聞くと彼女はカインをキッと睨んだ。

「こんな小さな任務でも私達に失敗は許されないの。だから、連行する代わりにこれからしばらくの間私が貴方達を監視します」

全員が全員嫌そうな顔をしたのだろう。
マティアスは目くじらを立てながら続けた。

「何よ?それとも全員こ
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